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碧
よぉ、空華。
空華
もー、遅いなぁ!
碧
今年も会いに来たぞ。元気だった?
空華
うん、お陰さまでね。
俺と恋人の空華は、一年に一回しか会えない。 俺が忙しいからだ…。
空華
最近どう?仕事!
碧
あぁ、何とか片付いた。めっちゃ大変だったわ…。
でも、勤務態度を上司に見込まれてちょっと昇級できた。
でも、勤務態度を上司に見込まれてちょっと昇級できた。
空華
すごーい!流石、碧君。
空華
へへ、私の自慢だもんね!
碧
空華の、自慢?
空華
当たり前でしょ?私の世界一大好きな人だもん。
空華
自慢できるよ。カッコいいし、頭いいし、ねっ。
にこりと笑う空華。 俺はその笑顔を見て、とてつもない後悔が襲いかかってくるのを感じた。
碧
………………
碧
俺は、お前の自慢になんてなれねぇよ…!
碧
だって、
碧
空華を死なせちまったの、俺のせいじゃねぇか。
空華
え……?
碧
聞いたよ。空華が持病を隠していて、その持病で死んじまったって。
碧
仕事仕事って言ってさ、空華を見れてなかったんだよ俺。
碧
それなのに、俺が自慢…?
碧
何でだよ!!!俺は、俺は…
大粒の涙が俺の目から零れ落ちる。
空華
碧、君…。
碧
うわあああぁぁ…
空華
…
大声を上げて、泣き崩れる俺。 あまりにも情け無くて。
空華
あのね、悪いのは私なの。
碧
は…?
空華
伝えたら、碧君が悲しんでさ、何より離れていくのが嫌だったの。
空華
だから、伝えられなかった。でも、こんなに早く死んじゃうのは予想外でね。
空華
ごめんね…?
碧
そうだったのかよ。
碧
そんな簡単に嫌いにならねぇよ…人生で一番好きになった人だし。
空華
えへへ、そう言われると嬉しいなぁ。
少し透けている彼女は、涙でぐちゃぐちゃになっている俺に近づいた。 そして_俺の頬にキスをした。
碧
くう…か……
空華
もう泣かないで。貴方には笑顔が一番だし!
碧
おう…ありがとう。
彼女は幽霊だが、それでもキスの感覚はしっかりした。 ここに、空華はいるのだ。
空華
じゃあ、また来年会おうね。
碧
うん…。
空華
ばいばい、碧。
確かに、彼女はいたのだ。
Fin.