『ライトフロンに戻る』
その、たった一言が言えない。
アイザック
アイザック
テヘルも、何も言えずただアイザックを見ている。
アイザック
アイザック
アイザック
アイザック
アイザック
アイザック
アイザック
アイザック
アイザック
アイザック
アイザック
アイザック
アイザック
アイザックはテヘルに背を向け、再び王宮内部へと足を進める
テヘル
ドッと振動を受け、振り返る
同時にテヘルは、ためらうような顔をする。
アイザック
アイザック
アイザックはテヘルの肩に頭を埋め、テヘルを包み込む。
どれだけ待ってもテヘルの手は、背に触れない。
アイザック
アイザック
テヘル
アイザック
テヘル
テヘル
テヘル
テヘル
テヘル
アイザック
テヘルの声は震えていて、自然にアイザックの瞳も潤む
その言葉にはいつもの説得力も、確実性もない。
テヘルの本音で、ほとんど、弱音だった。
アイザック
アイザック
アイザック
アイザック
アイザック
そこで初めて、テヘルはアイザックをぎゅ、と抱きしめた。
そして2人は、別々の道を歩いてゆく─────。
メラ
メラ
メラ
メラ
メラ
メラ
コト。
メラの目の前に置かれたのはアメリアの銃だった。
メラ
メラ
考えないようにしていたこと
しかしメラだって、考えればそんなこと簡単に分かった
そう、アメリアが故意に抜いた弾丸の意味とは────
メラ
メラ
メラ
メラ
そして新王は去っていく
メラ
そこで頭を過ったのは、サミュエルのことだった。
メラ
「メラは…もし、今からでもまたアメリアに生きててほしいって言われたらどうする?」
メラ
メラ
メラ
メラ
メラ
メラ
メラ
メラ
メラ
メラは涙を拭う
そうしてアメリアのいない世界で、初めて…生きる決心をした。
メラ
メラ
サミュエル
ゲホゲホとサミュエルは咽せ返り、涙さえ浮かべる
サミュエル
しかし脳内に響くのは警鐘と、咎めるような声だった。
ドロリと血液が地に垂れ、サミュエルの口から溢れ出る
サミュエル
血が…人が、食べられなかった。
実はこれは人生で初めてのことではない。
オーウェンの死後も、食べられなくなった時期があった
しかし、そうして野垂れ死ぬことなど誰も望まないと立ち直ったとき、食事をできるようになった。
サミュエル
サミュエル
サミュエル
サミュエル
サミュエルの手が震え、血まみれの手で頭をぐしゃぐしゃ掻きむしる
サミュエル
サミュエル
バン!!!!!
サミュエル
そこで大きな爆発音が聞こえ、サミュエルは吸い寄せられるようにそちらへ向かう。
サミュエル
ミュール
そこにあったのは、壊れたミュールの姿だった
サミュエル
サミュエルは戦慄した
このまま死ぬ自分が、浮かんだからである
サミュエル
キンと耳鳴りがする
視界が鈍り、辺りの全てが奇妙に見える。
人間が、文字通り違う種族の人間だと、理解してしまう。
サミュエル
サミュエル
サミュエル
サミュエル
サミュエルはよろよろと空から堕ちる
…そして
サミュエル
サミュエル
サミュエル
サミュエル
そして彼は二度と、食事をすることはなかった。
ステイシー
"悪者"は次々に消え、国は格段に良くなっている
しかし
ステイシー
彼の心には、ライアンの最期がこびりついて離れない。
ステイシー
トン、と身体から力が抜け、寝転ぶ
ステイシー
ステイシー
ステイシー
目を閉じたステイシーを、誰かがトントンと叩く
テヘル
ステイシー
テヘル
ステイシー
テヘルのその疲れた顔に、何も憎まれ口は叩けない。
テヘル
ステイシー
ステイシー
ステイシー
ステイシー
テヘル
ステイシー
テヘル
ステイシー
テヘル
ステイシー
テヘル
テヘル
テヘル
ステイシー
乗っかるつもりなんて、なかった
だが、テヘルはステイシーに対して何も他意を含まなかった
それは救おうでも救われようでも、世への罪滅ぼしでもなく────。
ステイシー
テヘル
テヘル
ステイシー
ステイシー
テヘル
テヘル
ステイシー
ステイシー
それきり2人は話すことなく、ライトフロンへ向かう────。
クロエ
クロエ
クロエ
オーロラ
オーロラ
クロエ
クロエ
王宮を見上げ、クロエはフッと自虐的に笑う
クロエ
クロエ
クロエ
クロエ
そこに、王宮から出てきたのは噂の新王。
クロエ
クロエ
クロエ
クロエ
クロエ
クロエ
クロエ
クロエ
クロエ
クロエの瞳が潤む
クロエ
クロエ
オーロラ
オーロラ
オーロラ
クロエ
クロエ
クロエ
クロエ
クロエ
クロエ
クロエ
クロエ
そして新王はそのクロエの予想通り、犯罪率を激減させ、国の基盤を作る──。
シャーズドウム王国は改められ、新王・ロイ・アレクサンダー・ホワイトの名にちなみ
ホワイトクローバーと名付けられた。
以降、この国の均衡は保たれ続ける。
長く永く、永遠に───。
【後日談・完】