忘却プルースト

風通しいのいい部屋

全く見たことの無い場所に

今私は座ってる

殺風景すぎる部屋に

冷たい風が吹く

それと同時にいい香りが着いてくる

前には紅茶の入ったカップが置かれてある

フルーティーの奥に甘さを感じる香り

懐かしさを感じる

ダージリンティーだ

「○○」

「○○」

「忘れ…ないで」

私には日課がある

ルーティンってやつだ

まず3時間目が終わったあと

ランチバックと本を持って

まず

廊下を渡り

階段を駆け足で降りる

そしてそのまま

外靴に履き替え

外に出る

この学校には

校庭の少し奥に入ると

中庭がある

ここが定位置だ

ベンチに腰をかける

もちろん

1人で

この人は

隣の家住んでる内田翔

言わゆる幼なじみだ

昔から仲が良かったこともあり

私は兄のように慕っていた

そして

「好きだった」

過去形になったのはつい先日のこと

ｶﾞﾗｶﾞﾗ

嫌な予感

女の勘だ

言えないよ

そんなの

容姿端麗で

明るい性格

誰からも好かれる

私とは正反対の人

正直

前からずっと思ってたって

偉くは無いし

わざわざ褒め称えることでもない

ずっと好きだったら

両思いになれる保証も

全くない

でも少し

本当に少し期待していた自分がいたのも

事実だ

だから

今は好きでいることだけは

それだけは許して欲しい

そう願っている

これだから

鈍感男は

大嫌いだ

お昼ご飯を食べ終わり

数分したあと

本を読み始めた

川島瑠璃子作

よく読む作家で

いつもとは違う恋愛系のものだ

少し、自分の心境に影響されていたのかも

しれない

最近の作家ではなくて

いちばん新しいので17年前

かなり私の中では昔の人に値する

にしても

可愛い表紙とは裏腹に

内容はドロドロしすぎてる

これはもはや新手のミステリーなのでは

そう思いながらも読み進めていった

物語に入り込んで数分たち

足元に何かがぶつかった

なんでまたこんなとこに

その日の帰り道

気分が良かったのか

少し高いお肉を買って帰った

私の父

糸川滝

俳優をやってるため

世間一般的には有名人の括りだ

私にとっては普通の父さん

とても良くしてもらってる

母はと言うと

私を産んで直ぐに

他界してる

…らしい

本当にすぐの事だったため

私にもちろん記憶は無い

家では本を読まないようにしている

他界した母が

本を読むのを好きだったと聞いてから

会ったことは無いとはいえ

親子だ

本を読んでる姿を見て

母のことを思い出して

切なくなってしまうかもしれない

父にそんな思いはさせたくなかった

急な言葉に驚く

全くないというのには無理がある

少しやっぱり意識してしまう

もう

いない

最近

日記を始めた

三日坊主だろうと思ったけど

意外と続いている

9/3

変な夢を見た、現実と夢の狭間みたいな。 変な夢。

授業中に寝ちゃったから怒られたけど なんであんな夢を見たのか気になる

翔兄への思いは

隠すことにする、誰にも言わないし

邪魔もしない

だから

想うのは勝手にすることに決めた

追記：みやあつむくんという子に会った

次の日

いつものように中庭に行くと

そこには

彼がいた

そうやって

私の心を

簡単に

かき乱す

そんな貴方に出会った

高３の秋

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