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あなたの彼女

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あなたの彼女

7 - あなたの彼女 7

♥

310

2019年09月24日

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リビングに戻って鼻歌を歌いながら食器を片付ける。

こんなことしてたら本当に奥さんみたい。

何度も雅紀の家でご飯は食べてるけどいつも決まってニノも一緒で

料理作るのも片付けるのも3人でやっていたから

だからこんなキモチにはならなかったけど

今は奥さんなキモチで

もう少しだけこのままのキモチでいさせてって思ったけど

ブーブー

机の上で雅紀のスマホが震えて自然と目がいく。

通知で明るくなった画面

見ちゃいけないって思ったけど見えちゃって

風邪、早く治してね

また、お出かけしようね

しおりって書かれた差出人からのLINEだった。

彼女ってこの人なのかな

さっきまで奥さん気取りしていた私の気分はどんどん沈んでいく

いつか私が雅紀のお嫁さんになれたらな

なんて願望ももう叶わないんだな

って突きつけられる現実。

だけど雅紀は風邪の時、彼女じゃなくて私にそばにいてほしいって

それはどうして?

私だったら好きな人に隣にいてほしい

それだけで治る気がするから

どうして私を選んでくれたの?

彼女に風邪をうつしたくなかったから?

それだったら悲しいな

私はうつっても大丈夫ってことでしょ?

わかんないよ

雅紀の行動、感情、全てがわかんない

どうしようもなく胸が締め付けられて

苦しくて苦しくて

咲羅

もしもし…

気づいたらニノに電話していた。

和也

咲羅?どしたのこんな時間に

咲羅

いや…、なんか誰かと話したくなっちゃって

誰かと話してこの苦しさから解放されたかった。

モヤモヤして気持ち悪いから誰かに話を聞いてほしかった。

そんなのニノしかいなくて。

迷惑承知で電話、かけちゃった

和也

ふーん、でも珍しいね、咲羅いつもだったらもう寝てる時間でしょ?

咲羅

うん…、実はね、私いま雅紀の家にいてて

和也

え?!相葉くん家?!

耳がキンとなるくらいの大きな声。

すっごく驚いているらしい。

和也

なに、どうして?

咲羅

雅紀、風邪ひいちゃって

和也

なるほどねー、それでなんかあったとか?

咲羅

…うん

電話越しでもお見通しなニノ

なんであなたそんなに鋭いの?!

和也

咲羅?いま外出れる?

咲羅

え?うん、出れるよ?

和也

じゃあ相葉くん家のマンションについたら連絡するから外おいで、話聞いたげるよ

こんな時間で悪いし、電話できただけで充分だよって断ったけど

和也

溜めてまた泣かれたら困るからね

そう言われたら断れなくて

ありがとう

だけ言って電話を切った。

にのの家から雅紀の家は自転車で10分くらい。

ぼーっとテレビの横の写真を見てたらすぐにスマホが鳴った。

和也 【ついたよ】

って一言だけ送られてきたLINE。

それを確認して、コートとマフラーをしてできるだけ音を立てないようにして家から出た。

咲羅

ごめんね、ほんと

自転車にまたがりながら携帯をいじっていたニノへ近づく。

和也

いーよ、散歩でもしよ

咲羅

ありがと

ニノはキコキコ自転車を押しながらうんうんって私の話を聞いてくれた。

やっぱり人に話すと心が少し軽くなる

少しだけだけど苦しみから解放された気がした

和也

なんか飲む?

自販機でホットコーヒーを買ったニノは私にもって聞いてくれて

咲羅

私はホットレモンで

私はホットレモンを選んだ。

気づいたら前に雅紀に彼女できたって報告された時にたどり着いた公園に来ていた。

やっぱりここに来ると思い出しちゃう

あの時の味わったこともない苦しさが蘇って来る。

そのときニノに話を聞いてもらったときに座ってたベンチに座って。

白い息をはいて何気ない話をして。

少しだけ、雅紀を忘れることができた。

和也

でもさ

咲羅

ん?

和也

なんでそんな苦しいのにまだ好きでいるの?

再び雅紀の話になって胸がきゅうと縮まった。

咲羅

なんでだろね

和也

だってずっとでしょ?

咲羅

うん。もう10年以上の片想い、かな

思わずニノがコーヒーを吹き出しそうになっていた。

そうだよね、普通驚くよね

どこまでしつこいんだって思われるよね

咲羅

ばかだよね、本当に。笑っていいよ

和也

なんで?

咲羅

え?

和也

いーじゃん、一途で。そんなに愛されてる相葉くんがうらやましいけどね

ごくん、とコーヒーを飲むニノは

どこを見ているのかどんな気持ちなのか

ただただ遠くを見つめてそのまま黙り込んでしまった。

そのままゆっくりと時間が流れる。

クシャッて飲み終わったコーヒーの缶を潰す音がすごく大きく聞こえた。

和也

そんなに苦しいならやめちゃえばいいのに

咲羅

え?

和也

相葉くんを、ね?

肘を膝にのっけて前かがみになって

潰した空き缶を見つめるニノ

和也

新しい恋、見つけたらいいじゃん?もっと周りを見てみたら?

新しい恋、か…

見つかるのかな

だけどやっぱりこんなに長い間好きだった人を簡単には忘れられないよ

咲羅

多分無理だよ

和也

なんで?咲羅のすぐ近くに咲羅のこと好きだって人がいるかもしんないじゃん

咲羅

いないよそんな人。私告られたことないし

和也

…いるよ

空き缶から私へ視線を移す。

久しぶりに見るニノの真剣な眼差しに見つめられてなんか私、緊張してる

和也

…俺がいるじゃん

咲羅

え…

うそ…だよね?

咲羅

や、やだ、冗談やめてよ(笑)いつものやつでしょ?

冗談…だよね?

あははって笑うんだよね?

和也

ううん、本当。冗談なんかじゃないよ

聞きたくない

ニノとはこれからもこのままでいたい

だから…

和也

俺、咲羅のこと好き

咲羅

…っ

初めて知った

全く知らなかった

全く気づけなかった

だけどなかったことにしたくて

今まで通りの関係でいたくて

咲羅

…あっ、もう2時前だし帰ろ?

夜中のテンションかなにかだよ

なんて戸惑う自分に言い聞かせてホットレモンの入っていたペットボトルを捨てようとベンチから立ち上がる。

帰ってしまえばわからないよ

ニノだってきっと覚えてないよ

…なのに

咲羅

…にの…、?

ぎゅうって後ろからニノに抱きしめられた。

この作品はいかがでしたか?

310

コメント

7

ユーザー

明日には出します💦 今日じゃなくてすいません💦😓

ユーザー

早く続きが見たいです

ユーザー

今日出せますか?

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