3月31日 私はまだ微かに残る冷たい風に吹かれて、空を見る。
果奈
ねえ、晴輝。
果奈
私、今日で20歳になったよ。
果奈
2年前、大嫌いだった誕生日が大好きになっちゃうなんて、可笑しいね。
果奈
もしも君が、虐待を受けていた私に
「卒業したら、この町から逃げよう!」
なんて言わなかったら、私はあんな嫌いにならなかったのにな。
「卒業したら、この町から逃げよう!」
なんて言わなかったら、私はあんな嫌いにならなかったのにな。
果奈
卒業式、終えて直ぐに駆け出して、この町を出て少し…いや、とても気持ちが晴れたんだよ。
果奈
助けてくれてありがとう。
果奈
でも───
果奈
果奈
逃げてる途中、私と君が事故に遭って意識不明だって言われたときは、本当に嫌いになった。
果奈
でも、今年は違うの。
果奈
だって──
晴輝
晴輝
果奈!
果奈
晴輝。
果奈
君が意識を取り戻してくれたから。







