一覧ページ

冥界の守護者

第10話 - 不安の誘い

338

2025年05月04日

#司類

#冬彰

#寧々えむ

#こは杏

#瑞類

あかまる🍓🐾໊

訓練場

司

(ふぅ…流石に休むか…)

司

(しかし、死神になったことで身体能力が上がった気がするな。動きやすい。)

司

(……王の力、)

司

(オレにはまだ、使いこなせない…王の力があれば、きっと、もっとルイを守れるはずなのに、)

司

(アキヤマ･ミズキに、アキトはやられたんだったな…)

司

(オレはアキトの足元にも及ばんというのに…アキヤマは、それ以上の存在、)

司

(だけど絶対、オレが…オレたちが葬送しないといけない。)

司

(もっと…もっと、強くなる方法は…)

エム

どどどどーーんっ！！

司

どわっ？！エム？！

エム

司くん、ズズーーン！な顔してたよ！

エム

…考え事？

司

…

司

もっと、強くなる方法を考えていた。

司

一朝一夕に手に入るものなんて無い…分かってはいるが、望んでしまう。

司

楽をしたいわけじゃない。ただ、焦ってしまうんだ。

司

いつ、アキヤマが…悪霊が来るかなんて、分からないから。

エム

そっかぁ…

エム

私、司くんは強いと思うよ。

司

…嬉しい励ましだが、

エム

あのね、ネネちゃんがよく言ってるの。

エム

戦場で1番強いのは、諦めない人だって。

エム

…ネネちゃんは、自分のことを「逃げてばかりの意気地無し」とか言うけど、

エム

私はね、司くんもネネちゃんも、みんな強いと思う。

エム

だから、そんなに焦らなくてもいいんじゃないかな。

司

エム…

司

(焦っていてもいい事がない…それは分かっている、)

司

(分かっているが…)

司

(強くなりたい…)

人間界

司

あ、ルイ！柱だぞ！

ルイ

本当だ。葬送するね。

司

あぁ！

司

(この柱も…悪霊はいない、か。)

司

(にしてもこの柱…前回見た光は、何だったんだ？)

司

(この柱には無い…よな…)

「ねぇ」

司

？！

「強くなりたい？」

司

(だ、誰だ？！？周りには誰も……)

「ここだよ」

司

(……柱かっ？！？！)

司

(は、柱って喋るのか？！いや、魂の集合体だし、喋ってもおかしくはない…のか…？)

「強くなりたいでしょ？」

司

(急に何を…)

「教えてあげる。早く強くなる方法。」

司

？！

司

(聞く耳を持つな！きっと、悪霊が仕掛けた罠だ！)

「食べて」

司

…は？

「私たちを食べれば、もっとずっと、強くなれるよ」

「ルイのことも守れるよ」

司

(食べるって…この、柱の魂をって事か？)

司

(だが、それは…)

「ここで勇気を出さなきゃ、いつまでも弱いまま」

「きっとアキヤマにも負けて、またルイを傷付ける」

司

！

「弱い君から勇気を取ったら、何も残らない」

「食べて。強くなろう？」

司

(強く…)

無意識の内に、柱に手を伸ばしていた

バラバラバラバラ…

魂が葬送され、柱は崩れて消えていった。

ルイ

…よし、葬送終わり。

ルイ

帰ろうか、司くん。

司

…あぁ。

ルイ

そういえば、あの柱の事なんだけど。

司

！

司

な、なんだ？

ルイ

あの柱ね、喋るんだって。

司

？！？

ルイ

実際、シライシくんが話しかけられたそうなんだ。

司

ど…どんな風に？

ルイ

詳しくは教えてくれなかったんだけど…こちらを不安にさせるような事を言ってきたそうだ。

ルイ

それをカイトさんに言ったら教えてくれたんだけど、あの柱は対峙した人の不安を映して増幅させるんだって。

ルイ

あの柱の言葉には何の意思もない。ただ、自分の中の不安を増幅させてるだけらしいよ。

司

そう……なのか…

ルイ

本当に、タチの悪いもの作るよねぇ

司

…

司

る…ルイ、

ルイ

なんだい？

司

魂を食べたら…強く、なれるのか？

ルイ

……は？

ルイ

き、急に何を……どうしたんだい？

司

いや、その……本当なのかと、思って…

ルイ

なんで……

ルイ

誰かに何か…言われたのかい？

司

…その、柱に、

司

「強くなりたいなら、私たちを食べて」と…言われた。

ルイ

！

ルイ

…それを聞いて君は、どうしたんだい？

司

オレは…無意識に柱に手を伸ばして、

司

でも、その時ルイが目に入って…我に返って、何もしなかった。

ルイ

…そうかい。

ルイ

分かると思うけど、魂を食べたら悪霊になる。そして、もう二度と死神に戻ることは出来ない。

ルイ

1度堕ちてしまったら、もう堕ちるしか許されないんだよ。

司

…そうだよな、

ルイ

僕は…君に、そうなって欲しくない、

司

あぁ……分かってるつもりだ。

司

だからきっと、あの時ルイを見て我に返れた。

ルイ

…そう、

司

でも、強くなりたいんだ。もっと、早く。

ルイ

…

ルイ

君は強い。

司

……そんな励ましは、

ルイ

いいや。君はミズキよりも強いよ。

司

？！

司

な、何を根拠に…！

ルイ

君は魂を食べなかった。悪霊に堕ちなかった。

ルイ

だから、君はミズキより強いよ。

司

……そうか。

司

ルイがそう言うのなら、そうなんだな。

司

(この先、何があっても…オレは絶対、ルイを裏切ることだけはしたくない。)

司

(その対価が何であれ、それだけは…絶対。)

訓練場

ビュンッビュンッ

アン

(998、999…1000、)

アン

(この後は筋トレして、その後また素振りを…)

コハネ

あ、アンちゃん！

アン

コハネ！可愛い私のバディ〜〜！！♡

アン

どうしたの？

コハネ

そろそろ休憩しない？私、紅茶持ってきたんだ！

アン

えっ、本当？飲む飲む〜！ありがと！

アン

美味し〜〜！！♡♡コハネ、紅茶淹れるの上手くなったね！

コハネ

ふふっ、実はね、アオヤギくんに教えてもらったんだ。

アン

え？！き、聞いてないけど？！

コハネ

アンちゃんをビックリさせたくて、内緒で教えてもらってたの。

アン

こ、コハネぇ…！！♡♡

アン

ありがと！その気持ちすっごく嬉しい！

コハネ

えへへ

アン

でも、トウヤに教えてもらってたのはモヤモヤする……

アン

う〜〜…次からは私が教えるからね！！

コハネ

ふふ、うん！

コハネ

今日はもうお仕事も無いし、飲んだらお部屋に戻らない？

アン

あ〜…もうちょっとだけ、訓練しようかなって。

コハネ

でも…そう言って、ずっと特訓してるよ。

コハネ

…柱に言われたことのせい？

アン

……

コハネ

あの柱に、何て言われたの…？

コハネ

私には…言えない？

アン

…ごめん、コハネ。

アン

ちょっとカッコ悪いからさ…言いたく無いんだよね。

アン

コハネの前では、カッコ悪いとこ見せたく無いんだ。

コハネ

……そっか。

アン

ごめんね。

コハネ

ううん、謝らないで。バディだからって、何でも話す必要無いんでしょ？

コハネ

それに、アンちゃんの気持ちは…痛いほど分かるから。

コハネ

訓練も程々にね。

アン

うん、ありがと。

少し前

人間界

アン

(今回は柱に悪霊はいない…)

アン

(けど、警戒はしておかないと。いつ襲われるか分かんないし。)

アン

(この柱が壊せれば、残りはあと10本…かな？)

アン

(多いな〜…けど、1本でも欠けてたら扉は開けないし、大丈夫か。)

「ねぇねぇ」

アン

？！

アン

(誰っ？どこから？悪霊？！)

「ここだよ」

アン

(柱っ？！？！って、喋るの？！)

「みんな嘘つき」

アン

！

「どうせみんな、最後は裏切るよ。」

「信じるだけ無駄。辛いだけ。」

アン

(な、何？急に…)

「コハネだって、私に何か隠してる」

アン

！！

「信じていいの？コハネは私に何か隠してるのに。」

「きっとまた裏切られるんだよ」

アン

違うっ！！

アン

コハネは…コハネが隠してることは、きっと…私を裏切るような事じゃないよ、

アン

誰にだって、知られたくないことくらいある…だから、コハネもっ

「それでみんなに裏切られたのに？」

「可哀想、可哀想」

「またどうせ裏切られるんだ」

大きく剣を振り上げて、柱目掛けて振り下ろした。

ザシュッ

アン

コハネは…絶対、そんな事しないもん…

斬られた魂たちが、涙を流したような気がした。

人間界

ネネ

あっ…エム！柱！

エム

わわっ！本当だ！

エム

葬送するね！

ネネ

うん、よろしく。

ネネ

(悪霊はいない…か。ラッキーだな。)

「ねぇ」

ネネ

！

「こっちこっち」

ネネ

(魂の柱から、声が…)

「呑気だね」

「自分が守護者の中で1番弱いって、自覚あるの？」

ネネ

！！

「いつもそう。努力するフリして、逃げてばっかりの臆病者。」

ネネ

(な…)

「逃げるが勝ち？そんなの言い訳に過ぎない。」

「逃げてばっかりのアンタなんかに、エムを守れると思う？」

ネネ

(これは戯言…気にする必要はない。)

「1番弱いって、認めたくないから背けるの？」

ネネ

……

ネネ

分かってる…

「女だからって、見下されるのは腹が立つよね。」

「弱い自分に腹が立つよね。」

「死神なんかもう、辞めちゃおうよ。」

「死んでからもこんな思いしなきゃいけないなんて、理不尽じゃない。」

ネネ

…そうかもね、

ネネ

でも、気に入ってるんだ。死神も…弱い自分のことも。

ネネ

今はもう、違うから。

「嘘つき、嘘つき」

ネネ

嘘でも、暗示って意外と大切なんだよ。

会議室

カイト

なるほど。司くんもネネちゃんも、柱に話しかけられたんだね。

司

はい。

カイト

少し前に、アンちゃんが話しかけられたらしいんだよ。

カイト

説明しておくと、あの柱の言葉に意思はないよ。

カイト

あれは自分の中の不安を映して、増幅させるんだ。

ネネ

不安を増幅…

カイト

だから、気にする必要は全く無いよ。

カイト

アキトくんはどうだった？話しかけられたかい？

アキト

いいえ。声すら聞こえませんでした。

カイト

そうか。ならいいんだ。

カイト

他になにか報告はあるかい？無ければ会議を終えるよ。

司

ネネも話しかけられたんだな。

ネネ

うん。

ネネ

でも…シノノメくんは話しかけられなかったんだね。

アキト

まぁな。喋ることすら知らなかった。

司

増幅させるような不安が無い…という事だろうか？

アキト

さぁ。分かんねぇが…

アキト

もう死んでから900年以上経ってるしな。今更、そんな不安に思うこともねぇわ。

司

おぉ…流石年長者だな。

コハネ

あ…ねぇ、みんな。アンちゃん見てない？

ネネ

シライシさん？見てないけど…

コハネ

会議の後、すぐどこか行っちゃって…

アキト

訓練場とかじゃねぇの？

コハネ

そうかも…ありがとう。

司

…アキトのこともあったし、バディの姿が見えなくなると不安になるよな。

ネネ

分かる。

アキト

まぁ…けど、流石にずっとくっつかれるのは困るな。

アキト

トウヤ、そろそろ離せ。

トウヤ

嫌だ。

司

ルイはもう少し寄ってくれていいんだぞ。

ルイ

いや、みんなでお話してたから、邪魔かと思って…

司

お前もトウヤとエムくらい積極的でいいんだぞ！

エム

そうだよ、ルイくん！大好きな人にはギューってしないと！

ネネ

うっ、エム、ちょっと強い…

エム

わわっ！ごめんね！

ルイ

すまないね。僕、そういうスキンシップは慣れなくて。

司

仕方ないな。ならオレからしてやろう。

ルイ

えっ

司

お前は相変わらず体温が低いな。

ルイ

死んでるからねぇ…

ルイ

何故か君は子供体温だけれど。

司

元々体温は高い方だったからな！

ルイ

…ふふ、君の近くにいると眠くなってくる気がするよ。

司

む、部屋に戻るか？寝かし付けてやってもいいぞ。

ルイ

さ、流石にそれは遠慮しようかな…

冥界の守護者

作品ページ

次の話を読む

この作品はいかがでしたか？

338

5件

柱が…喋った……。不安を誘う、怖すぎるでも、守護者には聞こえて詠唱者には聞こえないって事は…守護者を狙ってるのかな…？司くんは、強いよ……めちゃくちゃ、アキトにも聞こえないって事は、何か関係があるのかな？続き待ってます！！

いつまでも悪霊はタチが悪いにゃん。みんなには頑張って欲しいにゃん！続き楽しみにしてますにゃん！(ごめんなさいにゃん。テラルレのやつで二日間語尾ににゃんをつけて喋りますにゃん)

あかまる🍓🐾໊

プロフィール

電車の中でも寝る前のベッドの中でもサクサク快適に。
もっと読みたい！がどんどんみつかる。
「読んで」「書いて」毎日が楽しくなる小説アプリをダウンロードしよう。

冥界の守護者

第10話 - 不安の誘い

作者の他の作品すべて見る

#司類の新着小説
一覧

関連するタグ

冥界の守護者

第10話 - 不安の誘い

作者の他の作品すべて見る

#司類の新着小説一覧

関連するタグ

#司類の新着小説
一覧