大食いの彼女には秘密がある

それからしばらくしてテーブルの上は 音弥の手料理で埋め尽くされた

莉子は音弥の食事量に 驚いた様に問いかける

音弥は莉子の手に コップを持たせる

莉子は満足げな表情で 手を合わせる

莉子は立ち上がる

莉子は笑みを浮かべると トイレに向かっていく

莉子は目に薄っすらと 涙を浮かべると

便座の前にしゃがみ込むと 自分の口に指を突っ込む

莉子は口から 大量の吐瀉物を吐き出す

莉子は頭を抱えて涙を流す

莉子の目からは 涙が滴り落ちていた

音弥が呼び止めるが 莉子は歩みを止める事なく 部屋から足早に去っていく

莉子が去った部屋で 音弥は頭を悩ませていた

音弥はスマホを取り出して ネットで検索をする

音弥は「食べた直後のトイレ」 というワードで検索するが

ヒットしたのは 「過敏性腸症候群の危険性」 を紹介する医師会の記事だった

再び検索を試みるがヒットしたのは 「働く女性の８割が職場で 泣いた経験がある」という アンケート結果をまとめた記事だった

音弥は莉子の手の甲に 人差し指と中指の付け根あたりに 傷があったのを思い出す

雪のように白い 肌をしている莉子の手にあった 赤みを帯びたキズが 音弥には気掛かりだった

しかしまたしても ヒットしたのは 医師会の記事だった

音弥が諦めて スマホを閉じようとした時 気になる記事を見つける

それは「吐きダコ」に 関する記事だった

音弥は聞きなれないワードに 首を傾げながらもその記事をタップする

吐きダコ

吐きダコとは過食症などの 摂食障害を持つ人が 飲食後に嘔吐を繰り返す事により 手や喉にできるタコのことを指す

特に喉に手を突っ込んで嘔吐を 誘発する際に指が歯に当たることで 指にできることが多い

嘔吐する理由としては ストレスが大半を占めている

食べた事でストレスを発散し 太る事を恐れるあまりに 消化する前に嘔吐 してしまうと言うのが一般的だ

しかし嘔吐を続けていると 歯が胃酸にさらされ 虫歯になりやすくなったり 唾液腺が腫れたりなど さまざまな変化を引き起こす

また、このような身体的な兆候は 摂食障害の一種である神経性過食症 （過食嘔吐）と関連しており 適切な治療やサポートが必要だ

また、過食嘔吐症は低体重である場合 死亡率18％にまで 及ぶ非常にリスクの高い障害だ

更に食事と嘔吐繰り返すことで 体内バランスが崩壊し多臓器不全 を起こしてしまうことがある

そのため心配事がある場合は 医療専門家に相談することが重要だ

音弥は不安な眼差しで トイレを見つめる