それから2年の月日が流れた
千寿は当初5年の禁固刑を 言い渡されていたが
莉子や音弥の証言、千寿の精神状態 罪に対する自責の気持ちから 情状酌量の余地があると判断され 2年の禁固刑になった
そして2年経過した今日
無事に千寿の出所日を迎える
多良木音弥
音弥は刑務所の前で スマホで時間を確認する
卯木莉子
多良木音弥
卯木莉子
卯木莉子
卯木莉子
訳じゃないから
多良木音弥
2人が千寿との再会を 心待ちにしていると
多良木音弥
音弥が声を張り上げて指を指す
その先には
卯木千寿
刑務官にお辞儀をして 出てくる千寿の姿があった
卯木莉子
莉子は目にうっすらと 涙を浮かべながら 千寿に近づいていく
卯木千寿
卯木千寿
多良木音弥
卯木千寿
良かったのに・・・
卯木莉子
卯木莉子
来るはのは
当たり前でしょ!!
卯木千寿
卯木千寿
卯木千寿
卯木莉子
莉子は千寿に抱きつく
卯木莉子
卯木千寿
卯木千寿
卯木千寿
ごめんなさいね?
多良木音弥
多良木音弥
会えたのが)
多良木音弥
みたいだな・・)
音弥は抱き合う2人に 暖かな眼差しを向ける
すると
ぐぅ〜〜
莉子のお腹が大きく鳴る
卯木莉子
多良木音弥
多良木音弥
卯木莉子
卯木莉子
多良木音弥
多良木音弥
何も食べてなかったよね
多良木音弥
多良木音弥
卯木千寿
多良木音弥
多良木音弥
居ないと意味ないですよ
多良木音弥
出所祝いなんですから
卯木莉子
卯木莉子
卯木莉子
莉子は満面の笑みで 千寿の手を両手で握る
卯木千寿
一同は音弥が運転する車で 近くのレストランに来ていた
多良木音弥
食べてくださいね?
卯木千寿
卯木千寿
千寿は困惑した表情をしている
卯木莉子
多良木音弥
多良木音弥
卯木千寿
訳じゃないんだけどね
卯木莉子
卯木莉子
莉子は千寿に箸を手渡す
卯木千寿
卯木莉子
卯木千寿
千寿は莉子の目の前に並べられている 大量の料理を驚いたように見る
卯木莉子
卯木千寿
卯木千寿
多良木音弥
音弥は何かに気づいたように 声を張り上げる
卯木莉子
卯木莉子
多良木音弥
知らないんだよ
卯木莉子
多良木音弥
卯木莉子
多良木音弥
多良木音弥
外食してたんでしょ?
卯木莉子
卯木莉子
大食いした事無かった
卯木千寿
多良木音弥
大食いなんですよ!
卯木千寿
こんなに食べれる?
卯木千寿
卯木莉子
多良木音弥
セーブしてる方ですよ
卯木千寿
卯木莉子
卯木千寿
千寿は生唾を飲み込む
卯木莉子
卯木莉子
莉子は満面の笑みで手を合わせる
卯木千寿
食べちゃった!!
卯木千寿
多良木音弥
目の前の現実が
信じれませんでしたよ
卯木莉子
くらいだけどね
卯木千寿
卯木千寿
卯木千寿
卯木千寿
あんな量が入るの?
千寿は莉子のお腹を触りながら 物珍しそうに体を見回す
卯木莉子
懐かしい
卯木莉子
音弥くんを思い出す
多良木音弥
多良木音弥
だったからね
卯木千寿
全然知らなかった
卯木千寿
見れてなかったのね
卯木千寿
思い知らされるわ
卯木莉子
多良木音弥
いいと思いますよ
卯木千寿
多良木音弥
多良木音弥
長いんですよ
卯木莉子
卯木莉子
まだ50なんだよ?
卯木莉子
人生100年時代!
って言うじゃん!
卯木莉子
50年あるんだよ?
半分だよ!半分!
卯木千寿
多良木音弥
莉子さんとお義母さんは
多良木音弥
会話が少なかったんじゃ
ないか?って思うんです
卯木千寿
多良木音弥
多良木音弥
実は大食いだったって
初めて知ったんですよね?
卯木千寿
多良木音弥
莉子さんが知らない
多良木音弥
意外な一面だって
きっとある筈です
卯木莉子
多良木音弥
多良木音弥
多良木音弥
いいんですよ
多良木音弥
多良木音弥
間に合います!
卯木千寿
多良木音弥
多良木音弥
手を取り合ってれば
絶対にできますよ!
多良木音弥
サポートしますから!
卯木千寿
卯木千寿
なりっぱなしね
音弥さん・・・
多良木音弥
大切にしてる人は
多良木音弥
大切な人ですから!!
卯木莉子
声が大きいよ///
卯木莉子
恥ずかしいじゃん///
莉子は顔を赤くしてうつむく
多良木音弥
多良木音弥
卯木千寿
卯木千寿
今はどうしてるの?
卯木莉子
卯木千寿
卯木莉子
卯木千寿
卯木千寿
莉子と音弥さんは
卯木莉子
卯木千寿
多良木音弥
同棲ってなると
多良木音弥
必要かなって思いまして
多良木音弥
待ってたんですよ
卯木千寿
卯木千寿
してるとばかり
思ってたわ!
卯木莉子
同棲したりしたら
卯木莉子
ひとりぼっちに──
卯木千寿
卯木千寿
気にしなくていいわよ
卯木莉子
お母さん寂しく無い?
卯木千寿
って言ったら
嘘になるわよ?
卯木千寿
卯木千寿
人生を奪ってた
卯木千寿
同棲するな!なんて
おこがましいでしょ?
卯木莉子
卯木千寿
たまには会いにきてね?
卯木莉子
多良木音弥
って事ですか?
卯木千寿
卯木千寿
多良木音弥
莉子さんを護りますっ!!
多良木音弥
しませんからっ!!!
卯木莉子
大きいってば///
多良木音弥
卯木莉子
卯木千寿
そして音弥、莉子、千寿の3名は レストランを後にし久しぶりの 我が家へとやって来ていた
卯木千寿
卯木莉子
卯木千寿
千寿は玄関に向かって 歩みを進めるが
卯木千寿
千寿は家を見上げて 驚いた様に目を見開く
多良木音弥
卯木千寿
無くなってる
卯木家の窓と言う窓全てに 取り付けられていた鉄格子が 綺麗さっぱり無くなっていた
卯木莉子
取り外したの
卯木千寿
多良木音弥
多良木音弥
と思いました
多良木音弥
卯木千寿
卯木千寿
卯木千寿
いらないって
思ってたから
多良木音弥
卯木千寿
莉子を縛り付ける
訳にはいかないもの
卯木莉子
近隣住民
近隣住民
皆が家に入ろうとすると 近隣住民が話しかけてきた
多良木音弥
多良木音弥
卯木莉子
近隣住民
近隣住民
今日だったわね
卯木千寿
おかけしてしまい
卯木千寿
千寿は近隣住民に 深々と頭を下げる
近隣住民
近隣住民
近隣住民
莉子ちゃんの事を
近隣住民
見てあげてくださいね?
卯木千寿
卯木千寿
生きていくつもりです
近隣住民
安心しました
それから軽く談笑した一同は 千寿の手料理を堪能する
多良木音弥
多良木音弥
この卵焼き!
多良木音弥
千寿お手製の 卵焼きを口にした音弥は 目を見開いて驚く
卯木千寿
多良木音弥
卯木千寿
卯木千寿
わさびふりかけが
入ってるのよ
多良木音弥
卯木莉子
多良木音弥
って発想無かったなぁ
卯木千寿
辛いんだけどね
卯木千寿
マイルドで
美味しいのよ
多良木音弥
多良木音弥
音弥はスマホを取り出して メモ帳に卵焼きを記録する
卯木莉子
料理するからね♬
卯木千寿
多良木音弥
素人に毛が生えたような
レベルですけど・・あはは
卯木莉子
卯木莉子
卯木莉子
卯木千寿
ぜひ食べてみたいわ♬
多良木音弥
多良木音弥
多良木音弥
品定めされるみたいで
プレッシャーだよ
卯木千寿
卯木千寿
卯木千寿
じゃないわよ?
卯木莉子
卯木千寿
卯木莉子
卯木千寿
卯木千寿
何か作ろっか?
卯木莉子
卯木莉子
食べちゃったし
卯木莉子
セーブしよっかな
卯木千寿
卯木千寿
卯木千寿
卯木莉子
卯木莉子
莉子と千寿のそんなやりとりを 音弥は微笑みながら見つめる
卯木莉子
卯木莉子
卯木莉子
多良木音弥
多良木音弥
多良木音弥
こうじゃなきゃ
卯木千寿
卯木莉子
音弥くんのおかげだよ
卯木莉子
多良木音弥
多良木音弥
作っただけ
卯木莉子
多良木音弥
互いが尊重し合って
求め合ってるからだよ
卯木莉子
多良木音弥
笑い合えてるのは
2人の力!
卯木千寿
不思議な人よね
卯木千寿
ここまで出来ないわよ?
多良木音弥
多良木音弥
火の中水の中ですよ
卯木千寿
それ言う人居ないわよ
卯木莉子
多良木音弥
多良木音弥
卯木莉子
卯木千寿
莉子を任せれるわ
卯木千寿
よろしくお願いね?
多良木音弥
夕食後、帰宅しようとしていた音弥は 泊まっていけという千寿の好意に甘え 卯木家で一泊する事になった
多良木音弥
多良木音弥
水入らずの時間なのに
多良木音弥
もらっちゃって
卯木千寿
卯木千寿
多良木音弥
卯木莉子
お母さんと寝るから
多良木音弥
卯木莉子
多良木音弥
その日の深夜
多良木音弥
多良木音弥
音弥は寝ぼけ眼で スマホを手に取り時間を確認する
多良木音弥
多良木音弥
多良木音弥
多良木音弥
したくなってきたな)
多良木音弥
また寝るか)
音弥はベッドからむくっと起き上がり トイレに行くために廊下に出る
しかし音弥が廊下に出ると
ズズッ・・ズズッ
奇妙な音が聞こえてくる
多良木音弥
多良木音弥
聞こえてくる?
多良木音弥
音弥は音の正体を確かめるべく ゆっくりキッカケへ向かう
多良木音弥
卯木莉子
多良木音弥
多良木音弥
莉子はキッチンで縮こまりながら コソコソとカップラーメンを食べていた
多良木音弥
卯木莉子
卯木莉子
多良木音弥
多良木音弥
卯木莉子
卯木莉子
卯木莉子
多良木音弥
多良木音弥
ラーメン食べてる
莉子さん見てたら
多良木音弥
すいてきちゃったな
卯木莉子
一緒に食べる?
卯木莉子
多良木音弥
お願いしようかな
卯木莉子
卯木莉子
多良木音弥
それから2人で談笑しながら カップラーメンを食べていた
多良木音弥
カップラーメンってさ
多良木音弥
卯木莉子
多良木音弥
多良木音弥
卯木莉子
多良木音弥
多良木音弥
卯木莉子
莉子は目を逸らしながらつぶやく
多良木音弥
多良木音弥
ラーメンの容器は
目の錯覚かな?
音弥はジト目で キッチンのカウンターに重なっている カップラーメンの容器を指差す
卯木莉子
莉子は申し訳なさそうにうつむく
多良木音弥
あまり食べすぎると
体に毒だよ?
多良木音弥
莉子さんじゃ
多良木音弥
多良木音弥
卯木莉子
卯木莉子
多良木音弥
卯木莉子
卯木莉子
多良木音弥
多良木音弥
卯木莉子
多良木音弥
吐かなくなったね
卯木莉子
多良木音弥
卯木莉子
卯木莉子
卯木莉子
多良木音弥
多良木音弥
卯木莉子
卯木莉子
救われたの
千寿の出所前
卯木莉子
卯木莉子
多良木音弥
卯木莉子
卯木莉子
食べすぎちゃったよ
多良木音弥
卯木莉子
多良木音弥
音弥はトイレに 向かおうとする 莉子の腕を掴む
卯木莉子
莉子は音弥の手を 振り解こうとする
卯木莉子
卯木莉子
多良木音弥
大丈夫なんだって!
多良木音弥
無いんだよ!
卯木莉子
多良木音弥
音弥は莉子の体を 全身で包み込むように抱きしめる
多良木音弥
卯木莉子
多良木音弥
太ってなんてないし
多良木音弥
仲直り出来たでしょ?
多良木音弥
辞めるなんて
多良木音弥
多良木音弥
サポートするから!
多良木音弥
多良木音弥
卯木莉子
卯木莉子
多良木音弥
多良木音弥
吐いてるわけじゃない
って俺・・知ってるから
多良木音弥
多良木音弥
卯木莉子
卯木莉子
多良木音弥
多良木音弥
音弥は莉子と同じ 食事量を無理やり食べ 今にも吐き出しそうな程に 顔を真っ青にする
卯木莉子
大丈夫じゃないよね?
卯木莉子
多良木音弥
卯木莉子
多良木音弥
俺も食べなきゃ
多良木音弥
辛さは分からない
卯木莉子
多良木音弥
トラウマには遠く及ばない
かもしれないけどさ
多良木音弥
耐えなきゃ
多良木音弥
言えないから
卯木莉子
多良木音弥
多良木音弥
音弥は爆音のゲップをする
卯木莉子
卯木莉子
多良木音弥
もらえるかな?
卯木莉子
多良木音弥
多良木音弥
多良木音弥
卯木莉子
卯木莉子
多良木音弥
多良木音弥
お腹楽になったかも
卯木莉子
卯木莉子
多良木音弥
多良木音弥
卯木莉子
卯木莉子
多良木音弥
卯木莉子
あったからこそだよ
卯木莉子
莉子は音弥に抱きつく
多良木音弥
当たり前だよ!
卯木莉子
多良木音弥
音弥は莉子を優しく抱きしめる
多良木音弥
莉子さんに合わせて
いっぱい食べてたらさ
多良木音弥
食べれる様に
なったんだよね
卯木莉子
私も思った!
卯木莉子
量増えたよね?
多良木音弥
なってから
思ったんだけどさ
多良木音弥
時間が増えるのって
多良木音弥
卯木莉子
多良木音弥
増えたって感じ
卯木莉子
幸せだよね♬
多良木音弥
卯木莉子
多良木音弥
莉子さんとこうして
多良木音弥
してる時の方が
幸せかな
多良木音弥
卯木莉子
卯木莉子
多良木音弥
卯木莉子
多良木音弥
食べてる時の方が
卯木莉子
卯木莉子
卯木莉子
会話してる時の方が
幸せだよ
卯木莉子
卯木莉子
莉子は顔を赤くし 不等号目で 音弥の胸をポカポカと叩く
多良木音弥
音弥は笑みを浮かべながら 莉子を優しく包み込む様に抱きしめる
それから数日後
音弥と莉子の同棲の話が 順調に進みつつあるある日
卯木莉子
卯木千寿
卯木千寿
連絡してきたのよ
卯木莉子
多良木音弥
お父さんって不倫を・・
卯木千寿
卯木千寿
あるらしいの・・
卯木千寿
みようと思うの
多良木音弥
卯木莉子
卯木千寿
卯木千寿
なんとも思ってないし
卯木千寿
あったって思うしね
卯木莉子
これっぽっちも無かったよ
卯木千寿
気持ちをぶつけて
卯木千寿
ないがしろにしてた
多良木音弥
卯木莉子
卯木千寿
卯木莉子
卯木莉子
私は止めない・・・
多良木音弥
卯木千寿
ごめんなさいね
卯木莉子
数日後
都内の某レストランには 元旦那の到着を待っている 千寿の姿があった
そんな千寿の事を 音弥と莉子は離れた席から 見守っていた
卯木莉子
多良木音弥
多良木音弥
卯木莉子
卯木莉子
莉子が千寿に 不安な眼差しを向けていると
卯木莉子
莉子は声を張り上げて指差す
多良木音弥
卯木莉子
口梨樹
口梨樹
卯木千寿
卯木千寿
卯木千寿
口梨ひとみ
樹と共にやってきた女性を 千寿は見た記憶があった
それは離婚前、家族でよく 利用していたレストランで 勤めていた女性
つまり不倫相手だった
卯木千寿
思ってたけど
卯木千寿
口梨樹
頼みたい事があるんだ
卯木千寿
口梨ひとみ
卯木千寿
卯木莉子
多良木音弥
あるみたいだけど
多良木音弥
卯木莉子
口梨ひとみ
された直後に婚約させて
もらったんですけど
口梨ひとみ
恵まれなかったんです
卯木千寿
口梨ひとみ
口梨ひとみ
口梨ひとみ
産まれたんです
卯木千寿
口梨ひとみ
待望の我が子を抱ける事が
口梨ひとみ
幸せを噛み締めて
いたのも束の間
口梨ひとみ
抱えていると
知らされました
卯木千寿
口梨ひとみ
口梨ひとみ
先天性の免疫不全症です
卯木千寿
口梨ひとみ
口梨ひとみ
骨髄移植しか無いと
されている病気です
卯木千寿
卯木千寿
口梨ひとみ
口梨樹
なってもらいたいんだ
卯木千寿
口梨ひとみ
口梨ひとみ
ひとみは涙を流しながら 頭を下げる
口梨樹
口梨樹
話してくれないか?
卯木千寿
口梨樹
受けてもらいたいんだ
卯木千寿
口梨ひとみ
口梨ひとみ
救ってください
卯木千寿
会話の一部始終を聞いていた音弥は 怒りに満ちた表情で拳を握りしめる
多良木音弥
多良木音弥
捨てた挙句
多良木音弥
多良木音弥
自分勝手すぎるだろ!
卯木莉子
多良木音弥
提供者にも危険が
及ぶかもしれないのに
多良木音弥
身勝手すぎるだろ
多良木音弥
音弥は立ち上がり 樹の元へ歩いて行こうとする
卯木莉子
莉子はそんな音弥の腕を掴む
多良木音弥
莉子さん!
多良木音弥
おかしいでしょ?
卯木莉子
卯木莉子
卯木莉子
殴ってやりたいよ
多良木音弥
卯木莉子
卯木莉子
卯木莉子
多良木音弥
卯木莉子
多良木音弥
多良木音弥
莉子の真剣な目に 音弥は自分の気持ちを 抑えて席に座る
卯木千寿
千寿は樹を見下すように鼻で笑う
口梨樹
卯木千寿
卯木千寿
自分から莉子に
話したらいいじゃない?
口梨樹
卯木千寿
卯木千寿
頼めた義理じゃ無い
卯木千寿
話したところで
卯木千寿
目に見えてる
卯木千寿
卯木千寿
やらせよう
卯木千寿
口梨樹
卯木千寿
引に行くくらいの覚悟
卯木千寿
持ってた方が
いいんじゃ無いかしら?
口梨樹
卯木千寿
謝罪じゃない事にも
私は納得がいかないわ
卯木千寿
事への謝罪はなし?
口梨樹
申し訳ないと思ってる
卯木千寿
思ってないのよ
卯木千寿
私ひとりを呼び出して
こんな話をしたのよ
卯木千寿
ってそう思ってるなら
卯木千寿
正々堂々正直に
言うべきじゃない?
口梨樹
卯木千寿
ドナーになったとして
卯木千寿
死んだりしたら
卯木千寿
責任取るつもりなの?
口梨樹
卯木千寿
直接伝えるべきじゃない?
卯木千寿
そんな危ない橋を
渡らせるわけにはいかない
口梨樹
卯木千寿
卯木千寿
申し訳なかったって
卯木千寿
口梨樹
卯木千寿
貴方に押し付けてしまった
卯木千寿
させてしまった
卯木千寿
全て奪ってしまてから
卯木千寿
選択肢しかなかった
卯木千寿
卯木千寿
口梨樹
卯木千寿
馬鹿らしく思えるわ
千寿は黙って立ち上がる
口梨樹
口梨樹
口梨樹
卯木千寿
離婚した時点で
何の関係もないの
口梨樹
卯木千寿
口梨ひとみ
卯木千寿
卯木千寿
卯木千寿
卯木千寿
卯木千寿
くらいの事やっても
良かったんじゃない?
卯木千寿
口梨ひとみ
卯木千寿
直接伝えるわ
卯木千寿
何だって出来るもの
卯木千寿
口梨ひとみ
卯木千寿
卯木千寿
子供を救いたいなんて
口にしないでちょうだい
口梨ひとみ
卯木千寿
卯木千寿
卯木千寿
千寿はそのまま振り返らず 店の外に出ていく
口梨樹
多良木音弥
無かったね
卯木莉子
莉子はうつむいたまま 顔を上げない
多良木音弥
多良木音弥
卯木莉子
卯木莉子
不安だったの
多良木音弥
卯木莉子
お父さんの事が好きで
卯木莉子
さっきのお願い
卯木莉子
ないかって
卯木莉子
多良木音弥
卯木莉子
全然なかった
卯木莉子
卯木莉子
多良木音弥
同じ事言ってるよ
卯木莉子
多良木音弥
卯木莉子
多良木音弥
いけばいいんだよ
多良木音弥
卯木莉子
多良木音弥
取り戻せないって
人は言うかもだけど
多良木音弥
そうとは言えない
って思うよ
卯木莉子
多良木音弥
互いに生きていけば
多良木音弥
取り戻す事だって出来る
多良木音弥
俺はそう思う
卯木莉子
卯木莉子
卯木莉子
知って行きたい
卯木莉子
もっと私を
知ってもらいたい
多良木音弥
卯木莉子
卯木莉子
多良木音弥
戻ろうか
卯木莉子