テラーノベル
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いつもの帰り道、和彦が普段スカウト活動に精を出している場所を見ると和彦の姿がない。
どうしちゃったんだろう、和彦さん。暗ーい顔してたもんな~
優華はトボトボ歩きになりそうな自分を奮い立たせ、和彦の力になってあげねばと家路を急いだ。
名刺の裏にはペンで、ROUL(連絡用アプリ)のアカウント名と印刷されているものとは違う携帯電話の番号が書かれていた。
優華
くいしんぼうの優華は、バスタイムは後回しにするにしてもペコペコのおなかをまずは満たし、落ち着いた気持ちで和彦の番号をタップする。名刺の裏のほうの番号にね。
優華
和彦はすぐに電話に出た。
優華
和彦
思いのほか明るい声音で安心する優華。
優華
和彦
ギクッ! わわわ、もしかしてあたしの勘違い? 相談ってえ……まだあたしのことをスカウトする気なのかな? 和彦さんたら?
優華
和彦
優華
和彦
なぬ!? ってことは? ことは? もしかして……あたしと和彦さんって、両片想いなのかしらん♡
妄想の止まらぬ優華。
今となっては和彦のことを信頼している優華だ。兎に角和彦の望む通り、直接会って相談に乗ることとなった。
優華
和彦
なぬ!? 密室。二人っきり……あ、事務所で相談する時点で密室かぁ
エロチックな妄想が浮かぶ優華であったが気を取り直し
優華
とワンルームマンションの場所を教えた。
和彦
優華
優華を和彦が迎えに来るのは、優華の休日である明後日午前10時、と決まった。
***
――――翌日。
優華
耕太
ママさん
和彦が今日もごはんを食べに時家にやって来た。
和彦
きのうよりも少しだけ元気そう。 胸を撫で下ろす優華。
あたしに相談する約束をしたことで和彦さん、少しでも気が楽になっているのかな。それなら良いな
お冷とおしぼりを持って行く優華。
優華
和彦
優華
和彦
優華
優華が厨房へオーダーに行く時、隅のほうで耕太と隆がコソコソ話をしているのが聴こえた。
隆
耕太
優華
聞こえよがしの咳ばらいを二人のそばでする優華。
隆
優華
隆
悪びれもせず嬉しそうに隆が言い出した時
ママさん
とママさんにたしなめられた。
お一人様でやって来たお客様の所へ慌てて耕太が接客へ行った。
不意に優華は思った。
耕太君の彼女、麻衣子ちゃん、お店ではどんな働きぶりかしら。耕太君『超稼いでる』なんて前に言っていたなー
ちょっとボーっとしていると
和彦
と和彦が手を上げている。
優華
急いで和彦のテーブルへ行く優華。
和彦
優華
厨房の奥にいる大将は心配そうに、きのうから元気がない和彦を見守っている。他のお客がいるせいだろう。声は掛けない。
和彦
レジ係をする優華。
優華
和彦
優華
茶目っ気を出し優華が言う。
和彦
大将
穏やかな笑みの大将。
和彦
あ、和彦さんそれって嘘よね。あたしに相談する約束をしたからでしょ
大将
和彦がさりげなく優華に目配せをした。
優華
和彦のゴツゴツした手からお金を受け取る時、優華はときめいてしまう。心地よい恥ずかしさの余韻が残る。
***
――――和彦に逢う当日だ。
優華
鼻歌を歌いつつ、お化粧がいつもに増して楽しい今日の優華。
相談っていったいなんだろ
と気がかりはあるが、デート気分の優華。
淡い紫のノースリーブのワンピースを着た。セミロングのスカート部分はオーガンジー生地。長くまっすぐな黒髪を今日は下ろしている。
午前9時58分。携帯が鳴った。
優華
家に帰りすぐに和彦の携帯番号を登録しておいたのだ。
和彦
優華
和彦
ウッフフフ~、運転する和彦さんもかっこいいだろうな
3階から胸弾ませ下りて行った優華の目に飛び込んだものは、リ、リムジン! 黒くて長い高級車。 後部座席からスマートに降りる和彦。
和彦
手を運転席の後ろへと差し出し優華をエスコートする和彦。
キャバクラを経営する社長の息子さんだもの、お金持ちとは思っていたけど、ここまで! びっくりっ
和彦は助手席の後ろに乗った。すると運転席から品のある男性運転手が降りて来て、静かに後部座席のドアを閉めた。
き、緊張~
押し黙っている優華。
和彦
優華
なんだか気恥ずかしく『すんごい車ですね!』だなんて言えない優華であった。和彦を自分とは別世界の人だと感じる。
ン? 車の芳香剤? それとも……和彦さんの香り。シャープでありながらも甘くて色っぽい匂いがする
優華の履いているピンク色のハイヒールがちょっぴり落ち着かない。
和彦の会社にはすぐに到着した。15階建てビルの玄関前にリムジンは停車している。
運転手がサッと車を降り、後部座席を開けた。
和彦
優華
優華は車を降りると思わず大きなビルを見上げた。15階という階数はさほどではないが、横幅のあるビルなのでやはり大きい。それも優華の知っているビルだった。なんの会社かなんて考えたこともなかったが。
『音無ホールディングス』と立派な看板が目に入った。
きっとキャバクラだけじゃなく手広くお仕事をしている会社なのね
和彦
優華
エレベーターへ案内される。15階のフロアボタンを押す和彦。
和彦
優華の緊張でこわばった顔を見て取り心配する和彦。
優華
和彦
優華
和彦
その時エレベーターのインジゲーターが15を示し15階に到着した。
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