テラーノベル
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目を開けると、そこには冷え切った自分の部屋だった
カーテンの隙間から差し込む朝日は白く
両親は俺に無関心
いつもの日常だ
でも俺の頬には夢で拭われた指のぬくもりが残ってるような気がした
hr
hr
重い体を起こし、鏡に向かってぎこちなく微笑んだ
まずは自分の為に、あったかいお茶を淹れる事から始めよう
そう決意して
同じ頃
tt
何だか、現実離れした場所で
妙にリアルな恋をしていた
こんな夢を見た
tt
相手の名前も覚えてる
母親
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tt
tt
母親
tt
俺の親はとにかく過干渉で俺を支配しようとしている
でもそれは、愛故にではなくて
世間体
母親
何言ってるんだよ
教育面以外では金ださねぇ癖に
教育面以外では放置する癖に
母さんが愛してるのは本当の俺じゃなくて
父さんの後を継ぐ立派な息子の癖に
夢の中では偉そうにヒロくんを導いてたのに
現実では毒親に支配されて
tt
ふと自分の左手首を見つめた
そこには何もないけど、俺には見えていた
ヒロ裙が恥ずかしそうに結んでくれた
忘れな草の編み込んだブレスレットが
俺の手首を締め付けている感覚も
tt
tt
君にそう言った手前、俺が負けるわけにはいかないな
tt
俺は机に向かって、家を出るための計画を書き留め始めた
出してもらえるなら出してもらおうじゃ無いの
塾代、家庭教師代、試験代、留学費用、海外研修費、全部出してもらって
tt
tt
tt
勿忘草の言葉通り、自分を愛してくれたあの子を
そしてあの子を愛した自分自身の誇りを
決して忘れない
tt
俺は自分の左手首を右手でぎゅっと握った
まるで、そこに今も残るヒロ裙の手の温もりを
自分の心に転写するかのように
hr
自分の為に用意された朝食などないキッチンで
俺は自分のための朝食を用意する
水道からでる冷たい水
指先が凍えるような感覚に、思わず涙がこぼれそうになった
無意識に、あるはずのない砂時計のペンダントを握りしめるように
胸の前で手を握った
tt
tt
夢で交わった、熱い抱擁の残り香が
微かに残っている気がした
hr
hr
hr
hr
自分の為に淹れた温かいお茶
それは、俺が自分を大事にしようと決めた
最初の小さな一歩でした
二人が見ていたのは
現実逃避のための夢ではありませんでした
それは、
過酷な現実を戦い抜くための
二人だけの秘密の「約束」だったのです
そして二人はまだ
お互いが実在することさえ知りません
けれど、その贈り物の記憶は
現実という名の荒野を生き抜くための、最強の武器になっていました
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