もしも取り戻せたら。

何回かデートを重ね、 それでもキヨくんの記憶は戻らなかった。

これが最後のチャンスだと 俺たちは遊園地に遊びに来た。

ふーん、と言ったあと、

周りをキョロキョロと見回している。

気を遣ってくれるキヨくん。

調子が狂うな…

ふわっと笑って空を仰ぐ。

ああ…

かっこいいな…

実際俺は運転ができない。

キヨくんは普通にできる。

でも…

キヨくんの笑顔が眩しい。

その後もアトラクションに乗ったり ランチを食べたり

夕方まで楽しんだ。

その後もコーヒーカップや お化け屋敷に入っては

俺は終始叫んでいたみたいで。

あたりは薄暗くなり アトラクションがライトアップされる。

観覧車まで小走りに向かった。

ゴンドラに乗り込み 向かい合って座る。

前のデートのときもこんな感じ だったなぁと考えながら。

下を見ると、さっき乗った アトラクションが光輝いている。

周りの景色を見る、キヨくんの横顔。

俺はたまらなくなって その横顔を写真に収めた。

パシャッ

最初のデートを思い出す。

キヨくんの憂いを込めた顔が好きで

その時も勝手に写真を撮って びっくりされたっけ。

若干光のあたったその表情を 記憶に残すだけじゃ勿体ないと思った。

キヨくんに言われるがまま、 その隣にそっと座った。

肩と肩をピッタリとくっつけて 夜景をバックに写真を撮る。

俺のことをからかって面白がるところは 前と全く変わっていないのに。

外を見ながら感傷に浸る。

ゴンドラが低くなっていく。

ここまでの15分、それが長く感じた。

楽しい時間は早く過ぎるというが 今回はそんなことなかったみたいだ。

楽しくなかったわけではない。 でも…

心から楽しめたかというと…

TO BE CONTINUED…