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その日、空はどこまでも晴れていた。
でも、雅哉の心はどこか重く、 教室の空気もやけに騒がしく感じられた。
雅哉
誰かが笑っていると、 自分が笑われている気がする。
何かが落ちる音にも、 誰かが自分を責めている気がする。
そんな感覚ばかりが、積もっていく。
クラスメイト1
誰かの悪意のない声が、胸に突き刺さる。
雅哉
小さく返事をして教室を出ると、 いつもの屋上に向かう。 鍵は開いていて、風が心地よかった。
雅哉
和人の顔が脳裏をよぎる。
笑っていて、優しくて、 でもどこか少しだけ寂しそうだった。
雅哉
そう呟いたときだった。
「――見つけた」
その声に、心臓が跳ねた。
振り向くと、和人が立っていた。 息を少しだけ切らしていて、 制服の袖が風に揺れていた。
雅哉
和人
和人はそう言って、まっすぐに近づいてくる。
逃げようとした雅哉の手を、そっと、 でも強く掴んだ。
和人
雅哉
和人
風が一瞬止まった気がした。
和人
雅哉
気づけば、雅哉は泣いていた。
雅哉
言葉が震える。涙も止まらなかった。
だけど――和人は、泣きじゃくる雅哉の手を 握ったまま、そっと抱きしめた。
和人
雅哉の小さな肩が震え、 しばらくしてようやくその手が 和人の背中に回された。
それが、2人が再び手を繋いだ日だった。