柚葉
見知らぬ人
私が声を掛けた男性は、
何処か気まずそうに去っていった。
柚葉
柚葉
柚葉
柚葉
誰に言うわけでもなく、ただ一人淡々と呟く。
どうしようもなくなって一人で立っていると、
毒々しい視線を感じた。
こっちを見ないでほしいと思いながら
慎重にそちらへと視線を移す。
そこにはクラスの陽キャが固まってこちらを見ていた。
蔑む様な、見下ろすような視線でだ。
貴方たちはいいよね。
そうやって友人がいて、
適度に人を見下せて。
貴方たちのようになりたいとは思えない。
でも、いつになったら私は、
誰かと一緒に生きれるのかな。
なんで私だけ、独りぼっちなの?
ねぇ誰か、教えてよ。
柚葉
柚葉
柚葉
柚葉
解けかけていたバッグの紐を結ぶと私は動き出した。
今日は、今日もひとりだけど、
いつかはきっと誰かと暮らせるよね
人をできるだけ避けながら、そうやって考える。
直ぐに考えてしまうところが私の悪い癖だ。
早く修正しないと嫌われるかな...?
博樹
博樹
博樹
柚葉
柚葉
あ。終わった。
ただ声を掛けただけなのにこんなに驚かれたら、
確実に引くに決まってる。
本当に考える癖を修正しなきゃ...
博樹
博樹
博樹
柚葉
引かれたって思っていたせいで、衝撃がすごい。
一緒に、ご飯を食べる...?
陽キャのグループに属していて、
まぁまぁイケメンで有名な博樹さんと?
博樹
柚葉
声を掛けてもらえたって事実が嬉しくて、
馬鹿な私は簡単に了承してしまった。
そのせいで、これも陽キャの罠かと心配しながら
食堂に向かう羽目になった。
まぁでも、後悔はしていない。
だって、断ることなんてできなくない?
博樹
博樹
博樹
柚葉
私の心配なんて杞憂だったみたいで、
博樹さんはとても楽しく話してくれる。
やっぱり演劇サークルのエースと言うだけある。
感情の込め方とか、
抑揚の扱いがプロだ。
それゆえに、日常のどうでもいい会話が面白く聞こえてしまう。
まぁ実際面白いけど。
博樹
博樹
柚葉
柚葉
博樹
博樹
そう言うと博樹さんはスマホを取り出した。
それってもしかして...!?
博樹
えっ!やっぱり!いいんですか!?
柚葉
博樹
博樹
柚葉
博樹
柚葉
博樹
柚葉
柚葉
博樹
博樹
博樹
柚葉
ほんとはもっと一緒にいたいけど、
私には引き留める権利がない。
人気者の博樹さんのことだ。
きっと沢山の人と連絡先を交換してるんでしょうね。
でもさっき、寂しかったら連絡していいって。
なんだか彼氏みたい。
そう思うとなんだか胸が痛くなる。
私が彼のことを好きでも、
きっと彼にはもっと多くの友人がいる。
今だってその代わりに私が選ばれただけ。
そう思うとなんだか妬けてくる。
馬鹿なことだと分かっている。
連絡先を交換できた喜びで興奮しているだけだとも分かっている。
でも、彼のことを、
私だけの彼にできたら。
彼氏にできたならどれ程に幸せだろう。
ばかだ。
そんなこと叶うわけないのに...
胸の中に溜まったどす黒い感情を、
ただひたすらに隠す。
想像した未来は幸せで、
でも、それは脆弱な幻想で。
現実と理想の区別がつかない私は、
思い悩むことしかできない。
かどっこ
かどっこ
かどっこ
かどっこ
かどっこ
柚葉
かどっこ
かどっこ
かどっこ
かどっこ
かどっこ
かどっこ
かどっこ
かどっこ
かどっこ
コメント
2件
うぉうぉうぉうぉう。好きだなー。こーゆー感じのうぉうぉうぉうぉう