濁った雲を虚ろに見るように
彼は遠いあの子を見ている。
届かない想いを馳せながら
私は彼の手をぎゅっと握りしめた。
涼音
涼音
凌太
涼音
涼音
必死に取り繕った笑顔で
私は今日も道化を演じている
凌太
凌太
付き合って1年、倦怠期なんかも来てないのに
彼はあの子に恋をしてしまったみたいで。
でも手の届かないあの子だから
涼音
涼音
凌太
2番目の私でいいみたい…。
彼は
私とする時、目を瞑る。
凌太
涼音
涼音
凌太
ねぇ、凌。
なんで目を瞑ってるの?
なんで私を見てくれないの?
涼音
凌太
私はここにいるんだよ?
あの子じゃ、
あの子じゃないんだよ…?
涼音
涼音
凌太
取って付けたかのように放った言葉は
軽く泡のように弾け飛んだ。
いっそ。
いっその事このまま消えてしまえばどんなに楽なんだろうか。
こんな浮気者、嫌いになればいいのに。
この手の温もりも
抱きしめる強さも
優しく包む笑顔も
匂いも、声も、言葉も全部。
あなたじゃなきゃダメみたい…。
--------------------------
伝えたい事がいっぱいあるのに
それを吐き出せばきっと全てがなくなりそうで…
私は喉がカラカラになるまで
唾を飲み込む。
涼音
凌太
涼音
凌太
2人を裂く冷たい言葉に
キリキリと心が痛んで
甘く切ない答えに
どうしようもない迷いが
今日も一日を濁らせる。
遥
遥
涼音
凌太
涼音
ねぇ、凌太。
どうしたら私を見てくれるの?
ねぇ、
どうしたらこの苦しさから逃れられるの?
手に入れたくても
手に入らない素敵なおもちゃを目の前に
古びたおもちゃは
きっといつまでも古いままなんだ…
涼音
凌太
涼音
涼音
--------------------------
春の海は、冬でもないのに冷たい。
私の淡く幸せな微睡みのようで
私の飲み込んだ悲しみの涙ようだ。
凌太
凌太
涼音
凌太
"たぶん私は引き止めて欲しかった。"
涼音
涼音
涼音
"それでも…"
涼音
儚い夢は泡沫のよう
寄せては返す波に言葉は消え去り
揺らめく水面(みなも)に儚い夢を描いた。
まるで
想いを伝えられず泡となった人魚姫のように
私の恋は終わりを遂げた。
泡沫の夢から目覚めるために…
コメント
4件
>奥城レイさん コメとコンテスト参加ありがとうございました!自分の中で好きな作品だったので出せれて嬉しかったです*.+゜
>木野さん コメありがとうございます! 人魚姫を題材にして書いてみました。 書いてる間なぜか失恋気分が抜けませんでした笑
切ないけど、文章が詩的で素敵でした。