……ひっ
ああ、やっぱり怖い。
家の中の鏡、学校のトイレにある鏡、エレベーターの中にある鏡、それ以外のガラスだって。
紛れもない自分が写っているのに、何だか別人のような気がして落ち着かない。
いつ、鏡の中の自分が私と違う動きをしだすのか。
もうそんなちいさな子供でもないんだから、早く克服しないといけないのに。幼少期から恐れていたものは、今でも恐ろしいままだ。
(大丈夫。だって、鏡の中の私と目を合わせていない。鏡はたしかに視界の端に写っているけど、それは不可抗力だから見ていないと判断されるはず)
(でもやっぱり。気になる)
私は好奇心に勝てない人間だった。
(すぐ見て、すぐ目を逸らす)
(何も変わりないことを確認したら、それはもう何者でもないんだから)
家には私しかいない。そのせいで私の物音だけが低く響いている。 ああ……なんでこんな日に限ってお父さんとお母さん両方仕事なの!?
まだ親離れができていないとかじゃなく、私より何倍も広い家の中に独り取り残されるとなると、不安になるものだ。その不安が、より怖さを倍増させる。
(何も無かったら、今までのは全部気の所為ってことでしょ?)
意を決して見ることにした。いや、本当は怖くて見たくないけど。
(どうせ、何も無い。鏡に写った私がいるだけ)
そう強気な感情を表に押し出しても弱気な感情が裏に残るだけだった。 抗うことなど許されないように、私の首はゆっくりと鏡を見ようとしていた。
(ほらね?どうせ、何も無いんだ)
そう思って進むと、鏡は私の全身を写した。
最後に確認でも取るかのように、私は鏡の中の私の顔を見た。
鏡の中の私は、それを待っていたかのようにニタニタと笑っ






