零円の告白

会食が終わった次の日

治くんから連絡があった

LINE

治| 明後日空いてる？

○○| うん、空いてる

治| じゃあ明後日遊び行こ

○○| おっけー

という訳で今日がその遊ぶ日

今日はお母様もいないから

ゆっくり準備ができる

私は気合いをいれて

いつもより丁寧にメイクを始めた

そう言って桜子は

せっせと髪の毛を巻いてくれた

私は鏡の前で

自分を見る

夏には暑そうな長袖だけど

所々のシースルーが

暑苦しさを軽減してくれてる

この日は

この前ばったり会った

ショッピングモールの前で

集合することになった

少し先を見ると…

もう着いてる…

なんて声かけるんだろ

やっほー…？

久しぶり？

いや言うほど久しぶりじゃないよね

だったら…

気づかれてたのか…

すると治くんは

私の格好を凝視する

そう言って治くんは

私の少しだけ前を歩き始める

どこ行くんだろ

治くんが連れてきてくれたのは

映画館だった

買ってきてくれたのは

ポップコーンと飲み物だった

人がいる映画…

いつもはプライベートシアターで見てる

とは言えないから

危ない…

学校とは違うから

気が緩んでた

そして暗くなった

横を見ると

○○は既にスクリーンをじっとみてた

可愛い

まぁこの映画

この前見たんやけどな

○○の見てる顔見るためとか

さすがに言えへんわ

たまに

とか

とかすかに聞こえる

真剣に見てんな

手とか繋いで

驚かそうかと思ったけど

これもこれでええか

そしてクライマックスで盛り上がるシーン

○○は少し目が潤んでた

なんやこの天使

舞い降りた女神やろこんなん

やっばい…

まじで映画入ってこんわ

見といてよかった

そして映画は終わり

会場のあかりが着いた

そう言って横を見ると

治くんは一瞬言葉につまり

軽く笑った

え…なに

また私なんかした？

ん…？

待って

この人今なんて言った？

他の人と言われるのとは

違うから…

治くんは食べ終わった物を持って

スっとたち上がった

帰り

駅に向かってる最中

私はさっきの「可愛い」に

頭を悩まされていた

横を見ると

治くんが足を止めてなにかを見ていた

そこにあったのは「稲荷崎花火大会」

そのポスターだった

夏祭り…

私行ったことない

小さい頃に行きたいって言ったら

「あんな庶民が集まる場所」

「行く必要ないわ」って

言われたんだよね…

突然の質問に私は固まった

治くんは腕を組みながら

何かを考えるようにポスターを見つめてる

花火大会…ちょっと行ってみたい

こうして初めてのデートは

終わりを迎えた

家に帰って

お風呂に入ってから

私はベットに倒れ込んだ

確かにそんなこと言ってたような

私はベットに座りながら

さっきのポスターの画像を見る

もし行ったら

どんな感じなんだろ…

家のこともあるし

行けないか…

そう考えても

さっきの治くんの顔が離れない

私の浴衣

もしかしたら見たいのかな

そんなわけないか

そう考え私は眠りについた

夏休みの中盤ぐらいに

私は1人で海外に出かけた

桜子はいるけど

海外だと刺青の偏見も少ないから

腕を出して

外を歩き回れる

なぜこの旅行が決まったのかと言うと

この前の治くんとのデートの後

お父様が帰ってきた

お母様は仕事が忙しいため

東京から帰ってきてなかった

お父様が帰ってくるなんて

一体何事？

分からない…

怖いし…

私がそう思っていると

口を開いたのはお父様の方だった

なぜそんなに

普通の家族みたいな話を…

するとお父様は

チケットを私に渡してきた

旅行？

急に？

私飛ばされる？

自分を…保つ？

というわけでパリに来てます

私が行きたかったカフェは

アンティークなものが飾られていて

とても雰囲気が良かった

確か21日夏祭りがあったような

まぁでも

治くんはバレーの試合が入ってるから

どっちにせよ

行けないんだけど…

ちょっと残念

治くんが行けないなら

私ひとりで行ってみようかな

来年の参考にできるし

夏祭り初めてな人って

そうそういないもんね

忘れてた…

じゃあ遥とかに頼もうかな

流石に執事はな…

あ…そうだ

桜子の弟はうちで働いてるんだった

治くんは来ないって言ってたし

サングラスとかかけたら

人混みで誰かに見つかることは

ないはず…

もっと

治くんの彼女として

色んなこと勉強しないと…