屋上に着くと世界が終わるような
真っ赤な夕焼け空に包まれていた。
桃音
綺麗だなぁ...

正確には朽ちたフェンスに
自ら体を預け、落下し
飛び降り自殺のように
なってしまったのだ。
まあ、そのフェンスの存在を
知って黙っていたため、これは
プロバビリティの犯罪に該当する。
桃音
もう、どーでもいっか‼︎

桃音
っ⁉︎

背後から突然聞こえた男の声に
私は驚きのあまり声にならない
声で勢いよく振り向いた。
遥翔
あ、驚かせちゃった?そんなつもりはなかったんだけど、ごめんね?

遥翔
話しかけようとしたんだけど、妙にしんみりした感じの表情で何か考えてそうで、タイミング狙ってたんだよ

桃音
えーっと...どちら様?

遥翔
ああ、ごめんね‼︎僕は“神様”だよ‼︎

桃音
“神様”...?

遥翔
それでね、急だけど君を僕の後継者にしたいなーって思ったんだ

桃音
つまり、私が神様になると?why?

遥翔
それに関しては僕の独断と偏見とだけ言っておくよ

遥翔
で、どう?

桃音
んー、無理‼︎

遥翔
え?

桃音
だって私、死にたいんだもん‼︎

遥翔
知ってるよ?

桃音
え?余計に意味分かんない...

遥翔
まあ、聞いてよ

遥翔
僕の後継者になるとは言ったけど、あくまで候補ってだけだよ

遥翔
僕が出す課題をクリアしたら正式に二代目神様として任命するって感じ

遥翔
あ、評価基準は課題の進捗状況や貢献度の総評で決まるからそこは安心してね

桃音
一応、聞くけど神になったら何ができるの?

遥翔
何でもできるよ

遥翔
君の前職の発展もできるし、それこそ非倫理的なことだって更にできるよ

桃音
んー、魅力的な提案だけど私にh

遥翔
“血洗島 刹那”...

桃音
っ⁉︎

遥翔
会いたい?

桃音
...何をしようとしてるの?

桃音
言っておくけど、刹那は強いよ?

遥翔
別に彼女に興味はないよ

遥翔
というよりも、君を含むこの世界の人間の命なんてただの玩具に等しい

桃音
じゃあ、どうしてその玩具の中の一つの私に話しかけたの?

遥翔
特に理由はないけど...強いて言えばリサイクルかな?

遥翔
どうせ死ぬ命なんだから有効活用しないと...でしょ?

遥翔
あっ‼︎ごめん‼︎これって君の前職の研究理念だったっけ?

桃音
...もし本当にあなたが神様だったら私は大嫌いだなー

遥翔
褒め言葉として受け取っておくよ

遥翔
で?どうする?

桃音
話に乗せられた訳じゃないけど、どうせ死ぬなら面白そうなことやって死んだ方がいっか...

桃音
やるよ、神様試験みたいなやつ

遥翔
おー、そうこなくっちゃ

遥翔
あ、でもね候補だから他にも参加者はいるんだ

遥翔
だから張り合えるように神の力を一時的に与えるね

遥翔

遥翔
“物体のギアを上げる力”と“潰望(かいぼう)”をあげるよ

桃音
...?

遥翔
あ、分かってない顔だね。詳しく説明するよ

遥翔
まず、“物体のギアを上げる力”はどんな物体でも動かしたり、速度を変えられたりできるんだ

遥翔
でも自動車くらい大きいものは単体ならいくらでも動かせるけど、複数を動かしたりするのは無理

遥翔
あ、ライトやエンジンくらいなら可能だけどね

桃音
ほー

遥翔
次に“潰望”は対象が望みを抱いた時、物理的に潰すことができる力だよ

遥翔
その望みは前向きなものに限るけどね

桃音
それって、ぺっしゃんこってこと?

遥翔
そゆことー

桃音
うわー、グロー

遥翔
ちなみに着想のヒントは“鵠沼君”だよ

桃音
あー、懐かしいなその名前聞くの

桃音
まあ、オッケー大体分かったよ

遥翔
じゃあ、そろそろ会場に転送を

桃音
あ、その前に1つだけ聞いても良い?

遥翔
ん?何?

桃音
どうして刹那の名前を出したの?

遥翔
だって...

遥翔

遥翔
君、死ぬ前に会いたいんじゃないの?

桃音
...どうしてそう思うの?

遥翔
まあ...君に声をかけた理由の一つかもね

桃音
ようやく、本音が見えたね

遥翔
え?

桃音
さっきの命のリサイクルとかはあくまで建前だったってことか

遥翔
君...性格悪いって言われない?

桃音
よく言われるー

遥翔
でも神になったら妹に会って、もう一度自分が死ぬべきなのかどうかを話し合ってみてほしいな

桃音
それはお節介だね

遥翔
よく言われるー

遥翔
じゃあ今から君を転送するけど、ここでの記憶は消去されるからね

桃音
え?神の力せっかく貰えるのに?

遥翔
それはまた会場で思い出せるようにしとくから大丈夫だよ

遥翔
じゃ、頑張ってねー
