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Kissing to travel

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Kissing to travel

1 - Kissing to travel 1

♥

3,197

2019年10月09日

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連れてってよ

ここからずっとずーっと遠いとこ。

君は笑って言ったんだ

忘れてないよ

僕は時計の修理屋

しがない27歳男性だ

今日は森の中のお屋敷で 時計修理の出張中

お屋敷のリビングには1人 ここのお嬢様らしき女性

僕と同い年くらいだった

いつまでも二人きりは 少し気まずいので

なるべくテキパキと 作業を進めていた

女性

ねぇ…

えっ?

びっくりした。

消え入りそうな声だった

女性

何よ…感じ悪いわねぇ…

不機嫌そうな不満そうな

頬を膨らませる彼女は 随分可愛らしかった

ご、ごめん…

女性

良いのよ

そんなにも申し訳なさそうな顔 だっただろうか

彼女は慌てたように 胸の前で手を振る

それから彼女は気を取り直すように咳払いを一つ

その後、口を開いた

女性

ねぇ、私を連れてってよ

女性

ここからずっとずーっと遠いとこ。

えっ?

突然の言葉に声が詰まる

一体彼女は何を 考えているのだろうか

慌てる僕をそのままに 彼女は薄く笑った

女性

貴方、さっきから

女性

「ごめん」と「え?」しか言ってないわよ?

彼女が目尻をカーブさせたから

整った顔がふにゃっと緩んだ

女性

鳥籠の中みたいなの。

女性

顔色伺うのがどうも辛くって

彼女なりの叫びなのだろうか

早口に話す彼女は

両親が帰る前に、と 急かすようで

……分かったよ

僕はゆっくりと彼女に近づくと

彼女の手を彼女の目に被せ その片手にキスを落とした

お嬢様、今夜12時に

貴女を迎えに来ます

手を退けた彼女の顔は

赤い薔薇のように 真っ赤になっていて

今宵、ベランダでまた。

できるだけ優しく 口角を上げると

頷いた彼女を横目に 僕は静かにお屋敷を出た

続く

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3,197

コメント

23

ユーザー

きになるんば

ユーザー

続きがきになる!!

ユーザー

連載だっ⸜(* ॑꒳ ॑* )⸝⋆* 次回も楽しみ〜⸜( ॑꒳ ॑ )⸝

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