テラーノベル
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本作品は、オメガバースパロディを土台に、青桃>赤桃が含まれております。
桃
好意と共に差し出された手を拒む。相手の瞳の彩は濁って淀み、表情の華が消えていく。
桃
青
無理に表情を造り、笑顔を浮かべているかのように魅せる彼の深淵は黒く染っているだろうに。
青
青
切なく目を細める彼の面から顔を逸らし、小さくつぶやく。
桃
そのまま彼に背を向け、足早に後退の足を進めた。
黒
耳に宛てがう電子機器の先で耳を打つこの声。
メンバーの兄貴肌である彼に先日の出来事を打ち明けた。
元々秘密事やプライベートをベラベラと喋り散らかす性では無いが、彼の口の固さと情の熱さを信頼してのことだった。
黒
桃
桃
黒
桃
桃
黒
桃
黒
桃
彼にだけ明かしている秘密事はもう1つある。それは、おれの第二の性がΩだと言うこと。
スペックだの何だのでαだと思われがちであるし、つい最近までαだった。
だが、とあるメンバーと2人で我が自宅に寝泊まりした日、ちょうどその日、第二の性はαからΩへと転換した。
ここからは彼にも明かしていない秘密。
第二の性が転換してしまった大きな理由は憶測であるが2つ。
1つ目は、己が運命の番から生まれた子であり、Ω側である母兼父は稀なほどΩ性が強かったそう。逆に、父はα性はさほど強くなかった。
よく言えば奇跡的なα性と言ったところだろうか。何かの拍子に3割ほどを占めるΩ性が開花してしまったのかもしれないとのこと。
そんな愚題を省いて2つ目、極端に己よりも圧倒的に強いα性の男性と、同じ寝具の上で眠りにつこうとしたからだそう。
お互いパーソナルスペースが広い方ではないが、ボディータッチは激しいというおかしなもので、同じ寝具の上など気にせずに横になっていた。
眠りにつくという人体が最大級に油断をする場面での接触でΩ性が開花したのだろうという。
おれはそのα性相手と1夜を共にした。
あまりにも相性が良かったのか、初めての経験に開花をしたのかしらないが、お互いテンションが上がって自制が効かなくなったその拍子に、α性を持つ相手がおれの項を噛んだ。
それは紛れもない番の暁である。
当時は興奮なんて冷めるほどに驚愕した。
相手も申し訳ないと謝罪の念を込めてひたすらに謝ってきた。和解金すら払おうとしてきた。
だが、それを拒み、このことは2人だけの内緒にすること、今後一切体の関係は持たないことを約束し、固く口を閉ざした。
だからおれには今、番がいる。
番がいると、契りを結んだ事で契約となる。それは体にも刻まれ、他のα性と性交渉をすることを、全ての細胞から産毛に至るまでが拒絶する。
簡単に言うと、1度番になってしまうと、Ω性だけが番のα性以外に新しく恋人を作ることも、
性交渉をすることも、ヒートを抑えることも、膨大な嫌悪感によりできなくなる。ということ。
人生を尽くハードモードにしてくれたその番の殿方はこのメンバーにいる。
アニキとの電話を終えてすぐ、折り返すかのようなスピードで再度スマホの通知音が鳴り響く。
述べた通り折り返しかと思えば、他のメンバーからの着信であった。
桃
赤
桃
赤
桃
もうアニキがベラベラと喋ってしまったのかと身を震わせたが、予想外の人からの暴露だったらしい。まぁ妥当であろうが。
赤
赤
赤
次第に鉄の板越しの声は震えて小さく弱々しくなっていく。
桃
桃
桃
赤
桃
桃
赤
桃
罪悪感なのか懺悔なのか、感受性が豊かではないから察しはつかないが、番という契りを結んでしまったメンバーからの着信を切断した。
深夜25時38分。
ノートパソコンに付属するキーボードの無意識に覚えた配置に指を叩き込む。
桃
柄にもなく仕事に意識が向かない。
やはり、先日の告白に加えりうらからの電話だろう。
情報を上手くアウトプットできない。
元々、仕事は仕事、プライベートはプライベートと割り切るタイプであったのに、ここまで整理できないとは愚かだ。
彼らはあくまでも仕事仲間。
好きという愚かな雑念は断ち切るべきだと心に誓ったはずなのに。
オマケに結ばれることの無い運命、りうらが悪いなんて思っちゃいないが、心にくるものは多少ばかり残っている。
りうらのことはライクの意味で大好きだし、仕事仲間であり人生の後輩であるから、そんな年下にグチグチ言ってる暇はない。
仕事だ。仕事に集中しろ。
桃
そう言い聞かせ、意識を完全に仕事に打ち込もうとした時だった。
視界に映る光が徐々に狭まり、手足に力が入らない。
ゲーミングチェアから崩れ落ちるかのように体制を崩し、意識を飛ばした。
〜1話目終了〜
特に今回の話はセリフより視点の心情を多く綴っています。しかも私基準ではかなり長編になる予定です。
既に5話までは書き終わっているのでぼちぼちの頻度で後日投稿させていただきます。
まだエンディングも決まっていない見切り発車なのでハッピーエンドとかも全然決めてないです😓😓
もしよろしければ、お手数ですがこのエンディングの方がいいよ〜〜〜ってコメントしていただければ幸いです🙏🏻
ご愛読ありがとうございました
コメント
1件
いやん切ない(( まろちゃんがちょっと可哀想に思えてきた🥲赤組が契約しちゃったからなんか知らんけどわぁおってなる(?) 続き待ってます(急)