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#大衆食堂
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#追放
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本日の『大衆食堂時家』は忙しくもなく、暇でもなく、良い感じ。
耕太
ママさん
耕太
優華
隆
耕太
大将
耕太
ママさん
開店してすぐ。お客様は今テーブルに青年3人組のだけだ。 みんなの話を静かに優華は聴いていた。
和彦から結局もらうこととなった傘は、時家の優華専用置き傘になった。
三人組のお客にお冷を注ぎに行った時だ。一人の男性客が入店した。 高級感漂うオーラ。それでいてやんちゃで無邪気な少年のようなムード。
和彦だった。
大将
か、和ちゃん?
急に和彦が現れたことにもびっくりしたが、呼びかたよ。
和彦
ママさん
和彦
和彦
ウォーターピッチャーを抱えたまま、固まっている優華。
優華
うつむきがちの優華だ。
大将
和彦
ママさん
和彦
大将
隆
その時カップルのお客が1組入って来て隆が接客へ行った。皆それぞれの持ち場へと戻る。大将とママさんは厨房へ入り、耕太は3人組の青年に再び呼ばれオーダーを取っている。
和彦のテーブルへお冷とおしぼりを持って行くのは看板娘の役目となった。
和彦
優華
勘違いしちゃう看板娘・優華。
馬鹿ね、あたし。お店のことを訊かれてるのに、誘われてるっ? てどこかで思った。恥ずかしい
優華
和彦
チャン付け……
和彦
優華
和彦
男性っていっぱい食べるのよね、と優華はなにかドキドキした。
優華
注文を告げるため厨房へササっと行き
優華
大将
嬉しそうに大将。
優華
大将
大将が豪快に笑った。
和彦は時家のカツ丼を相当気に入っているらしい。
いっそのこと『カツ彦』に名前変えちゃえばいいのに
自分の想い付いたことに吹き出しそうになる優華。
――――和彦にカツ丼を運ぶのもたまたま優華の役目となった。
和彦
サラッと言う。不思議なほど全然下心を感じさせない和彦。
はっきり言ってセクシーな男性なのに。
優華
お客に自分の気持ちを語るなどしたことがない優華であるが、和彦にはポロッと言葉が出た。
自分自身に驚く。
和彦
待ってましたとばかりに箸を手にする和彦。
優華
実に美味しそうに食べる。食べっぷりの良い和彦。見ているとなんだか和む。それと、和彦が食べている行為が、優華にとっては色っぽい。
大将
優華
前のめりな優華だ。
大将
いつもはしとやかな優華の勢いに少々たじろぐ大将。
隆
ママさん
隆
しゅんとする隆。
カツ丼を食べ終えたらしい和彦が耕太を呼んだ。 優華がその様子を見ていると、耕太がビールサーバーへ向かいジョッキに生ビールを注ぎ和彦のもとへ運んだ。
和彦
大将
和彦
大将
ママさん
和彦
あんなにしつこくて、どこが優しいスカウトだったのかしらー。ま、傘をくれたのには感謝しているけど
大将
和彦
グイッとビールも美味しそうに飲む和彦だ。
***
その日を境に、和彦は毎日のようにランチを食べに時家にやって来るようになった。
優華
和彦
ちなみに、あれからもひたすらカツ丼を頼み続けていた和彦だったが、例の『雨上がりの日』から2週間経った今日、こんなことを優華に言って来た。
和彦
優華
和彦
優華
ついに今日言った。
和彦
笑いながらそう言った直後、和彦が少し顔を赤らめたように見えた。
二人はこうして時家にて、ちょっとした談笑を繰り返すうち、打ち解けて行った。
――――ある日、仕事を上がった直後、店を一緒に出た耕太が話し掛けて来た。
耕太
優華
いきなり小声になる耕太。
耕太
優華
慌てる優華に告げる耕太。
耕太
優華
耕太
耕太は自転車にまたがり行ってしまった。
――――その夜、優華はあれこれと考えた。無論和彦についてだ。
彼女、いるのかなー。今日、耕太君が言ったことって当たっているのかなあ……? なんだか気になってしょうがないなー
ここまで甘いため息をついておきながら、自分自身の心の機微に鈍感な女なのだ、優華は。 和彦への恋心に気づいていない。 人の気持ちには敏感な女なのだが……どうしたことか。
***
優華
今日も駅前に立って仕事をしている和彦に、出勤途中に挨拶をする優華。
いつもと様子が違う。いつもは朗らかな挨拶が返って来るが、今朝の和彦の表情にはなにか厳しいものが見て取れる。
和彦
優華
和彦
優華
和彦
優華
和彦
優華
――――和彦が口にした『女性として』と言う言葉が優華には引っかかる。 即座に思い付いたのは『恋愛相談』だった。
ハーッ、和彦さん、好きな人がいるのかな~。きっとそうなんだわ。なんか淋しい……
優華
街中で結構な声のボリュームで飛び出した感嘆の声。
人にジロジロ見られ、我に返り口を抑えた優華。
あたし、和彦さんのことが好きなんだ――――?!
気づくのが遅いね~、優華。
――――そうしてランチの賑わいも落ち着いた14時過ぎ、和彦が時家を訪れた。
大将
ママさん
大将とママはまるで和彦のお父さんとお母さんのようだ。実際、大将と和彦の父親は5つしか年が変わらない。大将のほうが年下だ。
和彦
覇気のない声だ。
大将
お客は和彦一人だけだったが、ちょっとだけ囁くような声で大将が言った。
和彦
ママさん
和彦
今日は耕太の休日だ。ホール係は優華と隆だ。 優華がお冷とおしぼりを持って行った。
和彦さん、恋煩いなのかな~。ハー。切ない片想い……。でも力になってあげよう、もしもそうでも
優華
皆に聴こえない声で『大丈夫ですか』と優華は付け加えた。
すると皆の目を盗み
和彦
と名刺を渡す。
優華
こっそりデニムパンツのポケットに忍ばせた。