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ワンクッション
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アテンションっ ٩( ᐛ )( ᐖ )۶
黄×紫 (BL要素なし)
兄弟設定あり
ご本人様との関係は一切ございません 2次元作です
苦手な人は回れ右☆
できれば「ロボットパートナー」を見てから見て欲しいなぁ....|´-`)チラッ
黄
紫
※ほかのメンバーも出てきます
sora
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「ロボットパートナⅡ」
紫
仕事中、俺の名前が呼ばれる。
丁度文が書き終わるところだったので、顔を上げて呼んだ相手の方を見る。
黄
紫
スマホを握って興奮気味に伝えてくる初兎。
「しでかした」と言ってる割には嬉しそうで、ちぐはぐしている。
黄
紫
紫
黄
俺は顎に手を添えて考える。
ないこらが働いてる研究所のロボット__
黄
chimera IV(キメラ4)とは、ロボット研究として代表的な大手企業が職場を回す為に作り出した新ロボットだ。
パートナーロボットの技術をなんとかかんとか...とか、まろが言ってた気がする。
黄
紫
黄
中学の頃の社会見学を思い出す。
研究者になるのはそう簡単なことでは無い。
自分なりに頑張っているないこは、俺にとって自慢の弟だ。
りうらの為に、と研究者になるため奔走していた頃を思い、少し懐かしくなる。
紫
紫
ボソッと初兎が付け足す。
心做しか分からないことが悔しそう。
黄
紫
同じことを言ったのに笑い飛ばされてしまう。
自分の言ったことを棚に上げてることは声に出したら口を聞いてくれなくなりそうなので辞めておこう。
黄
俺はスケジュール帳を取り出してペラペラしながら言う。
「新聞記者」にスケジュール帳は必須だ。
バンッ
紫
机を乗り出して満面の笑みで言う。
俺はつい、その勢いにスケジュール帳を落としそうになる。
黄
紫
紫
黄
2人で仕事の顔になってニヤッと笑い合う。
「発表」となると話は別。
記者として飛び回っている俺らはなるべく早く現場に着きたいものだ。
紫
黄
黄
黄
便乗しかけた(というかした)自分の発言を直す。
そう、これは仕事だ。
新聞記者としての立派な仕事...。
黄
いや...この気持ちは許して欲しい。
弟への私情を抑えられるほど、兄という立場に乗っかっていない訳では無いのだ。
黄
紫
紫
こちらを見てにへっと笑う初兎。
...弱みを握られたことは考えないようにしようと思う。
紫
紫
黄
紫
紫
俺は少し目を見張る。
初兎が自らこの話をするのは、結構珍しい。
黄
紫
フォローしたつもりが、指をピシッと立てて注意される。
が、その指は直ぐに下ろされた。
紫
黄
黄
少し気まずそうな初兎の口から出た名前を深く想う。
きっと研究所まで行くのには時間がかかるだろう。
その間、俺は「パートナー」について思い出してみることにした。
俺が初めてパートナーに会ったのは5歳。
今ではとても子供らしくないなと思うが、ロボットパートナーを迎えるのに、あまり好意的では無かった。
ロボットと言えど勝手にパートナーを決められるのだ。見ず知らずの大人に。
「5歳の誕生日には、ロボットの"パートナー"を子供に渡す」
「渡す」という言い方もあまり好きではなかった。
まるでロボットが「物」のようだ。
まぁ、全国民に定められた義務なのだが。
桃
桃
黄
黄
「いいな、いいな」と言いながら誕生日を祝ってくれた弟に、違和感を覚えたっけ。
父
父
目の前にずいっと出てきたのは、真っ白な髪の同じ背丈の男の子。
肌も真っ白で、キラッと光っている目は吸い込まれそうな緑色だった。
第一印象は、「手強そう」だった。
○
○
○
5歳の俺と同じ背丈なのに随分と大人びた顔に、子供の頃の俺はどっかのアニメの主人公かと思った覚えがある。
黄
黄
黄
その吸い込まれそうな目が少し怖く、まるで社交辞令のような挨拶になってしまう。
○
突然相手が吹き出し始めた。
なんのツボにハマったのか、まったくわからない。
○
「僕と同じ5歳とは思えない」と言いながら笑う。
その発言も、5歳とは思えないが。
黄
俺が返答に困ってる間も、***はずっと笑っていた。
こちらは困っているのに相手は笑っているという状況に、少し怒りが湧いてくる。
黄
黄
父
桃
○
その場の空気が凍る。
勢いで***に指さししたままの指が止まる。
あぁ、やってしまった。
絶対、ダメなことを言ってしまった。
5歳の俺がそんな事を悟っている間も、時計の針がカチカチ鳴り響く。
黄
どう発言を取り消したらいいのか、5歳の俺にはわからない。
下を向いてもごもごしていると、***がゆっくり口を開いた。
○
黄
弁解しようとする俺を遮るように***が喋る。
○
にぱーっとしながら俺の方へ歩いてくる。
あまりにも前向きな言葉に俺は拍子抜けした。
黄
○
相手がガシッと俺の手を掴む。
その手が、人間の俺より温かかった。
○
○
これが、俺の「1人目のパートナー」との出会いだった。
○
○
○
鬱陶しいくらいに俺の名前を呼んでくる***。
黄
黄
○
黄
***は、俺の誕生の後日に熱を出して倒れてしまった。
父曰く、「急に環境が変わったから"ロボット風邪"になった」らしい。
ロボットも風邪ひくのか。
○
○
黄
○
ガチャッ
***が咳き込んだ直後、部屋のドアが相手父が入ってきた。
父
○
黄
俺の頭の中に、ウィーーンと言いながら解体(?)されていくロボットが浮かんだ。
黄
父
黄
桃
桃
桃
ペチッ
黄
黄
ないこに頬を叩かれて現実に戻る。
桃
桃
黄
桃
桃
黄
いや、、「俺は行かない」って言って見送ったけど
***はどうなる!?
いや、解体されるとかないよな、?
流石にないよな!?
黄
でも「病院」だよな。
黄
病院で解体されるとか流石にないだろうという考えに落ち着いた俺は、考えを捨てることにした。
自分が病院に行って解体されたことないし。
桃
笑顔で俺の裾を引っ張りながら聞いてくる弟。
弟の前で皺を寄せて考え込んでたことに気づいて、自分の頬を少しつねる。
黄
これは表情を切り替えるための秘密の技だ。
黄
黄
桃
黄
予想外の質問に、戸惑ってしまう。
「一緒にずっと過ごす人」?
「友達、親友」?
「助け合う人」?
パートナーが居るといっても、できたのが昨日の俺にはさっぱりわからない。
黄
黄
昔、父に「辞典って?」と聞いた時、
「わからないことを調べるものだよ」と答えが返ってきた記憶がある。
桃
黄
桃
好奇心で満ちた目をしたないこを連れて、父の部屋へ向かった。
ガチャッ
黄
桃
開けた部屋からはなにも返ってこない。
黄
部屋に入ってから気づいた。馬鹿だ。
部屋の持ち主が居ないし帰ってきてから探して貰えばいいかな、と思ったが...
桃
ウキウキの弟をなだめるのに自信が無かったので、自力で探すことにした。
黄
父の本棚を上から下までじっくりと見る。
...大体が分厚い。
桃
黄
桃
俺はもう一度本棚を隅から隅までじっと見る。
絶対にどこかにあるはずだ。
黄
黄
黄
黄
桃
ないこの手をひいて辞典の場所へ連れていく。
丁度俺の手が届くくらいの場所に、見覚えのある字があった。
桃
黄
黄
見つけられたは良いが、問題はこの後だ。
黄
あんな太い本を5歳の俺が上の方から取るなんて、当時の自分でも分かるくらい危険だ。
黄
負けず嫌いだから危機感を捨ててしまったけど。
黄
桃
そう言ってスタスタと五歩ほど離れる。
物分りが良いところか俺と1番違うところだな、とか、よく分からないことを感じた。
黄
ズズッ
本の端をガシッと掴んでこちら側へ引っ張る。
結構力が必要だ。
黄
ズズズッ
黄
ゴトッ
黄
一気に分厚い本の重心がこちらへ傾いた。
俺はバランスを崩してよろけるが、後ろに足をついてなんとか耐える。
が、本自体を離してしまった。
桃
桃
ないこが視界の端で手を伸ばしてこちらへ走りよってくる。
だけど、所詮は4歳児の速さ。
大きく五歩離れた距離から俺に届く訳がない。
黄
トスッッ
鈍いのに、空気に溶け込んでいるような音が辺りに響く。
俺のおでこに見事に本が直撃した。
黄
俺は涙目でおでこを抑えながらその場に崩れ込む。
頭が割れたような強い痛みに、一瞬意識がとんだ。
桃
黄
黄
本が落ちてきたのは頭だけなのに、心臓を思いっきり殴られたように息がしにくい。
桃
ないこが走りながら部屋を出ていく。
その声と足音が嫌なほど響いた。
抑えている頭から血が出ているのか、出ていないのか。
怖くて抑えている手を動かせない。
黄
「死ぬかもしれない」
そう考えが浮かんだ瞬間、俺の意識はプツリと途絶えてしまった。
○
黄
○
俺と実際に目が合って「いひひひっ」と笑う***。
2人並んでベッドから起き上がっている状態だ。
お腹を抱えて笑う***の頭には、ぐるぐるに包帯が巻かれている。
目を合わせたくなくてそらしている俺の頭にも、包帯がぐるぐるに巻かれていた。
○
黄
俺がベッドをぼふっと叩いて降りようとする。
と、ドアが開いてないこが入ってきた。
桃
ベッドとベッドの間から顔を出して俺と***を交互に見るないこ。
多分、自分が「辞典を見たい」と言って怪我さしてしまったことを気にしているのだろう。
黄
桃
まだ落ち込んでそうなないこに、***が声をかける。
○
桃
よく見ると、ないこの背中には国語辞典が隠すように抱えられていた。
黄
無理やり取り出そうとしたのは自分だとしても、包帯をぐるぐる巻かれている原因は辞典なのでまだ少し怖い。
ひくっと引きつった俺の顔を***が見る。
○
黄
黄
そう、今回は取り出す訳じゃないし上にある訳でもない。
大丈夫と自分に必死に言い聞かせる。
桃
黄
桃
○
「もしかして僕のこと?」と不思議そうに尋ねる***。
黄
黄
○
そう言いながらないこの頭を撫でる。
まだ誕生日から6日くらいしか経っていないのに、すっかり兄貴ずらだ。
黄
よくわからない悔しさは心の奥に閉まっておこう。
桃
ぼすっと音を立てて俺の横に国語辞典が置かれる。
黄
黄
○
桃
父さんに聞いたら教えてくれるのは確かだ。
だけど、ここまで自分たちでやってるのに最後に人に頼るのはなぜか癪だと感じてしまう。
黄
父さんに見せてもらったときを思い出しながら辞典の向きを変える。
黄
○
桃
○
***が言った言葉で、父さんと辞典をひいた記憶を思い出す。
黄
黄
バサッ
とりあえず「は」と書いてあるところに指を突っ込んで開いてみる。
○
桃
一番端には「へいあんじだい」という謎の言葉が書いてある。
桃
○
桃
黄
まぁ、今考えると適当に指突っ込んで目的の単語が出てくるわけないと思う。
○
黄
思いっきり目をそらす。
ガチャッ
父
笑いをこらえた顔で父さんが入ってくる。
ないこと同じようにベッドの間に入ってきて、国語辞典の隣に座った。
黄
父
黄
思いっきり頬をふくらませる。
わからない人に失敗を見られるのと違ってわかる人に失敗を見られるのはプライドが傷つく。
○
黄
***が俺の頬をつんつんしてくる。
ちょっとこそばゆい。
桃
父
父
○
父
黄
当たり前だが、不貞腐れているのは俺だけのようだ。
父
父
「パートナー」という単語が本に無かったので、
「パートナーと相棒って同じじゃない?」という***のアイデアで、「相棒」を調べることにした。
調べると父がそさくさ去ってった。
○
黄
桃
黄
桃
桃
○
黄
黄
少しの違和感を口に出して言ってみる。
何が違うのかわからないが、なぜか違う気がする。
○
黄
○
○
天井を見ながら眉間に皺をきゅっと寄せて考える***。
ほぼ独り言のような言葉が、俺の心にストッと落ちた。
黄
***のパートナー(今は友達の設定だけど)は俺だ。
そう考えると、口元がみるみる緩くなっていく。
桃
黄
しまった、と思いながら頬をつねる。
○
表情を切り替える秘密の技は、今の俺には効かなかったようだ。
黄
自分の頬をぐにぐにしながら目をそらす。
.....別に、嬉しくてこんな顔になってる訳じゃないもん。
黄
○
赤
今日はないこの誕生日。
父に隠れるようにして立っている、赤髪の小さい男の子が来た。
桃
父
父
桃
赤
桃
桃
赤
眩しい笑顔でないこがそう言う。
そのとき、父の後ろの小さい顔も、反射されたように輝く。
○
○
***がそっと耳打ちしてくる。
黄
○
***が拗ねたように口をとがらせる。
別に嫌味で言った訳じゃないのだが...。
黄
○
まだじとーーっとした目で見てくる***は置いといて、俺は自己紹介に行くことにした。
黄
赤
自分より少し低いりうらの身長と目線を合わせる。
黄
黄
黄
りうらの髪を撫でようとすると、少し屈んでいる俺に乗っかるように***がとんでくる。
○
○
○
黄
挨拶文句は***の方がよく出来ていると思うが、落ち着きを天秤に掛けたら俺と五分五分だと思う。
桃
「俺のパートナーなのに!!」と、怒るないこをなだめながら***に目線で「降りろ」と伝える。
黄
黄
赤
長男としてきちんとした挨拶がしたかった俺は、とりあえず満足だ。
これで我が家のメンバーが全員揃った。
1人も欠けたくない大切な人達。
だけど、俺は「当たり前」を軽く見すぎていたことを後悔することになる。
ポツ...ポツ.....
桃
黄
黄
○
赤
皆で窓に張り付きながらあーだこーだ話す。
***が来てからちょうど1年。
ロボットパートナーはパートナーと同じ誕生日ということになるので、
今日は俺と***の誕生日だ。
黄
黄
初めての***との誕生日。
楽しみで仕方なかった俺は、パートナーの異変に気づけていなかった。
○
○
晩ご飯までもう少しという時間に、***が肩を叩いてくる。
黄
○
そう笑顔で言った***の手の中には、黄色のネックレスがキラッと光っていた。
シンプルだけど、気品さがある***らしいネックレス。
黄
俺はネックレスから視線を離さずに目を見開く。
○
○
ふふっと笑いながら言う***。
プレゼントを貰う俺より***の方が嬉しそうだ。
黄
黄
そう言いながら***の手ごとネックレスを握って額(ひたい)に当てる。
黄
周りには誰もいないが、***にしか聞こえない声で囁く。
***の手を握ったのは、俺にとって***も宝物だから。
そんな恥ずかしいことは言えないが。
○
にへっとしながら俺の手を握り返してくる。
***にしては強気の言葉に、俺は言い返す。
黄
○
○
今すぐにでも欲しそうなその顔を見てにやっとしながら
黄
と、言う。
ドキドキしてたほうが喜びが大きい...と思うので、今はおあずけだ。
黄
カコッ
俺は自分の机の引出しを開ける。
その棚に入っているのは一つだけ。
長細い長方形の緑色の箱。
黄
俺はそっとその箱に触れる。
中には頑張って選んだネックレス。
プレゼントが同じだったことにびっくりしたが、
これもパートナーだからなのかな、とか思ったりして、少し認められた気がした。
ご飯できたわよ〜!
母さんの声が聞こえてきた。
俺は直ぐにその箱を手に持って引出しを閉める。
黄
タッタッタッタ
勢いよく階段を降りていく。
早く、プレゼントを渡したい。
ガラッ
黄
俺はドアを開けて一息つく。
目の前に***が固まったまま立っていた。
○
どうやら相手もドアを開けようとしたようだ。
○
黄
俺はサッと持っていた箱を背中に回す。
軽く謝りながら、本題へと切り替える。
黄
黄
○
***がびっくりしたような目で見つめてくる。
黄
背中からサッと出して、***に向ける。
そのとき、***の体が少しぐらついた。
黄
***がこちらへ倒れてくる。
体の力が完全に抜けたように、俺にもたれてきた。
いや、「もたれる」というより「ぶつかる」の方が正しいかもしれない。
俺はよろけながら支える。
黄
俺の悲鳴にも近い叫び声に、みんなが寄ってくる。
みんなが集まる中、***が俺の腕の中から崩れ落ちた。
赤
桃
父
母
カツンッ...
皆の声にかき消されるように、緑色の箱が床に落ちた。
黄
俺は***の両手をぎゅっと自分の手で包む。
その両手は、初めて会ったときよりも、プレゼントを貰ったときよりも、
比べ物にならないくらい熱くなっていた。
父
母
赤
桃
下を向いて動かない父。
名前を呼びながら嘆く母。
必死に抑えながら嗚咽(おえつ)を漏らすりうら。
何も言わないけど、何か言いたそうに涙をこぼしてるないこ。
黄
パートナーが死んだと言うのに、涙さえも出てこない俺。
なんの変化も起きない部屋に、俺の意識は朦朧(もうろう)としていた。
黄
黄
黄
黄
そう言った瞬間、乾いていた目がぶわっと熱くなる。
俺は必死に上を向いた。
泣いちゃだめだ。
泣いたら
"あいつ"も...泣いてしまうから。
紫
黄
紫
紫
黄
まだ傷の癒えない立春。
俺と同じ背丈の、***と同じ髪色の、吸い込まれるような紫色の目をした子がやってきた。
紫
まるで「元気無いな」とでも言いたいような目。
そりゃそうだ。
パートナーが居なくなって、まだ1ヶ月弱しか経っていない。
皆の前では普段どうりだが、俺はまだ癒えていない。
なのに、新しいパートナーが来たのだ。
「welcome」なわけが無いのだ。
紫
黄
久しぶりに言われたその呼び方に、反応してしまう。
紫
黄
黄
黄
紫
紫
初兎は、***とロボットの学校、?でよく一緒に居たらしい。
俺より、***のことを知っているに違いない。
黄
黄
少しでも知りたくて、身を乗り出して聞く。
紫
紫
「そっくりやぁ」と笑いながら安心したような笑顔を見せる。
紫
紫
黄
あの解体されると思ってついて行かなかったことか、と思いながら頷く。
紫
紫
黄
紫
紫
黄
「それから〜」と、続けて話していく初兎の言葉を、黙ってじっと聞いていた。
すると、こっちを向いた初兎がぎょっと目を開く。
紫
紫
黄
紫
黄
相手に指摘さた瞬間、ぶわっと目の奥が熱くなる。
あのとき「泣いちゃだめだ」と我慢していた涙が、溢れ出していく。
黄
今は、泣いてもいいと思う。
背中をさすってくれている初兎が、受け止めてくれる気がしたから。
紫
紫
幸せそうに寝ているパートナーに、少し笑いが漏れる。
電車にゆらゆら揺られながら、悠くんが目を開ける。
黄
紫
黄
紫
勢いで立ち上がろうとする悠くんを抑える。
比較的空いてると言っても、やっぱり人は何人か乗っていた。
黄
紫
黄
一息ついて座り直す。
よっぽど焦ってたみたいだ。
黄
落ち着いたな、と思っていると、今度は目を擦り始めた。
泣いてなんてないけど....?
紫
紫
黄
黄
少し力なく笑うパートナー。
これは、、もしや過去の夢を見ていたのでは。
黄
紫
紫
黄
紫
紫
悠くんにはパートナーが"2人"居る。
俺と、もう1人。
自分からはあまり思い出さないし、触れないけど
鮮明に、思い出したくなった。
紫
俺は、ロボット病院の待合室で上の空だった。
頭と足に、包帯がぐるぐる巻かれている。
紫
紫
途切れなく水滴がぼろぼろと頬をつたる。
絞り出すような声が、待合室に響いて消えた。
ぶつけようのない悲しみはさまよって、自分への怒りになって返ってくる。
「俺が帰ったら見てみろ」
そう言われて父親から渡された紙をぐしゃっと握る。
紫
「ごめん、死ぬかもしれない」
「今までありがとう」
「君がパートナーでよかった」
そう、書かれた紙にぽたぽたと涙が落ちていく。
その字は俺の知ってる君の字じゃない。
達筆な父の字。
あいつが書けないはずの漢字の上にふりがなが書いてある。
紫
自分への怒りについ、爪を立てて腕を握ろうとしてしまう。
その手を止めたのは、懐かしい声だった。
○
紫
紫
懐かしい。
俺がパートナーの元へ行ってから、会っていなかった幼なじみ。
俺はサッと紙を隠して、目元をぐしぐしと擦った。
紫
○
○
***が俺の頭を指さして言う。
そう言った***の頭も包帯がぐるぐる巻かれていた。
紫
○
○
紫
自分で言ったその言葉に、俺はもう一度泣きそうになる。
***の前で泣きたくはない。
俺はひとつ、深呼吸をしてから口を開く。
紫
○
○
「僕もわかんない」と言いながら笑う***。
紫
○
○
○
○
○
つらつらと途切れなく続く***の言葉を、俺は黙って聞く。
幼なじみと言っても、俺の方が年上なので、パートナーの元に行ったのは俺の方が早かった。
***が言う「パートナーが」という言葉が辛い。
***が悪いわけじゃない。
俺が悪い。
そう分かっていても、辛かった。
○
○
紫
紫
もう、その一言で済ませたかった。
「良い奴やったで」とは、言いたくない。
それ以上口を開かないでいると、向こうの方から男の人がやってきた。
○
○
○
パートナーの家に行って1日で「僕の父さん」と言えるところから
相当恵まれた家庭に行けたんだな、ということがひしひしと伝わってくる。
男の人の顔も、凄く穏やかで優しそうだ。
さっき沈んだ父の顔を見ていた俺は、余計に胸が締め付けられた。
紫
○
マシンガンのように喋りだしそうな口を***が抑える。
○
紫
手をひらひらとふりかえす。
恵まれている***が、少し羨ましかった。
紫
パートナーロボットは、パートナーを亡くすと待機所みたいなところに戻される。
そこで、パートナーロボットを亡くした人間との出会いを待つのだ。
なんと惨い(むごい)制度だろうと思う。
紫
ポツッ...ポツッ
水
桃
黄
水
青
紫
水
赤
夏休み真っ最中の8月。
小5のとき、イツメンでお泊まり会をしようという計画を立てて、俺達の家でお泊まり会をすることになった。
黄
青
紫
水
皆でわいわい喋る。
しばらく喋ったあと、俺は違和感に気づいた。
紫
思えばさっきから会話に加わっていない。
部屋を見回そうとすると、ないちゃんの切羽詰まった声が響いた。
桃
赤
紫
何事かと思って顔を向けると、明らかにしんどそうな顔でりうちゃんがなにかを訴えているのが見えた。
そして、ないちゃんが泣きそうな顔でしんどそうなりうちゃんの肩を揺さぶっている。
桃
桃
桃
悠くんとまろちゃんが呼ばれたということは、俺といむくんが呼ばれたのと同じ。
直ぐに皆でりうちゃん達のところへ駆け寄った。
ぐったりとしているりうちゃんが「前のパートナー」に
必死に揺さぶっているないちゃんが「昔の自分」に重なった。
俺の悪い癖だ。
その瞬間、昔の光景がぶわっと目の前に広がった。
紫
真っ赤に染まったパートナーの体。
足の激痛。
車のクラクション。
掠れた君の声。
アスファルトの感覚さえ、蘇る。
頭をスコンッと叩かれたような気持ちになる。
黄
青
紫
水
なるべく的確に指示できるよう、頭を回転させる。
血は繋がってないけど、弟だ。
血は繋がってないけど、兄だ。
ロボットに血なんてないけれど、
家族なんだ。
「あいつ」と同じようにはさせない。
紫
桃
紫
黄
水
青
桃
ないちゃんの背中をさする手に力が入る。
ロボット病院の待合室。
何年も前に自分が泣きじゃくったあの席と同じ。
最後に***に会ったあの席と同じ。
紫
自分の発言に「はてな」が沸いていく。
気休めの言葉は出てくるのは簡単だが、現実になるのは曖昧だ。
紫
今1番行動出来るのは俺だ。
年上で、りうらと同じロボットの俺だ。
紫
桃
「急に何言うの」と言う顔でこちらを見てくる。
紫
紫
ロボットは助かる、"核"に損傷が無い限り。
あったとしてもその傷を広げなければいい。
ロボットは人間と違う。
それに、大切な人が居た方が死ににくいとか言うし。
紫
スタスタスタ
言おうとした言葉を途中で止める。
向こう側から父が早足で歩いてきていた。
皆で付き添っていた父の言葉をじっと待つ。
父
紫
黄
水
青
桃
みんな、泣きそうな顔で喜ぶ。
悠くんが目を擦る。1番安心してそうだ。
***のことを、思い出していたのだろうか。
紫
黄
ゆうくんと目が合って、にへっと笑い合う。
笑いあって、ようやく安心できたような気がした。
黄
紫
黄
紫
突拍子なパートナーの言葉に思わず変な声が出る。
紫
紫
紫
黄
びしっと話を遮られる。
まぁ、とりあえず理由から聞こう。
紫
黄
黄
黄
...実に単純な考えだった。
もっと難しいこと言い出すと思っていたのだが、すごく悠くんらしかった。
冷静沈着なのに、たまに豪快だ。
紫
紫
紫
紫
新聞社が嫌なわけではない。
俺にとって悠くんの家は、家族と友達は、
1番の居場所だ。
一度失って、もう一度笑えることができた、俺の家。
自ら離れるなんてしたくない。
黄
下を向いて考えるパートナー。
俯いているけど、その目はもう決心されていた。
黄
黄
黄
黄
紫
とても無謀な事を言う。
俺の大切な人はそれだけじゃない。
***も、元のパートナーも、元の家族も
今は繋がっていないけど俺の大切な人。
いや、もっともっと居る。
悠くんが知らない人だって居るんだ。
紫
まっすぐ見つめながら言う。
決心されていたパートナーの目が、すこし揺らいだ。
黄
もう一度下を向く悠くん。
だいぶ長い間動かない。
これ以上、出てこないんじゃないか。
黄
黄
黄
紫
今までだって大切にしてくれた悠くん。
俺だって、「これ以上」がないくらい大切に思っていた。
曖昧な境界線を、限界だと思っていた。
紫
紫
ギュウッ
悠くんの腕の中に飛び込む。
紫
黄
顔を見合せてにへっとする。
「滑り止め」という言葉が、なぜかものすごく嬉しかった。
紫
紫
黄
紫
紫
黄
「大切の限界」の曖昧な境界線は、無いことに気づく。
一緒に時を過ごすほど大切になっていくのだろう。
紫
新聞社....面白そうでええやん!!
ガチャッ
黄
黄
紫
ダダダッッ
床を走る2つの音がこちらまで響く。
桃
赤
赤
...弟たち、なんか可愛げ無くなってないか?
黄
赤
俺の手にある袋を覗き込む。
新聞社に就職してから割と色んなところを飛び回っているので、色んなところの色んなものを詰めてきた。
黄
赤
桃
紫
桃
黄
桃
黄
足元の散乱した資料と機械を見て言う。
一応インタビューということで、取材させてもらう。
桃
赤
桃
昔から仲良いよなぁ、と思いながら笑う。
本当に、2人は相性がいいと思う。
すると、初兎が急にシュバッとメモ帳を取り出して構えだした。
仕事モードに入ったようだ。
紫
桃
紫
桃
黄
紫
桃
紫
黄
りうらが用意してくれた飲み物を飲みながら、皆で机を囲む。
桃
仕事モードの初兎が怖いのは俺もわかる。
けど口に出したら半殺しなので言わないでおこう。
赤
黄
黄
桃
まろはそういうの得意そうだしなんとかなりそうだな、と思う。
ないこがまろに頼りっぱなしの未来が見える。
黄
紫
赤
桃
黄
まさかの全員考えてたとは。
桃
みんな、パートナーとのあれこれを解決してきた。
それを同じ時期に思い出すなんて、ないこの言う通り本当に兄弟だと感じてしまう。
赤
紫
黄
桃
皆の目が細く優しく笑う。
やっぱり、この人達と家族でよかった。
黄
大切な人が言ってた言葉を思い出す。
桃
赤
ないことりうらが隣で笑いあっているパートナー同士だとしたら、
紫
俺と初兎は背中合わせで支え合っているパートナー同士だろう。
黄
俺の首にある黄色のネックレス。
相棒の首には、緑のネックレスがかかっている。
2つのネックレスが、キラリと光った気がした。
sora
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sora
(っ'ヮ'c)<バァァァァァァイィィィィィィバァァァァァァイ
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