ガチャッ
今朝、二人して傘を持っていかなかった為、心配していたが、帰ってきた元貴はズブ濡れになっていた。
大森
うわーめちゃくちゃ濡れた!
若井
ちょっと、大丈夫?!
大森
あ!若井居たんだ!
若井
うん、今日は雨だから部活休み。
おれは元貴に玄関で待つように言って、タオルを取りに行く。
若井
はい。これ使って。
大森
ありがと。
元貴は雨で前が見えなくなった眼鏡を外すと、ガシガシと顔と髪の毛を拭いた。
濡れた前髪を上げ、頭にタオルを掛けこちらを見る元貴。
大森
これ、服脱いだ方がいいよね…。
頭を拭いたところで、服がビチャビチャな為、そのまま入られると、部屋が大変な事になりそうだ。
が…どうしたんだろう。
おれの心臓はそれどころじゃない。
ドキドキドキドキ…
元貴に聞こえてしまうんじゃないかと思うくらい心臓が高鳴っている。
濡れた髪に、 雨で濡れて肌に張り付いたシャツ。
眼鏡を外した顔で、何も言わないおれを不思議そうに見る元貴。
そんな元貴から目が離せない。
大森
…若井?大丈夫?
若井
え、あ、うん!
大森
じゃあ、ぼくここで脱いじゃうね。
そう言うと、元貴はシャツのボタンに手を掛け、なんの恥じらいもなくどんどん脱いでいく。
おれは未だに目を離す事が出来ずにいた。
シャツを脱ぎ、中に着てたTシャツにも手を掛け脱いでいく。
若井
あ、おれ、お風呂にお湯入れてくる!
元貴、冷えてるでしょ?
そのままお風呂入っちゃって!
元貴、冷えてるでしょ?
そのままお風呂入っちゃって!
元貴のお腹が見えた辺りで、我に返り、そう言いながら風呂場に向かった。
大森
ありがとー!
玄関から元貴の声が聞こえてくる。
若井
じゃ、おれちょっとやる事あるから部屋に居るね!
大森
はーい。
おれは湯船の蛇口を捻ると、元貴の方を見ないようにして自室に向かった。
若井
な、んで…?