調査のため、怪しい迎えの車に乗った課長であったが――
課長
(さっき車に乗るときみたけど)
課長
(濃い色つき眼鏡とマスクで顔隠してはるが)
課長
(この運転手も人形やな)
課長
(しかしようできとる)
課長
(近くで顔をみんかぎり 人形やときづかんで)
課長
(あと 車の窓はスモークでこっちも目隠しや)
課長
(道も おそらくまっすぐ目的地に向かっとらんやろ)
課長
(場所を隠すための偽装工作か)
運転手
お客様 つきました
課長
はい ごくろうさん
課長
ここは、マンションか?
運転手
エントランスが受付になっておりますので
課長
了解 ありがとさん
課長
(普通のマンション一棟をまるまる風俗店としてつかってんのか)
受付
いらっしゃいませ
課長
ええっと どうしたらええんかな?
受付
この中からお気に入りの子をご指名ください
といって写真(カタログ?)をひろげる
課長
ほんなら この子で
受付
はい それでは409号室へおいでください
課長
はいはい
課長
(409? 縁起悪い数字やな)
課長
(京都やとまず見いへんな)
エレベーターで4階へ――
課長
ここか
課長
失礼します
課長
(いうて 相手は人形 返事はないやろ)
人形
…………
課長
おっと これか
課長
あとは好きにせぇちゅうことやな
人形
…………
課長
ほな 好きにさせてもらか
課長
お嬢さん ほんまはしゃべれるんやろ?
人形
……………
課長
話を聞かせてくれんか?
課長
あー 口の固い人形やなぁ
課長
口固いんは 人形やから 当たり前やなかーい
人形
っ……………
課長
今ちょっと笑ったろ?
人形
…………
課長
まあ なんというか
課長
俺 術師なんよ
課長
だから 君がある種の呪物なんはわかるんよね
課長
だから 黙っててもバレバレなんよ
課長
諦めてしゃべってくれんかな?
と、そのとき、背後に人の気配がした
?
うちの子を困らせるのは それぐらいにしてください
ふり返ると、いつの間にか老人が立っていた
老人
お話は私が聞きましょう
課長
あんたが「人形遣い」か?
老人
私は「傀儡子」の生き残りです
課長
傀儡子やと!?
老人
ここではなんですから さあこちらへ
ついに現われた人形遣いは、「傀儡子」と名乗った
次回、彼の口から真相が明かされる