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休みがあけた月曜日

私は保健室の扉の前に来ていた

そしてそのまま扉を叩いた

保健室の先生

あっ、夕日さん!

et

またここでお昼ご飯食べさせてもらえたらと思ってきたんですけど......

保健室の先生

あー、ごめん!今から少し職員室に戻らないといけなくなっちゃって.....

et

そうですか......

保健室の先生

あ、でもすぐに戻って来れると思うからご飯はここで食べてもらって大丈夫!

保健室の先生

鍵は閉めていくね!

先生の気遣いに甘えさせてもらう

先生が出て行った後机のそばに 椅子を引き寄せてそこに座る

et

美味しいなぁ.....

ふと壁にかけられている時計を見上げる

今は13時10分だった

お昼休みは30分までだ

et

先生、早く戻って来ないかなー

コンコン/窓

びっくりして肩が跳ねた

et

な、何....ッ!?

振り返ると窓ガラスの向こうに 男の子が1人立っていた

真っ暗な黒髪に綺麗な赤メッシュ 綺麗な二重の目に赤色の瞳

この人どこかで見たことがあるような?

ぽかんとしていると彼の手が もう一度窓ガラスを叩いた

私はハッとして窓を開けた

yan

ありがと

声変わりを終えたような低い声は 少しぶっきらぼうで身構えてしまう

そんな様子に気づいていないのか 彼は保健室の中へと視線を移した

yan

先生、いないの?

et

今、職員室に行ってて

yan

あー、まじか。どうしよう、これ

彼があげた左腕の肘からは血が出ていた

et

いっ.....

yan

い?

et

あ、いや、その....痛そうだなって

yan

あ、そう。

yan

先生って戻ってくる?

et

うん、そう言ってた

私は頷くと彼は眉を少し寄せた

yan

止血したくても自分じゃできないし、このままだとシャツ汚れそうだから中に入れて欲しいんだけど

お留守番させてもらっている私が 勝手に入れていいのかはわからない

だけど血が出ている腕が 痛々しくて保健室に招き入れた

yan

ありがとう

彼が中に入ってきて面と向かうと 私よりもはるかに身長が高い

et

とりあえず洗ったほうがいいよ。ばい菌が入っちゃうし......

水道に視線を移しながら いうと彼は素直に頷いた

yan

urたちとサッカーしてたんだ

傷口を洗う水の音を聞いていると 彼が静かに口を開いた

yan

ドリブルで抜こうとしたらあいつの足に引っかかってそのまま大転倒

淡々と進められる話に頭が追いつかない

yan

女子も何人か参加してたし、etさんも今度一緒にやろう

思わず、えっと声が漏れた

et

な、なんで私の名前......

yan

なんでって.....同じクラスの夕日etでしょ?

私の質問に彼は 怪訝そうな顔をして答えた

そうだ、この人......!

et

赤灯、くん

"どこかで見たことあるような"

ついさっき感じたことを思い出す

yan

うん、正解。知ってたんだ俺の名前

yan

でも、みんなyanって呼ぶからetさんもyanって呼んで、堅苦しいから

私のことを試すような目で 見つめられ仕方なく口にする

et

わ、わかった。

et

yanくん、これでいい?

yan

うん

赤灯yan

それはこの目の前の彼の名前

クラスで人気者のグループにいる男子

だけど、落ち着いた雰囲気のyanくん

なんで私すぐに気づかなかったんだろう

yan

......で?先生のいない保健室に、なんで、etさんがいるの?

彼の質問に視線を泳がすけど yanくんは見逃さなかった

yan

この前、一緒に食べないかってクラスのやつに誘われてたよね?

脳裏に声をかけてくれた子の姿が浮かぶ

yan

それを断ってこんなとこで食べてるの?

呆れたような声とポーカーフェイス

yan

なんか感じ悪いね、etさん

長い息を吐いて言われた言葉は 私の心を深く突き刺した

感じ悪いとか...... そんなの私が一番わかってるし

でも、しょうがないでしょ

もうすぐ死んじゃうんだから

......しょうがないじゃん

et

そんなことyanくんに言われる筋合いないよ

鼻の奥がつんとするのを 我慢してyanくんを睨んだ

もう教室に戻ろう

そう思ってyanくんを 置いて保健室を出た

yan

etさん

放課後教科書を整理していると 聞き覚えのある声が私を呼んだ

なんで声をかけてくるの.....!?

yan

おーい、無視しないでよ。感じ悪いよ

周りにはクラスメイトがいるのに いったいなんの嫌がらせ!?

目に力を込めて顔を挙げると yanくんと目が合った

yan

やっとこっち見た

乗せられた時づいた時にはもう遅かった

yan

ほら、いくよ

et

え.....っ!?

yanくんは私の腕を掴んで 教室を飛び出した

yanくんに連れて来られたのは 誰もいない体育館だった

体育倉庫から取り出した バスケットボールをつくyanくん

体に響く音が、振動が、 私の胸を強く締め付けた

et

なんで体育館なんかに......

yan

今日、職員会議で全部の部活が休みなんだ

yan

だから誰もいないと思ってきたけど、ビンゴだったね

私が聞きたいのはそういうことじゃ......

その時yanくんがシュートを打った

放たれたボールが綺麗な弧を描いて リングに吸い込まれて行った

et

yanくんってバスケ部なの?

yan

うん。小学校の頃からやってる

yan

俺、落ち込んだ時とかバスケのことだけ考えるようにしてたんだ

yan

体を動かしてる時は嫌なことも忘れられるってような?

今度はレイアップ

高さのある綺麗な フォームでこれも決まった

yan

etさんも打ってみてよ。決まったら気持ちいよ

etさんもって.....

yanくんには私が嫌なことを 抱えてるように見えたの?

yan

ほら

yanくんに声と共にボールが飛んでくる

反射的にそれをキャッチして 避ければ良かったと後悔する

ちょっとざらついた一年振りの感触

バスケットボールならではの重み

et

........っ

思い出してしまう

耳にこびり付いてはならない

バッシュの音

忘れたくても忘れられない シュートが決まった時の快感

思い出したって2度と 取り戻すことはできないのに

et

........帰る

yan

え、ちょっとetさん!

捨てるようにボールを 手放して体育館を出た

yanくんのバカ

自分のストレス解消法を 他人に押し付けないでよ

もしかしたらバスケが嫌いな人が いるかもしれないでしょ

バスケが大好きでしょうがなくて.....

でも諦めるしかなかった人も いるかもしれないでしょ

みんなもう帰ったのか あたりに人はいない

体育館を出た裏口の壁に 崩れるようにしゃがみ込む

et

ふッ......は.....ッ...

et

.......っ

思い出しそうになった バスケへの思いを閉じ込めようと

ぎゅっと目を瞑った

余命半年の私が最後に紡いだ物語

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コメント

10

ユーザー

話作る天才じゃないですか? まじでこの話好きだ!!!

ユーザー

神様って、本当にいたんだね… こちら新アカです!よろしくお願いしますm(_ _)m

ユーザー
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