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アパートのセキュリティは さほど込み入ったものではなく
ぼくでも侵入できる程度の ちゃちなものだった
301号室を目指して まずは1階の部屋のベランダの手すりに 立ち上がり
排気管のようなパイプを支える 金具に足をかけ壁をよじ登る
そうして楽々と301号室の ベランダにたどり着いた
窓の鍵は
ロックされているものの
簡易的なロックで かつ錆びているのを見て
強い衝撃を与えれば 壊れるのではないかと思った
後日 家主がいない時間帯を見計らって
工具を持って ベランダに上がった
ハンマーで何度か叩くと 鍵が取れて
内部に侵入することができた
そしてその鍵を
外側からも解除できるように 細工を施し
ぼくは第一の目的を 達成した
その日はそれで引き払い
また後日 小さなシール状のカメラを
部屋の中に5ヶ所 貼り付けた
シールがソーラーパネルになっており
好きなタイミングでプレビューしたり 撮影を開始したりできる
いよいよだ
いよいよ ぼくが心から愛している人に
大人になった詩乃ちゃんに
会うことができる
ぼくは自室から 詩乃ちゃんが
彼氏と部屋の中に 入ってくるのを見ている
いよいよだ
ショータイムがはじまる
詩乃
トーマ
詩乃
詩乃
ぼくはすかさず 録画を開始する
彼氏はベッドに座り 「おいで」と手を広げる
ふたりは はげしく口吻を交わす
彼氏が詩乃ちゃんの 上着に手をかける
それだけで ぼくの股間は
煮えたぎるように 熱くなる
詩乃ちゃんの服が ひとつひとつ
取り払われていく
アルラ
アルラ
5ヶ所に設置したカメラの映像が
ディスプレイいっぱいに表示されている
アルラ
アルラ
アルラ
大人になった詩乃ちゃんの 豊満な乳房
スカートの中から現れた 紫色の下着
その下に隠されていた 秘密
ぼくは映像を通して
6年間待ち焦がれた 瞬間を手にした
アルラ
アルラ
アルラ
ぼくは何度も 絶頂に達し
行為が終わると同時に 全宇宙を掌握した
気分になった
しかし
一度走り始めた欲望は 決してとどまりはしなかった
ぼくの「渇き」は 次なる潤いを欲した
つまり
もっと見たい さらに過激で淫乱な
詩乃ちゃんを見たいと
思ったのだ
そんな折に
思わぬ幸福が 舞い込んできた
トーマ
トーマ
トーマ
彼氏は詩乃ちゃんに そう提案する
詩乃
裸になった詩乃ちゃんは 目を細めて笑った
詩乃
「ほんとうに?」 ぼくは心の中で 詩乃ちゃんに訊く
詩乃
詩乃
「嬉しいよ」
「ぼくのために 尽くしてくれたんだね」
彼氏はスマホを取り出す
詩乃
詩乃
「ぼくもだよ」
「とても熱い 詩乃ちゃんの中に入って」
「ふたりで溶けたい」
身体ががくがく震える
ぼくは 何度も何度も
絶頂を迎える
完璧だ 完璧な世界だ
だが
ぼくが詩乃ちゃんの 彼氏だったら
どれほどよかったろう
でもじゅうぶんだ 過去に鬱積した澱は
数日間の「覗き」によって 消え失せたのだから
また次が見たい
ただそれだけだった
だがその後 2週間も経たないうちに
詩乃ちゃんは突然 死んでしまった
あの行為があってから 不穏な空気感が
彼氏の部屋に たちこめていた
どうしてそうなってしまったのか
ぼくは彼氏に気づかれることのないよう
真相を探ることにした
だが
彼氏の部屋の中には 確証となるものがひとつも見当たらなかった
もしかすると 過去の映像にヒントがあるかもしれない
ぼくはそのとき 勘違いをしていたのだ
過去の映像のなかに ヒントがあると
そうではない
過去の映像そのものが
ヒントだったのだ
ぼくは徹底的に 「過去の映像」を漁った
詩乃ちゃんは 死んでなんかいない
ここで生き続けている
その日もその動画を見ながら 自慰行為に耽っていた
果ててしまってから
スマホにメールが来ているのを 発見する
お世話になります
素人ハメ撮り名人ちゃんねると申します
突然のメール失礼致します
貴殿の撮影された動画が話題となっており
当サイトでも 新作を発表させていただきたいと 考えております
もしこのモデルの 他の動画をお持ちでしたら
10分につき50万円で お譲りいただきたいと 思っております
せっかくの機会ですので いいお返事を期待しております
「素人ハメ撮り」?
「他の動画」?
どういうことだ
まさか
ぼくはすぐさま メールに記載されていた
リンクをクリックして
「素人ハメ撮り名人ちゃんねる」に アクセスした
すると すぐさま表示されたのは
詩乃ちゃんと彼氏が ベッドの上にいる画像だった——
「撮ってもいいよ♡」 献身的なお嬢様を 下から突きまくり♪
今回紹介するのは ぴちぴちの1○歳少女!
素人動画に飽きたみなさんも これなら満足・・・☆
エッチな動画を撮りたい彼氏のために 彼女さん頑張っちゃいます、、、!
彼氏の家で撮られた本作は リアリティたっぷり!!
こんな可愛いお嬢様とヤれて 彼氏が羨ましくなりますが
エロい彼女の動画を 見ることができたのは彼氏のおかげ・・・
マジ彼氏に感謝ですね、、!
ぷるんぷるんのおっぱいと
本当に気持ちよさそうな 喘ぎ声
ナニが止まりませ〜〜ん!!
なんてことを
ぼくが楽しむだけだった はずなのに
なんてことを…
リンク先の動画を見ながら
ぼくは耐え難い 罪悪感を背負わされた
そんな気分になった
幸いそれ以上の 災いは降り掛からなかったが
詩乃ちゃんを失った苦しみ
そして 詩乃ちゃんを奪われた悲しみが
動画を見るたびに
心を蝕んだ
どうして
どうしてこんなことに
そして茫然自失としたまま 日々を過ごし——
アルラ
アルラ
トーマ
トーマ
トーマ
おれは冷酷に 問いを投げかける
アルラ
アルラ
アルラ
すると進次郎は またおかしげなものを見ているように
笑いたてた
トーマ
進次郎
進次郎
進次郎
進次郎
進次郎
トーマ
トーマ
進次郎
進次郎
進次郎
進次郎
進次郎
進次郎は おれたちそれぞれに
スマホを 床を滑らせるようにして
寄越してきた
おれは慌てて 拾い上げる
進次郎
進次郎
進次郎
急いで 画面をタップする
トーマ
トーマ
アルラ
トーマ
トーマ