TellerNovel

テラーノベル

アプリでサクサク楽しめる

テラーノベル(Teller Novel)

タイトル、作家名、タグで検索

ストーリーを書く

傷跡ー二人の絆ー(休載中)

一覧ページ

「傷跡ー二人の絆ー(休載中)」のメインビジュアル

傷跡ー二人の絆ー(休載中)

30 - 傷跡ー二人の絆ー30

♥

21

2019年05月09日

シェアするシェアする
報告する

松崎文

遅かったのね……

松崎陸

…………

陸が家に戻ると

偶然、玄関にいた母親と鉢合わせになった

返す言葉もなく

靴を脱いで階段をかけ上がる陸

松崎文

ただいまくらい言ったらどうなの!?

そんな母親の言葉を無視するように

部屋のドアを閉めた

鞄の中からコンビニで買ったハサミを取り出すと

机の上のペン立てに挿した

陸にとってこれはごく普通のこと

ただ髪を切り揃えただけだったが

浜松イル

ありがとう……

イルの言葉が嬉しかった

陸の頭の中はイルのことでいっぱいになっていた

松崎陸

浜松……一人で大丈夫かな?

ベッドに寝転んでリストバンドを外すと

イルのつけた傷が瘡蓋になっていた

以前は直ぐ瘡蓋を剥がすなどしていたが

イルと出会った今はもう

傷口を触ることも

新たに傷をつけることもしなくなっていた

松崎空

ただいま

松崎文

おかえりなさい

下の階から微かに空の声が聞こえる

機嫌の良さそうな声に

陸は何となく嫌な予感がしていた

その予感は見事に的中し

空は問答無用で陸の部屋のドアを開ける

松崎陸

…………

陸は言葉を返すこともなく

ゆっくりと体勢を起こす

松崎空

母さんが愚痴ってたぞ?

松崎陸

…………

松崎空

母さんにただいまも言わないで

松崎陸

…………

松崎空

お前は自己主張が低レベルだな

松崎空

でも、文句言われても仕方ないよな

松崎空

母さんの望む進路へ進めなかったんだ

陸は陸なりに努力してきた

母親に認められたい一心で受験に挑み

その結果として

母親の望む高校へは進めなかった

しかし

今通っている高校もそれなりに名門と言われている

偏差値もそこそこある学校だった

ご近所さん

兄弟揃って優秀よね~

ご近所さんから誉められたこともあるが

松崎文

いえ、優秀なのは空だけですから

母親はそれが我慢ならず

ご近所さん

なに言ってるのよ~

ご近所さん

海君も陸君もいいとこ行ってんじゃない

そんなご近所さんの言葉に

松崎文

いいところなんかじゃありません!!

ご近所さん

え……松崎さん?

松崎文

他よりちょっと偏差値が高いだけですから

ご近所さん

で、でも……

松崎文

私は認めていないんです!あんな高校

松崎文

我が家で優秀なのは空だけです

松崎文

私の望む高校に行ってくれたのは空だけなんですから!

母親は過剰に反応していた

ご近所さんとはそれ以降

高校の話をしなくなった

松崎陸

俺は幸せだよ……

松崎空

は?幸せ?

松崎空

母さんにまともに相手にもされていないのに?w

松崎空

お前の人生のどこが幸せなんだよw

松崎陸

俺はお前みたいに他人を見下すような人間にはならなかった

松崎陸

成績がいいだけのクズな人間にはならなかった

松崎空

僕がクズ?

松崎空

笑わせるな!

松崎空

この世界は学歴が全てだ

松崎空

頭使えないやつはまともに生きていけないんだよ!

陸の言葉は

空の心には届かなかった

傷跡ー二人の絆ー(休載中)

作品ページ作品ページ
次の話を読む

この作品はいかがでしたか?

21

コメント

0

👏 最初のコメントを書いて作者に喜んでもらおう!

チャット小説はテラーノベルアプリをインストール
テラーノベルのスクリーンショット
テラーノベル

電車の中でも寝る前のベッドの中でもサクサク快適に。
もっと読みたい!がどんどんみつかる。
「読んで」「書いて」毎日が楽しくなる小説アプリをダウンロードしよう。

Apple StoreGoogle Play Store
本棚

ホーム

本棚

検索

ストーリーを書く
本棚

通知

本棚

本棚