VIPルームに案内されたリオルの前に
眼鏡をかけた男がテーブルで書類を整理していた
ジェイド
アズール、お客様がお見えです。

アズール
そうですか、ようこそ
オクタヴィネル寮へ。私はアズール・アーシェングロット。この寮の寮長を務めています。あなたがここに来た理由を、ぜひお聞かせいただきたい。

リオル
リオルだ。あんたのことは学園長から聞いた。情報通で、いろいろ詳しいやつってな。

アズール
学園長から私を推薦されたのですか。それは光栄ですね。……ですが、どうやら
あなたは私について、ほとんど何も知らないようですね?

リオル
その通りだ。あんたがどんなやつかも知らねえ。ただ、頼みたいことがあるからここに来た。

アズール
なるほど。私はこのような直球の依頼、嫌いではありませんよ。とはいえ、簡単な自己紹介をさせてもらいましょうか。

するとアズールはメガネをクイッっと上げながら自己紹介を始めた
アズール
私はアズール・アーシェングロット。契約と取引を好み、相互の利益を追求するのが信条です。つまり、私は協力する代わりに必ず対価を求める人間だと理解していただければいい。

リオル
随分とはっきり言うんだな。

アズール
ええ、誤解を招くのは好みませんので。それと、私が得意とするのは『情報収集』です。この学園において、情報や契約について、私以上に詳しい者はいないでしょう。

リオル
(……なるほど。これは確かに学園長の言う通りかもしれねえな。)

ジェイド?
へえ~、サメちゃんって変なやつ〜。アズールのこと何も知らないで来たんでしょ?

リオル
ああそうだ……って
ジェイドが2人……⁉︎

ジェイド
おや、そういえば紹介していませんでしたね。こちらは私の双子、フロイドです。

フロイド
どーもぉ、フロイドでーす。よろしくねサメちゃん。

リオル
サメちゃんだと?

フロイド
だってさ~、その目つきとガツガツした感じ、まるでサメみたいじゃん。特に小さい魚とか狙ってそうな顔してる〜

ジェイド
フロイドがこうして初対面の方にあだ名をつけるのは、彼なりの興味の現れなんですよ。

リオル
興味か……それにしても変なあだ名だな。

アズール
気に入らないなら今のうちに訂正することをお勧めしますよ。フロイドが一度気に入ったあだ名は、簡単には変わりませんから。

リオル
ああ、もう勝手に呼べよ。どうせ止めても聞かねえだろ。

アズール
さて、自己紹介も済んだとこですし、早速あなたの持ってきた『話』を聞かせてもらえますか?

リオル
ああ。

そうしてリオルは持ってきた地図を机の上に広げて、アズールたちに見せる