テラーノベル
アプリでサクサク楽しめる
コメント
0件
👏 最初のコメントを書いて作者に喜んでもらおう!
煉瓦の道の上を歩いていた。
歩いていたというか、ぶらぶらしていた。どこへいくかも考えきることができなかった。大通りの道は開いていたが、なんだかやに人間がいなくって、風がよく吹いた。
一人、どこかへ向かって歩いている女がいた。俺より少し大きいが歳はそう変わらないだろう。コートを着込んでいて、紙の袋を提げている。
あの女はきっとどこかの店で何か食う物を袋に詰めたんだろう。それでどこかしらあれを食う場所に向かっている。なぜだか、その時はそうした確信のような念を抱いていた。空腹だったのだろう。
もう袋だけが眼中にあった。
足の向きを変え、歩みを速めた。女が感づいていたのかは分からない。
足音を盗んで背後から距離を詰める。これはもう慣れた。
重戦士
問題といえば相手は女だと思って力の強さを見誤ったことであった。
袋の方へと伸ばした手が、急に何かに押し潰されたのかと思った。痛みが直ぐ後に続いて来る。
こいつはしくじった。逃げたいから、もう片方の手でこの女の腕に掴みかかったが、ますます手に力を込めてきやがって抵抗ができない。しかも大声を張り上げてくる。
重戦士
盗賊
こんな女に負けていられるか。負けじと大声を張り上げる。盗みを働いて最低だと、俺にすれば盗みを働く奴よりもそうしないと生きていけない奴を最低だのなんだの言う奴の方が最低だ。お前なんか、盗みをしないで生きていけただけだ。
重戦士
しばらく取っ組み合ったが、結局女の声でやってきた大人たちによって俺の手は解放された。女はたいそう俺を睨んできたが、唾をはきかけたらとうとう怒ってまた声を張り上げてきた。こいつは青い髪をしているが、俺の青よりはずっと明るい。やれ、こいつは犬みたいだ。やたら吠えて手で噛みついてくる。噛まれたらもう離さないぞ。
そうしてまあ俺がどこから来たのかもバレていて、結局そこに戻された。そう、かの人喰い孤児院である。
天使
こいつはここにも出てくるのか。前と変わらないにやけ面だ。
そして何故かさっきの犬の女もここに来ている。こいつもここの奴かと思ったが結局そうではなかった。こいつが食われるのはいいなと思ったが残念だった。
重戦士
知らねえ。俺だって、大事に置いていた宝石を誰かに盗まれたこともあったが、要するにその宝石は盗んだ物だから、まあ盗まれることもあるさと流すことができた。盗まれるのが嫌ならお前も盗めばいいだろう。
そう頭の中で思う存分に反論していたが、実際にそれを口から出そうとすると自分でも分からないがなぜだか言葉が詰まってしまい、手の方が先に出てくる。
重戦士
盗賊
顔に思い切りぶつけてやろうとしたが、近くにいた大人がやはり制止してきた。俺の気持ちを考えれば一発ぐらい、と思ったが、もういい加減疲れた。
天使
天使
盗賊
天使
そうだったのか。木の実で生きていくとは、中々大したことがある。思わず感嘆と驚きで目を見開いた。
重戦士
重戦士
盗賊
重戦士
盗賊
言い合っていると金髪が割り込んできた。
天使
盗賊
重戦士
くそ、2対1だ。
働くというか、働かされるのが嫌だ、周りの奴等の思い通りになる。
地団駄を踏んでいたら、鐘の音が鳴った。
天使
重戦士
盗賊
また大声を張り上げてきた。よく飽きないな。
結局のところ、青髪の犬女は帰って、おれは金髪野郎に引き連れられて別の部屋に移って、二人になった。これまで来た部屋よりは無機質な感じだった。
鍋や皿なんかが棚に敷き詰められていて、金髪はその中の一つと、別の棚から白いコップみたいなのを掴んで取り出した。
おれは金髪が並べた椅子の上で横になってそれを眺めていた。薄い毛布と、クッションもくれた。
金髪が鍋に火をかけて、水を温めている。
天使
あいつは今、背中を向けている。ここから逃げ出すことが少し頭に浮かんだが、もうちょっとここに居ようと思った。この部屋は静かで、暖かい。
そうだ、白い何かっていうのは「ラーメン」ってやつだと金髪は言っていた。お湯をあの白いコップの中に淹れればできる物らしい。やたら熱いが、美味かった。
盗賊
天使
盗賊
天使
座りなおして金髪と向かい合って話していた。
天使
盗賊
天使
そこから色々と語っていた。
要するに、おれにこの孤児院で一緒に働いてほしいということ。おれはラーメンの前で改めて考え直した。
天使
盗賊
渋々(あまり何も考えていないが)受け入れてやることにした。金髪、【天使】とかいう男は相変わらずにやけ顔だ。
103