本当にあった怖い話をしよう。
もう本当震えた。 10月も後半になった、とか季節的な理由じゃない。
俺はホラードラマみたいなスリルは大好きだけど、これは心臓に悪い。嫌。
__とにかく俺を心底怖がらせた恐怖体験は学年主任の1言で始まった。
「西谷 先生宛てに電話かかって来たよ」
放課後。 職員室のドアを開けると丁度主任が退室しようとしていたところだった。
俺が主任に進路を譲ると主任は思い出したようにそう言ったのだった。
「超大手企業の山川って人。女の人だよ。あとで掛け直させるよう言ったからね、掛け直してね」
……ホラー①。 俺はその苗字に心当たりがある。
嫌な予感がするなーと思いながら自分の席に着くと、何かメモ用紙が置いてあった。
電話番号が記されている。 主任の話ではこの番号に掛け直せと言うことだった。
090から始まる番号に掛けると___2コールで予想した通りの人が出た。
山川 なごみ
ホラー②。
西谷 春翔
西谷 春翔
吉田
西谷 春翔
そこまでまくし立てて言葉を切った。 あれ、なんで会話が成立して…
……なんと俺の隣に吉田くんが座っていた。 ホラー③!
西谷 春翔
吉田
吉田
西谷 春翔
吉田
西谷 春翔
吉田
西谷 春翔
朝刊に俺の名前が載る未来を想像し震えていると 不機嫌そうな咳払いが聞こえた。
保健室の先生
ファイルを小脇に抱えた保健室の先生が俺を睨み付けていた。
保健室の先生
西谷 春翔
保健室の先生は俺から顔を背けると大股で印刷機の方に歩いて行った。
保健室の先生
西谷 春翔
保健室の先生
保健室の先生
__保健室の先生とは柚月君がテスト中に倒れた時以外にも何回か話したことがあるけど、何故か俺に対するあたりが きつい。
吉田
今まで黙ってやり取りを聞いていた吉田くんが何やら納得したように頷き____とんでもないことを口にした。
吉田
西谷 春翔
保健室の先生
西谷 春翔
保健室の先生
西谷 春翔
保健室の先生
保健室の先生は一際キツい声で一喝すると不機嫌そうに職員室を出て行った。
西谷 春翔
吉田
吉田
西谷 春翔
吉田
20時頃。 俺が指定された待ち合わせ場所に赴くと(吉田くんもついてきた)、相手__なごみさん からまさかの30分遅れを繰り出されていた。
西谷 春翔
吉田
西谷 春翔
吉田
吉田くんはスマホ画面から顔を上げずに興味無さそうに続けた。
吉田
吉田
吉田
吉田
西谷 春翔
吉田
西谷 春翔
西谷 春翔
吉田
西谷 春翔
吉田くんのスマホを弄る手が止まった。
吉田
吉田くんはスマホをスリープ状態にすると肩をすくめた。
吉田
吉田
予想外の質問に一瞬戸惑った。考えたこと無かった。
…でも吉田くんのコミュニケーション能力なら もしかしたら、と思う。 ___そんな俺の心情を見透かしたように
吉田
吉田
吐き捨てるように、はっきりと吉田くんはそう言った。 真っ黒なスマホ画面に目を落としたまま吉田くんは続ける。
吉田
吉田
吉田
吉田
吉田
黒いスマホ画面に時折吉田くんの爪が当たる。 それはまるで呪詛を唱えている ようだった。
学校ではいつも大声で話し存在感を発揮する吉田くんは、今静かに、とても静かに怨嗟の言葉を並べている。 俺は声も出せず吉田くんを眺めていた。
吉田
吉田くんは持っていたリュックからペットボトルを取りだすと、4分の1ほど残っていた水を飲み干した。
吉田
ベキッ と音を立てて吉田くんの手にしているペットボトルが へこんだ。
吉田
吉田くんは嗜虐的な笑みを浮かべたままペットボトルを持ってゴミ箱の方に歩いて行った。
呆然とその後ろ姿を眺めていると__
山川 なごみ
一転して軽やかな声と 左腕が何か柔らかいモノに包まれた。
見ればスーツがよく似合う女の人___のぞみのお姉さんの なごみさん__が俺の左腕に自身の腕を絡めていて非常に柔らかい。
山川 なごみ
西谷 春翔
山川 なごみ
西谷 春翔
さっきから左腕に柔らかいモノが当たったり離れたりしてるけど、俺は昔とは違うので心を乱されたりはしない。
むしろ柔らかいこの状況を吉田くんに柔らかい見られた時の柔らかい説明で頭がいっぱい柔らかいで、全然気にならない柔らかい!!
___その吉田くんはと言うと、カビが生えたパンを見るような目で俺を見ていた。
ちなみに吉田くんの なごみさんに対する評価は「ネタにする価値も無いイタイおばさん」らしい。
「26ってババアじゃん。センセーはこんなんがタイプなんだ」と言って帰って行った。
なごみさんに説明するの大変だったヨ!
ヒロ
西谷 春翔
説明しよう。
吉田くんと別れた後、なごみさんの機嫌を直し、「とりあえず何か食べよう」と言うことになり
飲食店を探していると 疫病神、間違えた俺の通っていた大学の後輩と出くわした。
後輩の無駄に高いコミュニケーション能力により初対面のなごみさんともすぐに打ち解け、夕食を共にすることになった。
(図々し、間違えた物怖じしない後輩が選んだ)飲食店でなごみさんが席を外した瞬間、後輩は俺にそう囁いたのだった。
西谷 春翔
ヒロ
後輩はさらりと爆弾を落としたが別に驚きはしない。
後輩の言う「彼女」とは飼い猫のことであり、以前のぞみたちも巻き込んで彼女探しに付き合わされたこともある。 今回もそう言ったアレだろう。
西谷 春翔
すると後輩は目と口を丸くして呆れたように首を横に振ったではないか。
ヒロ
耳 を 疑 っ た
ヒロ
そう言って後輩がスマホ画面を俺に見せてくる。 そこに写っていたのは___
結 構 な 美 人 だ っ た
西谷 春翔
ヒロ
ホ ラ Ⅰ ④
リ ア リ Ⅰ ? ?
どうやらこれは夢じゃない、と認識した瞬間、俺は後輩の両肩を揺さぶり ここが公共の場であることも忘れて声を張り上げていた。
西谷 春翔
ヒロ
西谷 春翔
山川 なごみ
戻って来たなごみさんにメニューの角で頭を叩かれるまで俺は我を忘れて後輩を揺さぶっていた。
西谷 春翔
俺はテーブルに突っ伏して伝票置くなんかプラスチックのアレを コロコロと転がしていた。 頭上からなごみさんの声が降って来る。
山川 なごみ
山川 なごみ
西谷 春翔
山川 なごみ
ヒロ
山川 なごみ
山川 なごみ
山川 なごみ
山川 なごみ
ヒロ
山川 なごみ
ヒロ
西谷 春翔
ヒロ
西谷 春翔
山川 なごみ
西谷 春翔
吉田! 今年もやるらしいぜハロウィンのあれ
あそーじゃあ行きたい奴適当にアンケ取っといて
まーた何か頼まれ事?
うん。「ハロウィン祭」のボランティア
あーあの超おっきい会社がやってるやつね
なんか今年はお兄ちゃんも手伝いに行くらしいんだよね
のぞみさん__お兄ちゃんの同級生で朋ちゃんの弟さんの友達の彼女さん、のお姉さんが働いてる会社らしくて
…絶対お兄ちゃん暴走しちゃうし、止めに行かないと
ふーん…じゃあたぶん
アホガキ 孝 太 も行くよね。彼女連れて
私も行こっかなー。あいつの彼女?見てみたいし
お姉ちゃんからハロウィン祭のお誘いが来たんだけどさ、息抜きに皆で行かない?
息抜きは大事 行きたいです 息抜きは大事
私なんだかんだ言ってあんまり行ったことないねんなー
僕も行ったことないから行きたいです
ヒロ
ヒロ
山川 なごみ
西谷 春翔
ヒロ
西谷 春翔
山川 なごみ
山川 なごみ
ヒロ
西谷 春翔
__それぞれの思いを乗せてハロウィン祭が、始まる…!
コメント
5件
なるほどな、吉田、君の価値観というか感じ方は否定しないよ しかしそれでいじめをしていい理由にはならないからな そこに関しては私は許さんからなマジで というか最近ちゃんと抗ってるよ!色眼鏡で見るのやめたらちゃんとわかるよ! 相変わらず心労の絶えない元彼くんですね…きっと1番のいじられキャラだと思ってます()
第四章は元彼さんが主人公なんですね! なんだかんだ前は好きじゃなかったんですけど最近は結構いい人だなーって気に入ってたりもします笑 吉田くんも酷いことしないで黙ってればいいやつっぽいなって密かに思っておきます。笑 第四章も楽しみにしてます✨✨
澪「ホーム画面の[続きから読む]から読んだ人は[通知]→[フォロー]→[非リア弟さんが新しい投稿をしました]を覗いて見て。頭おかしいから」 元カレ君「確か[あらすじ]に書いたやつ全文反映されるようになってると思うから。あと吉田くんの暴言は吉田くん個人の意見だよ。俺は女性はいくつになっても美し……どこかからテニスボールが!?」 読んでくださりありがとうございました❗