いっちゃんのおいしいごはんを食べて
その後もたくさんの動物を見て
あっと言う間に帰る時間になってしまった
17時までには児童相談所に戻らなければいけない
何となくわかっていたけれど
どうしても離れたくなくて
美結
郁美
美結
美結
握りしめた手を離したくなかった
いつまでも二人のそばにいたかった
でも相談所の職員さん達は
無理に私を車に乗せることはせず
しばらく見守ってくれていた
拓郎
拓郎
郁美
郁美
美結
やっと落ち着いて車に乗ると
直ぐにいっちゃんが隣に座ってくれた
拓郎
拓郎
沢村(職員)
沢村(職員)
再び職員さんが助手席に乗り
もう一人の職員さんが別の車に乗った
動物園を出発して直ぐ
歩き疲れた私は眠ってしまい
それでもいっちゃんは私の手をずっと握って
反対の手で何度も頭を撫でてくれていた
職員さんがミラー越しにそれを見ていて
樋口(職員)
拓郎
樋口(職員)
拓郎
拓郎
郁美
郁美
樋口(職員)
驚く職員さんに
たっくんは亡くなった父のことを話した
とても仲のいい兄弟だった
でもお互いに忙しくなり
何かあれば電話で話しはしたものの
なかなか会うことができず
たっくんの結婚が決まって
式の招待状を送ったけれど
仕事で出席できないと連絡があった
まさかその電話が
弟との最後の会話になるとは思わなかった
拓郎
拓郎
拓郎
樋口(職員)
知らせを受け真っ先に駆けつけた祖父母
しかし既に火葬され父の姿はなく
祖父は怒り祖母は絶望し
祖父母の涙ながらの訴えを聞いたたっくんは
いっちゃんと共に父の元へ向かった
錯乱状態の母や、母方の親戚と口論になり
その後、衰弱した状態で発見された私を
いっちゃんが救急車を呼んで助けてくれた
後に母のネグレクトが発覚
拓郎
拓郎
樋口(職員)
拓郎
樋口(職員)
郁美
郁美
郁美
今ではこうして
いっちゃんは愛情を注いでくれている
私にとって大好きな人になっていた
コメント
2件