コメント
1件
禁じられた迷宮シリーズ。3話目の水曜日。 リュウとヨシヤの青春ストーリー。間違いで消しちゃって、書き直した作品です。
ヨシヤ
ヨシヤ
リュウ
リュウ
トップを走るリュウはアクセルを踏む。
スピードメータが上がる度に集中力を増した。
シフトを入れ替えスローダウン
コーナーをアクセルを踏み込み加速させる。
ヨシヤ
リュウ
通称死のカーブ
一年前、走り屋仲間がここで大敗した。
Gがかかる。
しゃべくりヨシヤも黙る。
リュウはジンクスを破るかのように愛車のインプレッサを加速させた。
二人は俗に言う走り屋だ。
ドライバーはリュウ、メカはヨシヤが担当した。
週末の夜はいつも
いずこの公道がサーキットになる。
今宵も腕に覚えのある“走り屋”100台が、ここ甲武山に集結した。
コウイチ
コウイチ
インカムから白蛇のヘッドコウイチが話しかける。
先ほどからコウイチのRX-7が嫌みなほどピタリと追随している。
ヨシヤ
ヨシヤは助手席の窓から腕を出し親指を下げた。
リュウ
リュウ
リュウはバックミラーに目を走らせる。
コウイチの後ろから新たな一台、近藤の白いGTRが追いついてきていた。
近藤
近藤
近藤
近藤
近藤は対向車線に飛び出すと、インプレッサと並走するように車を走らせた。
ヨシヤ
ヨシヤ
近藤
近藤
近藤
運転席からこちらをチラチラ見ながらわめいている。
ヨシヤはべーと舌を出した。
インカムが入りっぱなしなのを忘れていたのだ。
もちろん警察無線も傍受可能な
海外製違法無線だ。
わ━━━━━━━━━ッ
近藤のGTRが大きく膨らみ視界から消えた。
ヨシヤの言う通り。
体で地図を描けないと死を招く。
リュウ
ヨシヤ
カーブNo.184
トンネルをぬけた緩やかな右カーブ。
曲がりはじめのセンターライン上に巨大な岩が出現する。
走り屋たちの都伝説によると、
道路拡張工事の際に作業員の死亡事故が相次いだ。
結局
家一軒ほどの岩を残し
道を左右に通した。
リュウ
ヨシヤ
ヨシヤ
リュウ
ヨシヤ
ヨシヤ
うん?
リュウは目をこらした。
リュウ
ヨシヤ
ヨシヤ
尾根伝いに走る乗用車。
カーブのたびに赤いテールランプが見え隠れする。
リュウ
リュウ
ヨシヤ
ヨシヤ
二人でゲラゲラ笑った。
乗用車を直線でとらえる。
数秒でケツにつく。
リュウ
ヨシヤ
ヨシヤ
リュウはパッシングし、道を譲るよう促した。
ヨシヤ
ヨシヤ
ヨシヤはイライラと貧乏ゆすりする。
前方の黒塗りセダンはふらふら中途半端な位置にいた。
リュウ
反対車線は崖っぷちだ。
愛車は先週修理を終えたばかりだ。
リュウに一瞬迷いが生じた。
プッ━プ━━━ッ!
クラクションをやかましく鳴らしながら
リュウの横を影がかすめる。
後ろにびたびたにくっついていたコウイチが崖っぷちスレスレ抜き去ったのだ。
RX-7半ば強引に黒塗りセダンの前に躍り出た。
ヨシヤ
リュウ
リュウ
どういうわけか、ふらふらしていた黒塗りが急速にスピードをあげた。
ヨシヤ
ヨシヤ
ヨシヤ
ヨシヤ
ははははははは━
ヨシヤ
ヨシヤ
近藤
近藤
そうこうしているうちに今度は 遅れをとっていた近藤が追いついた。
近藤
リュウ
リュウ
リュウ
リュウ
リュウ
カーブを曲がる度におびただしい数のヘッドライトがついてきていた。
リュウ! 無線から怒った近藤のダミ声が聞こえた。
見張番
見張番
見張番
見張番
見張番
見張番
見張番
見張番
見張番
見張番
ヨシヤ
ヨシヤ
ヨシヤ
ヨシヤ
ヨシヤは腹を抱えて笑った。
二人は降って湧いた奇妙な事態に、考える間もなく浄水場前を通り過ぎた。
近藤
近藤
近藤
近藤
インカムから情けない声がする。
リュウ
リュウ
リュウ
リュウ
ヨシヤ
近藤
近藤
近藤
近藤
ヨシヤ
リュウ
リュウ
リュウ
リュウ
ヨシヤ
ヨシヤ
ヨシヤ
リュウは妙な胸騒ぎを覚えた。
コウイチ
ザッ ザ───
ノイズが入感する。
リュウ
コウイチ
コウイチ
コウイチ
コウイチ
ヨシヤ
ヨシヤ
コウイチ
リュウ
リュウ
とっくに山を越えたはずだ。
コウイチ
コウイチ
はぁ?
リュウとヨシヤは顔を見合わせた。
リュウ
コウイチ
コウイチ
リュウ
リュウ
コウイチ
コウイチ
コウイチ
コウイチ
ヨシヤ
ヨシヤ
リュウ
コウイチ
コウイチ
コウイチ
コウイチ
コウイチ
リュウ
リュウ
リュウ
ヨシヤ
ヨシヤが言い終わらないうちに
リュウは思いきり急ブレーキを踏みつけた。
ヨシヤは前につんのめる。
四点式シートベルトがなけりゃフロントガラスにぶち当たっていた。
ヨシヤ
ヨシヤ
リュウはかまわずハンドルを切る。
車体をドリフトさせ
タイヤが鳴きをあげ、煙が立ち込める。
ゴムの焼けた臭いが車内に漂った。
近藤
驚いたのは近藤だ!
互いに正面衝突ギリギリで回避する。
横滑りしながら止まった近藤のGTRに、次々と後続車がクラッシュした。
近藤
ぎゃんぎゃん叫んでいる。
リュウ
リュウ
ヨシヤ
ヨシヤは首をさすりながら言った。
近藤
近藤
その間もリュウとヨシヤの前には、後から後から後続車が向かってくる。
リュウによるまさかの逆走!
他の走り屋たちは、リュウのインプレッサが逆走するなどと思ってない。
車体はスラロームを描くようにように野郎どもをよけた。
ぐちゃ
バランスを崩した車体があちらこちらでカマを掘る。
混信中
混信中
野郎たちが一斉にわめき散らし、無線は混信状態におちいった。
ヨシヤ
ヨシヤ
ヨシヤ
ボンネットの羽が取れかけて、めちゃめちゃに怒った近藤が追いかけてきた。
リュウ
向かってくる残りの50台をやり過ごし
見透しがよくなったところで、アクセルを全開に踏んだ。
エンジンフル回転。
速度をあげる。
時速200キロ超の猛スピードで浄水場前を通りすぎる
もうすぐ大岩だ。
ヨシヤ
リュウ
緩やかなカーブ。
巨大岩を右手に通りすぎる。
トンネルを一瞬で走り抜け──
急ブレーキ。
ふたたびドリフト。
反対車線にある退避所にすっぽり収まった。
エンジンは切らずに
ヘッドライトだけを消して
コウイチを待つ。
コウイチの言う通りなら、自分達の後ろから来るはずだ。
トンネルからわんわんと異様な音が響く。
リュウを追いかける近藤ほか十数台がトンネルから出てくる。
ほぼ同時にループにはまったコウイチのRX-7とすれ違った。
コウイチの後ろを霊柩車が数センチの距離で追いかける。
二台は猛烈なスピードでトンネルに吸い込まれた。
ヨシヤ
ヨシヤ
ヨシヤ
リュウ
リュウ
ヨシヤ
ヨシヤ
ヨシヤ
ヨシヤ
リュウ
リュウ
ヨシヤ
ヨシヤ
リュウ
リュウ
リュウはインカムに向かって叫んだ
リュウ
リュウ
リュウ
リュウ
コウイチ
もはや聞こえているのか微妙だった。
野太いエンジン音。
コウイチのRX-7だ。
二台は連結列車のごとく通りすぎる。
ヨシヤ
ヨシヤ
コウイチと霊柩車はトンネルに吸い込まれていった。
リュウ
リュウ
リュウはインプレッサをゆっくりバックさせた。
二人が沈黙する中
山あいに迷走する走りたちの爆音だけが響いた。
ヨシヤ
リュウ
ヨシヤ
ヨシヤ
ヨシヤ
ヨシヤ
リュウはエンジンを吹かす
ヨシヤ
ヨシヤ
ヨシヤ
ブレーキを離すと同時にアクセルを踏み込んだ。
たった二秒で100キロ
周回してきた霊柩車のケツにピタリとつけた。
ヨシヤ
ヨシヤ
リュウ
リュウ
リュウは霊柩車と一定の車間を保ちながら走る。
トンネルを出てすぐに大岩が現れる。
片道一車線の細道のはずが、
いつの間にか二車線の真新しい道を走っていた。
ヨシヤ
リュウ
リュウ
前を走る霊柩車との間がいきなり開いた。
リュウ
ガシャリと金属がつぶれる音。
ヨシヤ
ヨシヤ
ヨシヤ
リュウ
リュウは追い越し車線に出る。
霊柩車はコウイチの車体に自らのバンパーをぶつけ、前に押し出していた。
時速は200キロ近い。
リュウ
リュウは車幅を詰める。
リュウ
ヨシヤは覗きこむ。
ヨシヤ
ヨシヤ
霊柩車がいきなり幅寄せしてきた。
ぶつかる!
ヨシヤ
リュウ
リュウはブレーキを踏みスピードを落とす。
霊柩車はその隙に加速する。
ガシャン!
コウイチの車体から煙が上がる。
逃げるコウイチ。
追いかける霊柩車。
そのうしろを追うリュウとヨシヤ。
トンネルに戻って、さらに加速。
リュウ
リュウ
コウイチ
コウイチ
コウイチ
コウイチのRX-7がカーブを曲がりきれず、霊柩車もろとも
大岩にぶち当たった。
爆発を横目にリュウとヨシヤはきわどくすり抜ける。
ヨシヤ
ヨシヤ
ヨシヤはヒステリックに騒ぐ
さすがのリュウも冷静ではいられない。
ややしばらく放心状態で車を走らせた。
インプレッサは周回しトンネルに入る。
出たところで、ひしゃげた形RX-7から炎があがっていた。
ヨシヤ
リュウは速度を落とした。
リュウ
リュウ
答えなんか出るわけがない。
ヨシヤ
ヨシヤ
バックミラーを見やる。
リュウ
リュウ
ヨシヤが振り返る。
「 後 ろ だ ❗ 」
二人同時に叫んだ。
リュウはアクセル全開
5秒で200キロ──
ヨシヤ
ヨシヤ
ヨシヤ
リュウ
ヨシヤ
ヨシヤが叫んだそばから
車体に衝撃を受ける。
霊柩車が後ろから体当たりしてきたのだ。
リュウ
ヨシヤはパニック。
メーターが振り切れる。
時速は不明。
それでも霊柩車はガンガン体当たり。
このままではコウイチと同じ運命をたどるのは目に見えている。
一刻の有余もない。
もはや手段を選んでいる場合ではないのだ。
トンネル
リュウはブレーキを踏む。
ガがガがガがガが
バンパーが取れ、道路を引っ掻きながら飛び去った。
ガン!
霊柩車に当る。
ヨシヤ
ヨシヤ
リュウ
リュウ
そーだあいつは魔物なのだ。
この霊山に引き寄せられてきた流れの魔物──
リュウ
リュウ
ヨシヤ
リュウ
リュウ
ヨシヤ
リュウ
トンネルを出たところ、くすぶり続けるRX-7
時計よ巻き戻れ───と
リュウは念じるかのようにハンドルを大きく切った。
不意打ちを食らった霊柩車は反応できない。
一瞬にして通りすぎる。
一方インプレッサはタイヤをすり減らしながら巨大岩を大回り。
ガードレールが迫る。
ヨシヤは悲鳴をあげる。
ハンドル操作を誤れば谷底までまっ逆さまだ。
車体をガードレールに擦りつけ、火花を散らしながらなんとか対向斜線に戻った。
ふたたびトンネルを逆戻り。
チリン──
ヨシヤ
ヨシヤ
ヨシヤ
──気づいた。
リュウ
車道脇──。 闇夜に紛れた山道が穴蔵のように口を開けていた。
リュウはロープ止めしてある進入禁止⛔マークを引き倒し細道に入ってゆく。
不安げな表情のヨシヤ。
リュウ
リュウ
車高の低い車体は、石ころや木の枝をカチン、パチンとはねのけながら登り進む。
ヨシヤ
リュウ
ヨシヤ
エンジンを唸らせ
スリップに手こずりながらもずんずん登る。
山頂付近でようやく道が開けた。
先を見てヨシヤが絶句した。
ヨシヤ
整然と並んだ墓が何千とある。
リュウは車を止めると降り立った。
振り返る。
木々の間からベットライトがチラついた。
リュウ
リュウ
霊柩車が急坂をもろともせず登ってくる。
ヨシヤ
リュウ運転席に頭を突っ込みサイドブレーキを外す。
リュウ
ヨシヤ
リュウ
二人はボンネットに手をかける。
リュウ
リュウ
リュウ
インプレッサは後ろ向きにコロコロと動き出した。
急坂の途中で鈍い音を発しながら霊柩車にぶち当たる。
二台は転がり落ちると
横転しながら木々の間に留まった。
リュウ
ヨシヤ
ヨシヤ
霊柩車から黒い煙が上がる。
ヨシヤの目が潤んでいた。
リュウ
リュウはあごでしゃくる。
リュウ
ヨシヤ
リュウはヨシヤの腕をひっ掴む。
墓場の間を縫うように走り出した。
チリンと鈴の音。
リュウは鈴の音をたよりに暗く茂った竹林に入る。
振り向くと。
街灯に映る煙は、だんだんと集まり
人の形をなした。
ヨシヤ
リュウ
リュウ
リュウ
リュウ
リュウはヨシヤをひっぱり、竹藪を逃げる。
街灯も月明かりもとどかない暗闇の中、
方向に迷う鈴が鳴る。
鈴の音がリュウを導いた。
オ━オ━オ━オ━
不気味な遠吠えのような叫び声がする。
湧水で足元がぬかるんだ。
湿った急坂に足を滑らせ、二人で池に落ちた。
ヨシヤ
ヨシヤ
ヨシヤ
リュウ
リュウ
ヨシヤ
ヨシヤ
二人は蓮の葉のあいだをつき進む。
浅瀬につくと
そこは寺の裏庭だった。
ヨシヤもリュウもへとへとだ。
リュウはヨシヤを水からひっぱり上げる。
漆黒の煙は池へりまで来ていた。
本堂の裏手にある段梯子を駆け上がる。
ポケットから鎖を取り出し、
鍵束をじゃらつかせた。
ヨシヤ
あっけに取られているヨシヤをよそに、真鍮の鍵を選び鍵穴に突っ込む。
裏木戸はギィと嫌な音を立て、内ちに開いた。
リュウ
ヨシヤは突っ立ったまま。
リュウ
リュウはヨシヤの濡れた服を掴み本堂の中に押し込んだ。
戸口を締めた途端、
リュウは仏像の背中を見上げるように倒れ込んだ。
ヨシヤは黙って立ったままだ。
リュウ
リュウ
ヨシヤ
ヨシヤ
言葉にならない。
ヨシヤ
ヨシヤ
ヨシヤ
ヨシヤ
ヨシヤ
ヨシヤ
リュウ
ヨシヤ
ヨシヤ
リュウ
ヨシヤは大きくため息をついた。
ヨシヤ
リュウ
リュウ
リュウ
リュウ
リュウ
リュウ
リュウ
リュウ
リュウはどうしようもない自分を笑った。
ヨシヤ
ヨシヤの肩が揺れる
ヨシヤ
ヨシヤ
二人して笑いを噛み殺した。
玉砂利を踏みしめる音がする。
リュウは立ち上がり、本堂の正面に回る。
格子戸の隙間から外の様子をうかがった。
黒い煙は固体化し、薄っぺらな人間が歩き回っていた。
リュウ
リュウ
どこからともなく経が聞こえてきた。
ヨシヤ
リュウ
リュウ
ヨシヤ
リュウそうだとうなずいた。
チリン
前ぶれなく鈴が鳴る。
東の戸口から灯りが見える。
左の瞳がすみれ色。神秘的な顔立ちの少女が入っていた。
少女はヨシヤに礼儀正しくお辞儀をする。
トワ
トワ
ヨシヤ
ヨシヤ
リュウ
リュウ
トワには特別な力がある。
念を飛ばし、鈴の音で道案内したのは妹だった。
トワ
トワ
トワ
ほのかに香のかおりを残しトワは立ち去る。
トワ
トワ
何も言わないが妹は相当怒っている。
ヨシヤも黙っている。きっとトワの気にのまれているせいだ。
空が白み始めた。
リュウとヨシヤは軽トラに乗って山をのんびり下る。
鳥のさえずり
平和な日常……
昨晩の騒ぎがうそのようだ。
カーブを曲がると複数の赤色灯が回っているのが見えた。
大破したコウイチの車はブルーシートに覆われ、レッカー移動されるところだった。
自分達の狂乱が招いた最悪の事故……。
ヨシヤはうつむき、手を合わる。
リュウは自分への戒めのために目に焼きつけた。
麓まで下りてきた。
コンビニの駐車場に十数台の走り屋が集結していた。
ウイングが吹っ飛んだ近藤のGTRも混じっている。
リュウは駐車場に軽トラを入れる。
たむろっていた走り屋たちが、うさん臭いのがやってきたとばかりに眉をひそめた。
リュウは手動で窓をさげると手をあげた。
リュウ
リュウ
全員幽霊でも見た顔だ。
近藤
近藤の顔はくしゃくしゃになった。
ヨシヤ
ヨシヤ
ヨシヤは笑う。
近藤
近藤
近藤
リュウは分かっているとうなずいた。
近藤
近藤
リュウはうんうんとうなずいた。
海沿いにある町工場に着いた。
ギアを引いてもヨシヤは降りようとしない。
リュウ
ヨシヤ
リュウ
リュウ
リュウ
ヨシヤ
ヨシヤ
ヨシヤは大きく息を吐き出した。
互いに沈黙。
耐えきれずにヨシヤは口を開く。
ヨシヤ
ヨシヤ
リュウ
リュウ
ヨシヤ
まるでつかの間の別れも惜しむ恋人だ。
リュウ
ぷっ
ヨシヤが吹き出した。
リュウ
リュウ
ヨシヤは腹を抱えて大笑いする。
ヨシヤ
ヨシヤ
ヨシヤ
ヨシヤ
ヨシヤ
ヨシヤ
リュウ
そう言いながらリュウも吹き出した。
まったくもって格好悪いことこのうえなし──
ヨシヤ
ヨシヤ
リュウは仕方なしにトラックを降りた。
ヨシヤ
ヨシヤ
ヨシヤ
リュウ
ヨシヤ
リュウ
ヨシヤ
ヨシヤ
ヨシヤ
ヨシヤ
リュウはいきなり蹴りを入れた。
ヨシヤ
ヨシヤ
ヨシヤ
リュウ
リュウ
リュウはもう一度蹴りを入れる。
同じ手は通用しないよとばかにヨシヤは逃げる。
リュウは小ぴょんぴょん跳ねる小男を追いかけた。
二人とも少年時代に戻ったようにじゃれあった──。
✒
誤って削除してしまった【禁じられた迷宮 水曜日の疾走】を、内容を再編して投稿しました。
リュウの妹トワのエピソードをつけ足しました。
少し長くなってしまいましたが💦最後までお読みくださり、ありがとうございました。
武藤径
🙇