チリッ…
チ…リン
風鈴の音が聞こえる──
彼に作って貰った…
世界に一つだけの 『風鈴』
壊れかけてきているのか
音が鈍い
『もう使い物にならないわね… 捨てようかしら…』
母にそう言われ
捨てないで、と 必死に抵抗した。
『捨てるのが嫌なら… 直してもらいなさい。』
って言われたけど…
もう…直せないよ…
と、私は呟く
『どうして?』
そう問いかける母に私は
彼がもういないから
そう伝える
今日は暑いな、と
食べかけのアイスを口に運ぶ
抹茶アイスが溶けていく
あぁ…私も
溶けて
溶けて
溶けて
この世から消えて
彼の元へと旅立ちたい