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翌日
目覚ましの音より先にイルの携帯が鳴り響く
イルは夢を見ていた
暗い闇の中で迷い必死に出口を探そうとする
そんなイルに手をさしのべ
光の指す方へと導く陸の姿
あともう少しで出口にたどり着ける
そこで目が覚めてしまった
携帯には新着メール1件の文字が
三島圭子
圭子からだった
浜松イル
浜松イル
圭子がどんな反応をするか?
そればかりを気にしていた
もしいじめを疑われたら
中学の頃みたいにまた教師に報告されたら
結局いじめはなくならない
浜松イル
頭の中で何度も陸の言葉を唱えた
浜松イル
浜松イル
何度も自分に言い聞かせて
イルは玄関の扉を開ける
眩しい太陽の光に
思わずくしゃみが出る
浜松イル
この日もいつもより早く家を出た
圭子と鉢合わせにならないように
圭子のことは嫌いではないけれど
今は会いたくなかった
短くなった髪に対して
あれこれ質問されることがわかっていたから
しかし
駅前には圭子の姿が……
浜松イル
だが、髪型の変わったイルの姿に圭子はまだ気づいていない様子
イルは気づかれないように脇の道へと逃げて
圭子がメールを打っている隙に改札の中に入ることに成功
直後に携帯が震えたが
そのまま来た電車に飛び乗った
三島圭子
浜松イル
心の中でそう思いつつも
怪しまれないように返事を送る
浜松イル
三島圭子
浜松イル
三島圭子
イルは返信するのをやめた
やめたところで変わらない
きっと学校で詰問される
それでもイルは
わずかな時間でも圭子のことを考えたくなかった
浜松イル
心の中でそう思った瞬間
携帯が震えた
松崎陸
浜松イル
携帯を握りしめて深呼吸をすると
電車から降りて歩き出す
その足取りはいつもよりも軽く
家を出た時よりも明らかに表情が明るくなっていた