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僕の独白①
思い返してみれば、この事件こそ僕と千早が出会ったきっかけとなった事件だった。
あの時、彼女がいなかったから、もしかすると僕はこの世にいなかったのかもしれない。
そう考えると、千早は命の恩人で、そして僕にとって大切な人でもあるんだ。
これは、僕と千早の出会いの物語。
【惨殺アイちゃん】にまつわる、事件のお話だ。
その日もクラスは騒然としていた。
クラスメイト
クラスメイト
クラスメイト2
クラスメイト2
最近、世の中を――いいや、この学校を震撼させている事件がある。
彼は小さくため息を漏らした。
一里之
彼の名前は一里之純平(いちりの じゅんぺい)という。
やや引っ込み思案であるが、クラスに馴染めていないわけでもない。
いわゆる、どこにでもいる普通の高校生というやつで、別に目立ったグループに属しているわけでもなければ、クラスから疎外されているわけでもない。
要
ふと、一里之の席に女子生徒がやってくる。
相川要(あいかわ かなめ)は、純平の幼馴染。
超がつくほどの腐れ縁というやつで、小さい頃からずっと一緒だ。
こういう関係というのは、もはや家族みたいな感覚であり、互いに恋愛感情なんて抱いたりはしない。
ただ、家族のように思っているからこそ、最近起きている事件について、一里之は頭を悩ませていた。
一里之
一里之
要
相川が見せてきたのはスマホの画面だった。
要
一里之
一里之
一里之
一里之が頭を悩ませているのは、惨殺アイちゃんのSNSから犯人探しが始まっていることだった。
田舎の高校で、連日のように動物が殺害され、校内に遺棄される事件が起きている。
その犯人と思われる人物が、毎日のようにSNSを更新しているのだ。
娯楽の少ない田舎で、これだけセンセーショナルな事件が起きれば、騒ぎにならないわけがない。
要
要
一里之
惨殺アイちゃんなる人物は、まるで世間をもて遊ぶかのごとく、自分の情報をクイズ感覚で小出しにしている。
それにより迷惑をこうむっているのは――実際に本名に【アイ】が含まれている人間だ。
すなわち、幼馴染の相川要もまた【アイ】が含まれている人間として、疑われている。
――といっても、目の前で疑うようなことをする生徒はいないが。
要
クラスメイト
クラスメイト
ふと、不意にクラスメイトから声をかけられる。
要
相川は歌うことが好きで、学校帰りに1人でカラオケに寄ったりしている。
たまに一里之も誘われることがあるが、断ったら断ったで、本人は迷うことなく1人でカラオケ店に入っていくのだ。
よくも1人でカラオケができるな――と感心したことがある。
クラスメイト
奇妙な問いかけをするだけして、自分のグループに戻って行った男子生徒。
スマホを見た相川が呟く。
要
惨殺アイちゃんの書き込み。
それを見て、確認に来たということは、やはり相川が疑われているということなのだろう。
ふと、そのグループの方へと視線をやっていた一里之は、その向こうにいる女子生徒と不意に目が目が合った。
千早
一里之
目が合ったのは一瞬のことで、一里之は思わず目をそらす。
一里之
一里之
クラスメイトの猫屋敷千早は、物静かでどこかミステリアスな雰囲気を漂わせている。
特定の誰かと一緒にいるわけではなく、しかし孤独というわけでもない。
どこか近寄りがたい印象はあるものの、どちらかといえば一目を置かれている――そんな印象が強い。
担任
朝の騒がしさは、担任の一言で静寂へと変わる。
連日、動物の死体が遺棄されているというのに、しかし担任は何事もないかのように朝のホームルームを進めていく。
一里之
こうして、いつもと変わらぬ1日が始まる。
この学校内に、狂気をはらんだ人間がいるなどとは思わずに。