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天使の代償

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天使の代償

1 - 天使の代償

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2022年01月22日

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ミア・ギレーヌ

ねぇ、ルーナ

ルーナ・クローディー

なに?

ミア・ギレーヌ

これ、知ってる?

ミアは新聞の切り抜きをルーナに見せた

見出しには 「天使の犯行か?」 と大きく書かれている

ルーナ・クローディー

天使の犯行…?

ミア・ギレーヌ

えぇ、天使よ

ミア・ギレーヌ

詳しく説明するとね…

ミア・ギレーヌ

この天使は美しい女性の元へ現れる

ミア・ギレーヌ

そして、「君は永遠の美が欲しいかい?」と女性に囁くの

ミア・ギレーヌ

でも、その問いかけに絶対頷いてはいけないわ

ルーナ・クローディー

どうして?

ミア・ギレーヌ

14日後に命を吸い取られるからよ

ルーナ・クローディー

命…?

ルーナ・クローディー

でも、「永遠の美」と天使は囁くのでしょう?

ミア・ギレーヌ

えぇ、そうよ

ミア・ギレーヌ

だけど、その「永遠の美」は永遠に美しさを保てる訳じゃないのよ

ミア・ギレーヌ

「永遠の美」の真相は、「記憶に残り続ける永遠の美」よ

ルーナ・クローディー

つまり?

ミア・ギレーヌ

美しい顔のまま死ねば、他の人の記憶に残る顔は美しいままよ

ミア・ギレーヌ

つまり、皆の記憶の中で永遠に輝き続けるのよ

ルーナ・クローディー

…残酷な話ね

ルーナ・クローディー

その天使の囁きに頷くとどうなってしまうの?

ミア・ギレーヌ

天使から羽を授かるわ

ミア・ギレーヌ

その羽は初め手のひらサイズの小さな羽なの

ミア・ギレーヌ

でも、14日間のうちに急激に成長する

ミア・ギレーヌ

その羽は成長するにつれ痛みを伴うわ

ミア・ギレーヌ

そして、14日が経つと再び天使が迎えに来る

ミア・ギレーヌ

その時に天使は美しく天使に育った女性の命を吸い取るのよ

ルーナ・クローディー

天使は命を吸い取ってどうするの?

ミア・ギレーヌ

自分が永遠に美しくいるために他人の美しさを命を吸うことで食らうのよ

ルーナ・クローディー

自分の為に他人を犠牲にするなんて…

ルーナ・クローディー

天使という名の悪魔ね

ミア・ギレーヌ

同感よ

ミア・ギレーヌ

でも、犠牲者は幸せそうな死顔をしているらしいわ

ミア・ギレーヌ

それに、犠牲者の周りには羽が飛び散っていてとても美しいそうよ

ルーナ・クローディー

皮肉なものね…

ミア・ギレーヌ

えぇ、ほんとよね

ミア・ギレーヌ

だからね、ルーナ

ミア・ギレーヌ

天使が来ても絶対に誘いに乗っては駄目よ

ルーナ・クローディー

私の元に天使は来ないと思うわ

ルーナ・クローディー

だって私は美しくないもの

ミア・ギレーヌ

いいえ、ルーナ

ミアはルーナの手を取り

真剣な眼差しでルーナを見つめて言った

ミア・ギレーヌ

貴方は美しいわ

ルーナ・クローディー

美しいだなんて…

ルーナ・クローディー

私には勿体ない言葉だわ…

ミア・ギレーヌ

そんな事ない

ミア・ギレーヌ

貴方は私の美しい天使よ

ルーナの頬は赤く染った

ルーナ・クローディー

み、ミア…?

ミア・ギレーヌ

あぁ、ごめんなさい!

ミア・ギレーヌ

今のは忘れてちょうだい

ルーナ・クローディー

忘れられるかしら

ルーナは笑いを含んでそう言った

ルーナ・クローディー

でもね、ミア

ルーナ・クローディー

貴方も十分美しいと思うわ

ミア・ギレーヌ

私なんて全然よ

ミア・ギレーヌ

むしろ醜いぐらいだわ

ミア・ギレーヌ

ルーナの横に並ぶと特にね

ミアは冗談交じりに話した

ルーナ・クローディー

(ミアは容姿に自信が無いのかしら…)

ルーナ・クローディー

(眩しいほどに美しいのに何故…)

〜クローディー邸~

…ルーナの部屋…

ルーナ・クローディー

天使…

ルーナは何か落ち着かないらしく

先程から「天使」と呟き続けている

ルーナ・クローディー

(天使って実在するのかしら)

その時だった

ルーナの問いに応えるかのように大窓が勢いよく開いた

ルーナ・クローディー

なに…?!

ルーナがそちらへ目を向けると人影が浮かび上がった

ルーナ・クローディー

あ、貴方は…

…ルーナ視点…

蒼く優美に輝く月を背景に

天使が佇んでいる

ルーナ・クローディー

……!

ルーナは天使に見惚れ声も出ないようだった

天使は艶やかな白髪を夜風になびかせ

優しく微笑んだ

ノエ

僕の名前はノエ

ノエ

こんばんは、ルーナ

ルーナ・クローディー

天…使…

ノエ

あぁ、やはり君は美しい…

ノエ

ルーナという名前が良く似合う!

ノエ

ルーナは月の女神という意味だ

ノエ

君はまさにこの月のように美しい…

ルーナ・クローディー

(実在したのね…)

ノエ

驚きすぎて声も出ない様だね

ノエ

天使が実在するということに驚いているのかな?

ノエ

それとも、天使が男性だったことにかな?

ルーナ・クローディー

その両方と言えるわ

ルーナは少し落ち着きを取り戻したようだった

ノエ

ははっ、そうかい

ノエ

ところでルーナ

ルーナ・クローディー

何かしら

ノエ

「君は永遠の美が欲しいかい?」

ルーナ・クローディー

(ミアの言っていたあの質問…)

ノエ

と、言いたい所だけど…

ノエ

君はあまりにも美しすぎる

ノエ

故に、14日間で終わらせるのは勿体ない

ノエ

そこで1つ提案がある

ノエ

僕の恋人にならないかい?

ルーナ・クローディー

(何を言い出すのかと思えば…)

ルーナ・クローディー

結構よ

ノエ

…そうかい、残念だ

ノエ

まぁ、無理もないね

ノエ

だって君は───

ノエはそこまで言うとぐっとルーナに近寄り耳打ちした

ノエ

ミア・ギレーヌを愛しているから

ルーナ・クローディー

な、何故それを…!

ノエ

僕は何でも知っているさ

ノエ

その様子だとやはり当たりのようだね

ルーナ・クローディー

…………

図星を突かれルーナは何も言い返せないようだった

そんなルーナにノエは囁いた

ノエ

昼間、ミアは君に「貴方は私の美しい天使よ」と言ったね

ノエ

じゃあ、君が本当の天使になれば彼女は…

ノエ

君を愛してくれるのではないか?

ノエは優しいような、悪巧みをしているようなそんな笑みで

ルーナに問いかけた

ルーナ・クローディー

それは…

ノエ

君はミアに愛されたい、そうだろう

ノエ

それならばルーナ、君は天使になるべきだ

ルーナ・クローディー

っ…

ルーナの大きな瞳がぐらりと揺れる

ルーナは自分と葛藤しているようだった

ノエ

では、ここでもう一度問おう

ノエはルーナの白い肌をなぞり言った

ノエ

「君は永遠の美が欲しいかい?」

ルーナ・クローディー

わ、私は…

ルーナ・クローディー

私は…

ルーナ・クローディー

永遠の美が…欲しいっ…

ノエ

あぁ、嬉しいよ!ルーナ!

ノエは唇を弧の形に緩め、頬を上気させ言った

ノエ

それでは、君に羽を授けよう

ノエはルーナの背中にそっと触れた

ルーナ・クローディー

うっ…!

ルーナは苦しさを覚え地面に倒れ込んだ

ルーナ・クローディー

い、痛い…!

ノエ

大丈夫さ、ルーナ

ノエ

痛みは直ぐに収まる

ノエ

少しの辛抱だよ

ノエはルーナに優しく微笑みかけた

ルーナ・クローディー

収まってきたわ…

ノエ

そうかい、良かったよ

ノエ

それじゃあルーナ、そろそろ僕はおいとまさせていただこう

ノエ

君が美しい天使になった時にまた会いに来るよ

ノエ

それでは、ご機嫌よう

ノエは夜の暗闇へと溶けていった

ルーナ・クローディー

消え、た…?

冷たい潮風がルーナの髪を揺らした

少しの間ルーナはその場に座り込んだままだった

…………

数十分が経った頃、ルーナは何かを思いついたように立ち上がり

電話の元へと駆け寄った

??「…もしもし」

声の主はミアのようだった

ルーナ・クローディー

あぁ、ミアね

ミア「ええ、そうよ」

ミア「こんな夜中にどうしたの?」

ルーナ・クローディー

明日、話したいの事があるの

ルーナ・クローディー

10:00にルトムント通りのカフェに来てくれないかしら

ミア「分かったわ」

ルーナ・クローディー

それじゃあ、おやすみ

ミア「えぇ、おやすみ」

ルーナは受話器を置いた

その顔は満足そうな蕩けた表情をしていた

ミア・ギレーヌ

ルーナ!

街中でミアが手を振っている

ルーナも控えめに振り返し、ミアの元へ駆け寄った

ルーナ・クローディー

おはよう、ミア

ミア・ギレーヌ

おはよう!

ミア・ギレーヌ

何だか嬉しそうね、ルーナ

ミア・ギレーヌ

良い事でもあったの?

ルーナ・クローディー

ふふっ、まぁ少しね

ミア・ギレーヌ

ところで話ってなに?

ルーナ・クローディー

私これからクローディー家の事情で外に出られないの

ルーナ・クローディー

だから、少しの間ミアには会えないの

ミア・ギレーヌ

そんな、寂しいわ…

ルーナ・クローディー

でも、私は家から出られないけれど

ルーナ・クローディー

ミアが来てくれれば会えるの

ルーナ・クローディー

だから、13日後に来てくれないかしら

ミア・ギレーヌ

13日後…?

ルーナ・クローディー

えぇ、そういう事だからお願いね

ミア・ギレーヌ

ちょっと、ルーナ!

ルーナはミアに天使になったということを悟られないように

すぐにその場を後にした

~クローディー邸~

…ルーナの部屋…

ルーナが天使になってから10日が経とうしていてた

羽は美しく成長していた

だが同時に、激しい痛みも伴うようになっていた

ルーナ・クローディー

(痛い痛い痛い…)

ルーナ・クローディー

(でもこれも、ミアの為よ…)

ルーナ・クローディー

(もう少しの辛抱だわ…)

その時、電話が鳴った

ルーナ・クローディー

(きっとミアからだわ!)

ルーナは痛みも忘れ受話器を取った

ミア「…ルーナ!」

ミアの声は優しくルーナの鼓膜を震わせた

ルーナは口角を上げ、話し出した

ルーナ・クローディー

久しぶりね、ミア!

ミア「えぇ、そうね!」

ミア「私の方も忙しくて連絡が遅くなってしまったわ」

ルーナ・クローディー

良いのよ、気にしないで!

ミア「ありがとう」

ミア「ルーナは元気にしているの?」

ルーナ・クローディー

えぇ、元気よ!

ルーナ・クローディー

ミアこそ元気にしている?

ミア「用事続きで少し疲れているけれど、」

ミア「ルーナに会えばきっと元気になるわ」

ミア「早く会いたいわ、ルーナ」

ルーナ・クローディー

私もよ、ミア

ルーナ・クローディー

3日後には会えるのね

ミア「楽しみにしているわ」

ルーナ・クローディー

首を長くして待っているわ

ミア「ふふっ、ありがとう」

ミア「それじゃあ、また3日後に」

ルーナ・クローディー

えぇ、また

ルーナはそれから3日間、ミアの訪問を待ち遠しくしていた

ルーナが天使に身を捧げてから14日が経過した

ルーナ・クローディー

(やっと、やっとミアに会えるのね…)

ルーナ・クローディー

(この羽を見てミアは喜ぶかしら)

ルーナは愛おしそうに立派に成長した羽を撫でた

ルーナ・クローディー

(これできっと私はミアの天使に…)

コンコンコン

扉を叩く音が聞こえる

「ルーナ、いるの?」

懐かしい声が扉の向こうから響いてくる

ルーナは急いで扉の方へ駆け寄った

ルーナ・クローディー

ミア!今開けるわ!

ルーナは扉を開いた

ルーナ・クローディー

久しぶりね!ミア!

ルーナは両手を広げミアを歓迎した

だが一方のミアは目を見開き固まっていた

ミア・ギレーヌ

ルー…ナ…?

ルーナ・クローディー

えぇ、そうよルーナよ

ルーナは温かい笑みを浮かべながら言った

ミア・ギレーヌ

どうして、羽が…

ルーナ・クローディー

とっても綺麗でしょう?

ミア・ギレーヌ

違う、そうじゃないわ…

ミア・ギレーヌ

ルーナまさか、天使と契約を…?

ルーナ・クローディー

えぇ、そうよ

ミア・ギレーヌ

何故!どうしてそんなことを!

ミアは叫んだ

ミアの叫び声が部屋の中で反響した

ルーナ・クローディー

ミア…?

ルーナ・クローディー

私はただ、ミアのために…

ミア・ギレーヌ

私の為?

ミア・ギレーヌ

違う、そんなの私の為じゃない…

ミア・ギレーヌ

こんなの…望んでいない

ミアは大粒の涙を流した

シャンデリアの光を含み涙きらりと光る

ミア・ギレーヌ

私は…私は…

ミア・ギレーヌ

貴方に生きていて欲しい!

涙で顔を濡らしながらミアは訴えかける

ルーナ・クローディー

私は…ミアの天使になろうと…

ミア・ギレーヌ

私の、天使…?

ミアはあの日の言葉を思い出した

ミア・ギレーヌ

「貴方は私の美しい天使よ」…

ミア・ギレーヌ

あの日、言った言葉を…

ルーナ・クローディー

そうよ…!

ルーナ・クローディー

だから私はミアに愛して欲しくて本物の天使になろうと…!

ミア・ギレーヌ

貴方は…馬鹿ね…

ミアはルーナの手を取り言った

ミア・ギレーヌ

私は貴方のことをずっと愛していたわ…ルーナ

ルーナ・クローディー

ずっと…?

ミア・ギレーヌ

えぇ、そうよずっとよ

ミア・ギレーヌ

愛してるのよ、貴方を…愛してる

ルーナは「愛してる」を口の中で転がした

暖かくて甘い味が舌を刺激する

ルーナ・クローディー

私は…なんて馬鹿な真似を…

自分の過ちに気づきルーナは絶望した

そんなルーナの背中をミアは優しくさすった

ミア・ギレーヌ

…大丈夫、きっと大丈夫よ

なんの確証もない言葉を呟きながら

ルーナ・クローディー

(私はどうしたら…)

ルーナ・クローディー

(…そうだわ)

ルーナは何か思い付いたようだった

ルーナ・クローディー

ねぇ、ミア

ミア・ギレーヌ

なに?

ルーナ・クローディー

私を…殺して

ミア・ギレーヌ

な、何を言い出すの…

ルーナ・クローディー

私は今夜、天使に命を取られる

ルーナ・クローディー

どの道長くない命…

ルーナ・クローディー

だったら、天使じゃなくて貴方にこの命を奪って欲しい

ルーナ・クローディー

私の愛するミアに

ミア・ギレーヌ

そんな事…出来ない…

ルーナ・クローディー

お願いよ、ミア

ルーナ・クローディー

ほら、これを持って…

ルーナはドレッサーの引き出しを開けナイフを取りだし

ミアに手渡した

ミア・ギレーヌ

嫌、嫌よ…

ミア・ギレーヌ

私が貴方を殺すなんて…

ルーナ・クローディー

私はミアが良い、ミアに殺されたいの

ミア・ギレーヌ

でも…私には…

ルーナ・クローディー

お願い、私からの最期の願いよ

ルーナは美しい瞳でしっかりとミアを見つめた

ミア・ギレーヌ

わ、分かったわ…

ミアは覚悟を決めたようにナイフを握り締めた

ミア・ギレーヌ

天使に取られる前に私がルーナを殺す…

ミア・ギレーヌ

私も直ぐに後を追うわ

ルーナ・クローディー

ありがとう、ミア

ルーナは顔を綻ばせた

ルーナ・クローディー

あぁ、そうだわミア

ルーナ・クローディー

もう1つ聞いてくれるかしら

ミア・ギレーヌ

なに?

ルーナ・クローディー

貴方にプレゼントがあるの

ミア・ギレーヌ

プレゼント…?

ルーナは包装が施された1つの箱をミアに手渡した

ミア・ギレーヌ

開けて良いの?

ルーナ・クローディー

えぇ、もちろんよ

ミア・ギレーヌ

……!これは…

箱の中にはルーナと同じ服が入っていた

ルーナ・クローディー

ずっとミアに着て欲しかったの

ルーナ・クローディー

きっと似合うわ

ルーナ・クローディー

貴方は、美しいから

ルーナ・クローディー

それを着て私と最期を迎えて欲しい

ミア・ギレーヌ

えぇ、分かったわ…

ミアはプレゼントされた服を身に纏った

ミア・ギレーヌ

…似合うかしら

ルーナ・クローディー

えぇ、とても綺麗だわ…

ルーナはうっとりとした目でミアを見つめた

ルーナ・クローディー

これで準備は整ったわ

ルーナ・クローディー

さぁ天使が来る前に、私を殺して

ミア・ギレーヌ

えぇ、分かった…

ミア・ギレーヌ

最期に言い残した事はある?

ルーナ・クローディー

そうね…

ルーナ・クローディー

貴方に言って欲しいことがあるわ

ミア・ギレーヌ

それは、なに?

ルーナ・クローディー

「貴方は私の美しい天使よ」と

少し間を置いてミアは言った

ミア・ギレーヌ

「貴方は私の美しい天使よ」

ミア・ギレーヌ

愛してるわ

ルーナ・クローディー

私も愛してる

ミア・ギレーヌ

さようなら、ルーナ

ルーナ・クローディー

さようなら、ミア

ミアは震える手でナイフを構えルーナに焦点を定めると

ルーナの胸を刺した

ルーナはミアに美しい笑みを向け、頬を撫でた

そして、永遠の眠りについた

ミアはルーナの目を閉じ、

その死顔を愛おしそうに見つめた

ミア・ギレーヌ

私も直ぐにそっちへ逝くわ

ミアは自身の喉にナイフを突き立て、喉を割いた

鮮やかな赤と涙が宙を舞った

ミアはルーナの隣に倒れ込んだ

ミアは最後の気力を振り絞り、

ルーナと身を寄せあい、手を取り死んだ

その光景は狂気的でおぞましく、そして何より美しく神秘的だった

今夜も14日前と同じく蒼い月だった

そんな真夜中に天使は大窓へ降り立った

ノエ

…………

天使は何も言わず目の前に広がる光景を眺めた

その目は憐れむ様な、愛おしむ様な色が浮かんでいた

ノエ

ルーナ・クローディー

ノエ

ミア・ギレーヌ

ノエ

君達の選んだ結末は非常に美しい

ノエ

素晴らしい物語を拝見させて貰ったよ

ノエ

礼を言おう

ノエ

ただ、ルーナ…

ノエ

君の圧倒的な美しさを僕のものに出来なかったのは残念だ

天使は目尻を下げて見せた

ノエ

さて、また次の獲物を探すとしよう

ノエ

それじゃあね、ルーナにミア

ノエ

君達が天国で逢えていることを願うよ

天使はそう言い残し暗闇に消えた

そして蒼い月はいつまでも2人を美しく照らしていましたとさ

「天使の代償」

[完]

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