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5 - べらんだ 5話

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18

2021年03月22日

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大前さん、おかえり〜

美月

どうだった?

美月

店員にバレなかった?

夏海

まあ、バレててもバレてなくても

夏海

私たちには関係ないけどね

四人は口々にそんな責任逃れの発言をして笑いあっていた。

私の手には

さっき蘭の命令で万引きしてきた小さな消しゴムが握られている。

優奈

え、っていうか盗んできたのそれだけ?

夏海

つまんないなー

夏海

消しゴムなんて盗らなくてもいくらでもあるじゃん

ひまり

……ごめんなさい

まあ、初めてにしては上出来じゃん

次は本屋さんで辞書とか盗んできてよ

美月

あはっ、それは無謀すぎでしょ!

盛り上がる女の子達の前で

私は罪悪感に浸りながら突っ立っていた。

前山

どういうことなの、大前さん!

ひまり

ち、違うんです、確かに私も悪かったけど

ひまり

私は言われてやっただけで……

前山

黙りなさい!

前山

今回はお店側が代金支払いで許してくださったからよかったけど

前山

場合によっては起訴されることもあるのよ?!

前山

全く、本当にこの子は問題ばかり起こして…!

校長

こういうことが続くようでしたら、最悪の場合退学という例もありますから

校長

よく考えて行動してください

ひまり

わ、私は…

ひまり

三河さんに命令されてやったんです…

前山

三河さんはそんなこと言ってないと言ってるのよ

ひまり

そんな、どうして…

ひまり

どうして三河さんのことは無条件に信じて

ひまり

私の言うことは無視するんですか?

校長

普段の行いの差、とお答えしておきましょう

校長

三河さんは普段から素行のよい生徒で、教師や生徒からの信頼も厚い

校長

ですがその反面、あなたは…

続く校長先生の言葉を聞きたくなくて私は目を伏せた。

その日、私が学校から帰っていると

母親から電話がかかってきた。

ひまり

(…お母さんか)

ひまり

(なんか話すのひさしぶりだな)

私は立ち止まって電話に出る。

お母さん

ひまりっ!

お母さん

先生から電話でお話があったけど

お母さん

万引きしたって、どういうことなの?!

ひまり

ち、違うの、話聞いて

お母さん

なにが違うのよ!

ひまり

私は、蘭に命令されてやっただけで

お母さん

言い訳しない!

ひまり

言い訳じゃないよ!

ひまり

本当のことなの!

お母さん

だったらなに?

お母さん

あんたをこんな子に育てた覚えはない!

ひまり

(育てたって…)

ひまり

(毎晩毎晩夜遅くまで帰ってこなくて)

ひまり

(放置してばっかりだったくせに)

お母さん

ほんとにあんたは…

お母さん

万引きは犯罪なの、分からないの?

ひまり

分かってるっ…

お母さん

じゃあなおさら、どうしてしたの!

ひまり

だから、蘭に言われて…

お母さん

そんなの

お母さん

本当にその人が友達なら、はっきり断らなきゃだめでしょ!

ひまり

……

ひまり

(…友達なわけないじゃん)

ひまり

(なにも分かってないくせに、分かったようなこと言わないでよ…)

お母さん

それに

お母さん

どうせそんなの、あんたのでっちあげでしょ?

ひまり

え…

ひまり

そ、そんな、なんで

ひまり

お母さんだけは

ひまり

お母さんだけは、信じてくれると思ってたのに!

お母さん

今回のことは全部あんたが悪い!

お母さん

お店にも自分で謝りに行きなさい!

ひまり

お母さん

ちょっと、聞いてるの?!

ひまり

…分かった、もういいよ……

お母さん

分かればいいのよ

お母さん

じゃあ私は仕事に戻るから

お母さん

じゃあね

ひまり

(確かに今回のことは私も悪かったけど)

ひまり

(でも、じゃあどうして)

ひまり

(私だけこんなに責められて)

ひまり

(蘭達はおとがめなしなの?)

ひまり

(はあ……)

ひまり

(私なんてやっぱり)

ひまり

(誰にも信頼されてなくて)

ひまり

(生きてる意味なんてどこにもない)

ひまり

(今日こそは、もう終わりにしよう)

ひまり

(少年がいるってことで延ばし続けてたけど)

ひまり

(たとえ、少年がベランダにいても)

ひまり

(そんなの気にせず飛び降りてやる)

そんな思いを抱きながら、マンションの共用通路を歩いていると

隣の家のドアの前で、誰かが横たわっているのが見えた。

ひまり

(…あの少年の家の前だ)

ひまり

あの〜…

ひまり

大丈夫ですか?

そう言いながら近寄ってみて、私は驚いて目を見開いた。

そこに倒れていたのは

紛れもなく、毎晩一緒に話していたあの少年だった。

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