かな
なにこれ
かなが会社から帰ると、黒い封筒がアパートの郵便受けに入っていた。
かな
最近は個人的な手紙なんて届くことすら稀だったのに…
かな
誰からだろう…
かな
!?
送り主は先月亡くなったばかりの友人だった
かな
この間お葬式したばっかだよね…
かな
不慮の事故だってみんな悲しんでた
封筒をあけてみると中には一通の手紙
この手紙を一番仲の良い親友に送れ 出来なければお前は死ぬ 出来れば命は助けてやる
かな
なにこれ
かな
きもちわるい
けれどふと、笑顔の遺影を思い出して鳥肌が立った
かな
あの子は、失敗した?
かな
だから死んだってこと?
かな
…じゃあ
かな
私も死ぬかもしれないってこと?
急いで大学時代の仲良しの名前を書く
かな
あ、でも、
かなは一瞬、この手紙が送られたときの友達の顔を想像した。
かな
だいじょぶだいじょぶ!
かな
あの子もまた別の友達に送ればいいんだから
言い訳するようにひとり言をつぶやいて、友達の名前を書いた封筒に手紙を入れた
かな
これできっと大丈夫
その夜
ガタッ
かな
(ビクッ!)
かな
だれ?
かな
だれかいるの?
…
オクッタネ
かな
え?
テガミヲオクッタネ
かな
誰!?
キミハ失敗シタ
かな
失敗!?
かな
待って!
かな
ちゃんと送ったじゃない!
コンナテガミヲオクレルアイテガ親友ナノカ?
かな
…
イチバンナカノヨイ親友二オクラナキャダメナンダヨ
かなは目の前がだんだんぼやけてくるのを感じた。
息が苦しくなってくる。
本当の親友にこんな気持ち悪い手紙なんて送れるわけないじゃない…
かな
ああ、そうか
かな
私に手紙を送ったあの子も
かな
そういう気持ちで私に手紙を送ってたんだろうな







