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俺を

抱いて欲しい。

は?

なんて言った?

桃くんはとても驚いていた。

だけど

俺は何事も無かったかのように

抱いて欲しいの。

俺のこと。

いや、聞こえなかったんじゃなくて

それ本気か?

うん。

俺のこと好きにしていい。

だから代わりにその時だけ俺のことだけ考えて、

愛して、

隣にいて欲しい。

性処理用にでもストレス発散用にでも

なんでもいいの。

俺の隣にいて。

この孤独感をなくして。

はあ……

ごめん。

嫌だったよね、忘れて。

今日俺に会ったことも、全部。ばいばい。

……よ。

え?

いいよ。

本当に?

ああ、抱いてやる。

ありがとう。

赤?

頬に暖かい物が流れた。

目頭は暑く

目の前は曇って

綺麗な桜が見えなくなった。

やっぱ、嫌なんじゃねえのか。抱かれるの。

違うの。

なんでか分からない。

でも涙が止まらないの。

俺は涙を拭わずに

桃くんに訴える。

どうして?

悲しくないのに

自分の寂しさを埋めてくれる人が

目の前にいるのに。

それがとても嬉しいのに。

どうして涙が出るんだろう。

しゃあねぇな。

……ッ!!

そう言って

桃くんは俺を抱きしめてくれた。

でも、

弱くて足りない。

もっとぎゅっとして欲しい。

それが言いたいのに

優しさに溢れた抱擁に

文句なんて言えなかった。

行くぞ。

桃くんは

俺の手を引っ張って

歩き出した。

ここ桃くん家?

そうだよ。

ソファ座って待ってて。

お茶でいいか?

うん、ありがと。

桃くんは歩いている途中

一言も話さなかった。

はい、お茶。

……。

今日ってか

俺親と住んでないから。

そうなの?

お前は本当に抱いて欲しいのか?

それがお前の望みなのか?

うん。

じゃあこっち来て。

部屋に入ると

桃くんはベットに座っていた。

こっちおいで。

ッ……

本当にいいんだな?

桃くんは何度も聞いてくる。

その優しさにまた涙が出そうだった。

何回聞くの。

して?

壊れるくらい激しくしてもいいよ。

そんなことしねぇよ。

好きにしていいんだろ?

うん。

じゃあ上脱いで。

言われた通りに

来ていた灰色のトレーナーを脱ぐ。

ッん。

脱いだよ。

桃くんも白いシャツの

ボタンを外す。

てか、俺こういうのしたことないんだけど

大丈夫。

俺も同じ。

俺は桃くんの首に手を回す。

そのままベットに倒れ込む。

んふッ笑

慣れてんじゃん笑

初めてだって……

キスして欲しい。

いいよ。

桃くんと俺の唇が重なる。

今日が初対面なのに。

何してるんだろう。

んッ...///

俺は強引に舌を入れる。

桃くんも舌を絡める。

はぁはぁッ……///

はぁ……ッ///

二人の間に透明な糸を引く。

桃くんは額、頬

首、鎖骨、お腹と

上から順番にキスをする。

んぁッ……///

思わず声が漏れる。

ここ。

俺は首筋を指さす。

ここに跡つけてッ///

ん。

ありがと///

首筋を甘噛みされた。

今、

目の前にいる人が

俺だけのことを考えてる証をくれた。

それがとても心地よい。

じゃあ次は……

ッ……。

ぎゅってして。

俺の上にまたがる桃くんに

手を伸ばす。

うん、いいよ。

俺より15センチ以上高いであろう

桃くんは俺を包み込む。

右手で頭を撫でる。

俺は強く抱き締め返す。

……ッ

声にならない叫びが

桃くんの胸の中に消えていく。

いいよ。

もう俺のして欲しいことは終わった。

好きにして。

いれなくてよかったのか。

いいよいれても。

いや、いれない。

え、なんで?

いいんだよ。しても。

いれるわけないだろ。

ゴムないし。

生でもいいよ。

はぁ!?

俺のして欲しいことしてもらったんだから。

それくらいいいよ。

おまっ!

お前馬鹿だろ。

え?

何を焦ってるんだろう。

なんで?

ぐちゃぐちゃにしてよ。

壊してよ。

それをしていいだけのこと、してくれたじゃん。

お前なぁ……はぁ。

自分の体大事にしろよ。

え?

てか、まさか他の奴にも

こんなこと頼んでんじゃないだろうな。

頼んでないよ。

桃くんが初めて。

とにかく、

好きでもないやつと今後こういうことすんなよ。

うん……

はぁ……

今後寂しくなったら俺が一緒に居てやるよ。

明日の昼休み三階の空き教室で待ってる。

屋上階段から一番奥のところだぞ。

学校でも一緒にいてくれるの?

人目を避けたところにするんだ。

キスでもハグでも

それくらいならしてやるよ。

うん。

少し、

ほんの少しだけど

寂しさが

孤独感が

埋まったかもしれない。

桃くんが俺に向かって手を広げる。

ふへっ笑

思わず笑みが零れる。

おいで。

俺は桃くんの胸に飛び込んだ。

俺たちの寂しさを。

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