僕の帰る場所

桃赤 青黄

僕の帰る場所

いよいよ高校合格発表の日。

パパに車で送って貰い

僕は青ちゃんと

結果を見に来ていた。

僕が受験番号の紙を

目の前の青ちゃんに押し付けると

彼はちょっと笑って

人混みに消えていった。

....自信なんてなかった。

受かっているなんて

思ってもない

ぎゅっと首元のマフラーを

握りしめて目をつぶっていると

青ちゃんの声が聞こえ

彼の手が僕の手に重ねられた。

ゆっくり目を開く。

そこには泣きそうな顔の

彼がいて

あぁ、僕落ちたんだな

なんて他人事のように思った。

すると急にすました青ちゃんの顔が

クシャりと歪んで

満面の笑みを浮かべる。

目を丸くする僕に

青ちゃんが思いっ切り抱きついてきて

後ろにひっくり返りそうになった。

黄くんのおかげだと

赤くなった鼻で

にへへと笑う彼。

頭がふわふわして

思考が追いついていない

僕の手を

青ちゃんはぎゅっと握りしめた。

手を繋いだまま

恐る恐る掲示板を見ると

確かに僕の番号があった。

僕は勢いよく先程の

青ちゃん同様抱きついて

嬉しさの余韻に浸る。

くすくす笑い合うと

僕はスマホを出して

病院に居るママに

電話をかけた。

3コールの後に

少し焦ったようなママの声が聞こえた

ママの声が半分途切れて

僕は何かあったのかと

少しぎょっとした。

電話越しに聞こえてきたのは

ママの嗚咽とそれを心配する

橙の不安そうな声。

スンスン鼻を鳴らすママは

僕に何度も何度も

''おめでとう''を繰り返した。

僕はニヤける顔を抑えながら

青ちゃんと別れ

駐車場で待っていた

パパの車の助手席に乗り込む。

複雑そうな表情で

不安そうなパパがこちらを見る。

少しイタズラ心が沸いた僕は

嘘をついてみることにした。

ドキドキしながら反応を待つ。

数秒、何も言葉を発さないパパ。

そして泣きそうな優しい声が聞こえた。

下手くそなパパの演技に

直ぐに罪悪感が押し寄せて

ネタばらし。

深くため息を着きながら

おでこをハンドルにのせるパパに

僕は笑いが止まらない。

''カンパーイ！！''

がちゃりと音を立てるグラス。

僕の大好物や

色とりどりの豪華なご馳走。

今日はママの退院祝いと

僕の受験合格祝いを兼ねて

我が家でホームパーティ。

そこには青ちゃんの姿もある。

もちろんテーブルに並べられたのは

ママとパパの作った手料理。

遠慮を知らない青ちゃんは

嬉しそうに料理を口いっぱいに

放り込んでいく。

すると橙を膝に乗せて

ご飯を食べさせているママに

スプーンを差し出した。

パパから突き出されたスプーンを

何とか阻止しようとするが

無理だと思ったママは

大人しく口を開ける。

ほんのり顔を赤くさせるママと

いつものように愛おしそうな目で

ママを見つめるパパ。

新婚夫婦か、

僕はいつものように白い目で見ていると

不意に隣の青ちゃんと目が合った。

ぷいっとそっぽを向くと

急に青ちゃんの細くて長い指が

口元に触れた。

そのまま悪戯っぽく笑って

指を舐める青ちゃん。

そんな僕達の雰囲気に

ママはニコニコ？ニヤニヤして

パパは青ちゃんを怖い目で

じっと見つめていた。

すると突然青ちゃんが

椅子からおり

こちらを向いて床にひれ伏した。

え？

その場にいた僕達は一瞬思考停止。

何を言い出すのかと

僕は思わず飲んでいた

りんごジュースを

吹き出しそうになってしまった。

そしてお決まりのように

パパが偉そうに口を開いた。

顔を真っ赤にしてアワアワしている僕に

ママはくすくす耳打ちをした。

呆れたとかなんというか

僕は無視をして

料理が温かいうちに

食べてしまう事に決めた。

その後、

パパと青ちゃんは

風の噂で仲良くなったらしい

何を話しているのかは

知らない....けど、ね....

すっごい間が空いて すみませんでした え....みんなこの連載覚えたよ、ね((( 改めまして 皆さんあけましておめでとうございます 今年もよろしくお願いします 今年も週一投稿頑張るぞぉぉぉ！！ 次で最終話です！！