永遠の愛を貴方にーきおくー

ー人間界・深夜ー

大きく振り上げた光の剣を 悪魔に向かって振り下ろす

ザシュッ！！

絶命する悪魔

その場に崩れ落ちるガッチマン

複数の悪魔を始末した後 大天使ほどの強さを持つ 上級悪魔が現れた

苦戦しつつも なんとか始末出来たのだが…

上級悪魔たちに受けた 術とケガのせいで 意識が朦朧とする

〈殲滅を確認〉

〈直ちに天界へ帰還せよ〉

体がピクリとも動かない

だんだん意識が遠退いていく

ガッチマンは そのまま気を失った…

目を覚ますガッチマン

見知らぬ部屋のベッドに 寝かされている

悪魔の術のせいで 思うように体が動かない上に 熱があるのか 頭がぼーっとしている

目を閉じるガッチマン

以前ケガして帰った時 カマエル様に 『ケガする暇があったのか』 と言われた

要するに " ケガする前に倒せ カマエル配下であるならば ケガする隙すら与えるな " と…

ガチャッ

ドアが開く

目を開けるガッチマン

男性を見て固まる

遠い昔に自分のせいで 死なせてしまった人間が…

" あなただけを愛し続ける " と永遠の愛を誓った人間が 目の前に立っている

昔の記憶が鮮明に蘇る

一目見た瞬間、心を奪われたこと

少しずつ仲良くなり 会話したり 名前を呼び合うようになったこと

相手は人間、妻子がいる人なのだと 自分に言い聞かせたこと…

切なさや悲しみ、 苦しみ、嫉妬、喜び、安らぎ

そしてずっと隠し通してきた 愛しさや恋しさも全て…

稀にうっしーみたいに 記憶を残したまま転生する者もいる だが、ほとんどの場合 転生すると記憶を無くしてしまう

ガッチマンの目から涙が零れる

ガッチマンのおでこに 手をあてるキヨ

泣きながら 求めるようにキヨを呼ぶ

すぐに我に返るガッチマン

ぎゅ…

ガッチマンを抱きしめるキヨ

思いとは裏腹に直感で感じる…

いつか絶対 今のキヨを好きになる

そして今度は前世のキヨではなく 今のキヨを愛し続けると…

前世のキヨを忘れてしまうことも

また自分のせいで 死なせてしまうかもしれないことも

" 今のキヨと一緒にいたい " そう願わずにはいられないほど 求めてしまう自分も全部…

ちゅっ…

キヨにしがみつき 泣きじゃくるガッチマン

高熱で 情緒不安定になっていたおれは 子供みたいに キヨにしがみついて泣いた

どのぐらい泣いていたのかは 覚えていない

ただ、 おれが泣き疲れて眠るまでずっと キヨが優しく 抱きしめてくれていた事だけは 覚えていた…

ー数日後ー ーキヨ家のリビングー

あれから熱は下がったものの 悪魔の術がなかなか消えず 思うように体が動かない日が続いた

早く支え無しで 歩けるようになりたくて 歩行練習をしているのだが

キヨがいると すぐベッドへ連れ戻される為 いない時を狙って練習をしていた

フラつきつつも 寝室からリビングへ 歩いてくるガッチマン

今のキヨを好きになってしまう前に …

今のキヨを愛してしまう前に 早く治して出ていかないと……

帰ってくるキヨ

ガッチマンに近付く

ちゅうっ…

ガッチマンにキスをするキヨ

最近、キヨから 抱きしめられたり キスされるようになった

何の為にこんな事をするのか 分からないけど

不思議と落ち着くというか 安心するというか……

カクンッ

足の力が抜け 崩れ落ちそうになるガッチマン

ガッチマンの腕を掴み抱き寄せる

ガッチマンの頬に触れるキヨ

ガッチマンの唇を指でなぞる

ぎゅっ…

キヨに抱きしめられる

キョトンとしているガッチマン

ガシッ！

いきなり両腕を掴むと同時に 大声を出すキヨ

ガッチマンの両腕から手を離す

ひょいっ

ガッチマンを お姫様抱っこするキヨ

ぎゅ…

キヨの首に腕を回し しがみつくガッチマン

ぎゅうぅ……

更にしがみつく

キヨの耳元で涙声を出すガッチマン

一旦 ガッチマンをソファーに座らせ ソファーの前に座り込むキヨ

心配そうにキヨを見つめる

ちゅっ…

キヨにキスをするガッチマン

小首を傾げるガッチマン

なでなで

ガッチマンの頭を撫でる

小首を傾げながら とりあえず言ってみるガッチマン

ちゅうぅ…

ひょいっ

再びガッチマンを お姫様抱っこする

ぎゅ…

キヨにしがみつく

寝室に向かって歩き出すキヨ

手遅れになる前に… 離れられなくなる前に 出て行きたいのに……

ー数日後・早朝ー

あれから 悪魔から受けた術は完全に消え 体も自由に動くようになった

でも、 何故キスしたり 抱きしめたりするのかという疑問や 違和感の正体は 分からないまま…

" 治ったら出て行く " そう言おうとする度に キスされたりして遮られてきた

まるで言わせない為に わざとやってるかのように…

だから、今日 キヨが寝ている間に 出て行くことにした

事前に書いた置き手紙を テーブルに置く

玄関に向かって歩き出すガッチマン

ガチャッ…

キヨが寝室から出て来る

テーブルにある置き手紙を見るキヨ

俯いたまま黙っているガッチマン

顔を上げキヨを見る

口を紡ぐ

ガッチマンの目から涙が零れる

ぐいっ

ガッチマンを抱き寄せるキヨ

切なそうな声で名前を呼ぶ

ちゅっ……

ガッチマンにキスをするキヨ

ちゅうぅ…

ガッチマンの頬に触れる

ちゅうぅ…ちゅくっ…

またキスしようと顔を近付けるキヨ

顔を背ける

ガッチマンから離れる

首を横に振るガッチマン

辛そうに笑うキヨ

キヨに背を向け ガッチマンは キヨの家を後にした

ー数か月後ー ー天界・カマエル邸ー

あれからキヨには 一度も会っていない

あの日、キヨの家を出て 天界へ戻ったおれは すぐにカマエル様に報告しに行った

数週間振りに帰ったのにも関わらず 特にお咎めもなく いつもの任務をこなす日々に 戻っていた

報告を終え部屋を出るガッチマン

ふらつき、壁に寄りかかる

キヨの事を考えたくなくて 天界に戻ってからずっと 休むことなく寝る間も惜しんで ひたすら任務をこなしていた

そのせいか最近 体調を崩し始めていたが…

〈悪魔出現〉

〈直ちに始末せよ〉

その場に座り込むガッチマン

レトルトと牛沢が ガッチマンに近付く

気を失うガッチマン

ガッチマンを抱え レトルトと牛沢は カマエル邸を後にした

ー天界・ガッチマンの部屋ー

目を覚ますガッチマン

ちゅっちゅうぅ♡

レトルトが ソファーに座ってる牛沢にまたがり キスをしている

レトルトのシャツのボタンに 手を伸ばす牛沢

牛沢の手をとめる

ガバッ

ソファーに押し倒す牛沢

ちゅうぅちゅくっ♡

レトルトの言葉を遮るように キスをする

牛沢の首に腕を回すレトルト

ちゅっちゅうぅ♡

ちゅっ♡

ちゅっ♡

ちゅうぅ♡

ガッチマンを見る レトルトと牛沢

体を起こす

ぐいっ

レトルトを後ろから抱きしめる形で 自分の前に座らせる牛沢

気付くレトルト

口籠る

レトルトを見る

頷くレトルト

本当は分かっていたのかもしれない

例え今のキヨに 前世の記憶がなくても

自分が永遠の愛を誓った キヨには違いない事を…

レトルトの口を手で塞ぐ牛沢

牛沢の手を口から退けるレトルト

レトルトを後ろから抱きしめたまま ソファーから立ち上がる牛沢

レトルトの手を引き歩き出す

ガッチマンを残し 牛沢とレトルトは出て行ってしまった

確かにこのまま… キヨに会わないまま 死んでしまったら 絶対後悔する

でも、またおれのせいで キヨを死なせてしまったら…？

『ガッチさん、好きだよ…』

キヨの言葉が脳内で再生される

『ずっと前から愛してる…』

ガッチマンの目から涙が零れる

本当はキヨと一緒にいたい…

例え罰を受けたとしても キヨのそばにずっと……

ガッチマンは光に包まれると キヨのいる人間界へと向かった