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金曜日の放課後
夢と駅前の本屋に寄った帰り道、2人で並んで歩いていた時だった
風林 燐音(かざばやし りんね)
向こうから、1人の男の子が歩いてきた
制服も違う。隣町の私立高のものだ
でも...見覚えがある
すれ違う時、その子がふとこっちに目を向けて、驚いたように立ち止まった
溝口 蓮翔(みぞぐち れんと)
風林 燐音(かざばやし りんね)
その声、その名前の呼び方
風林 燐音(かざばやし りんね)
蓮翔は少しだけ笑って、目を細めた
溝口 蓮翔(みぞぐち れんと)
溝口 蓮翔(みぞぐち れんと)
風林 燐音(かざばやし りんね)
口にした瞬間、いろんな景色が一気に溢れ出した
公園のブランコ、夏祭りの浴衣、はしゃぐ声
そして、最後に貰った__あのオルゴール
風林 燐音(かざばやし りんね)
溝口 蓮翔(みぞぐち れんと)
溝口 蓮翔(みぞぐち れんと)
偶然って本当にあるんだ
ずっと忘れかけていた声が、目の前で再び動き出していた
【夢 目線】
鈴木 夢(すずき ゆめ)
私はあえて黙っていた
燐音の目が、今まで見た事ない揺れ方をしてたから
懐かしさ、驚き、嬉しさ__そして、ほんの少しの戸惑い
琉依の名前は、今この空気に出しちゃいけないって、自然に分かった
鈴木 夢(すずき ゆめ)
何も聞かなくても分かってしまった
だって、燐音の目が...過去にだけ向いてる目じゃなかったから
駅前の信号が青に変わる音がして、蓮翔は
溝口 蓮翔(みぞぐち れんと)
と言って、手を振ってくれた
風林 燐音(かざばやし りんね)
私も、笑って手を振り返した
風林 燐音(かざばやし りんね)
でもその後どうしてだろう
胸の奥が、ほんの少し苦しくなった
風林 燐音(かざばやし りんね)
風林 燐音(かざばやし りんね)
鈴木 夢(すずき ゆめ)
鈴木 夢(すずき ゆめ)
鈴木 夢(すずき ゆめ)
鈴木 夢(すずき ゆめ)
風林 燐音(かざばやし りんね)
鈴木 夢(すずき ゆめ)
風林 燐音(かざばやし りんね)
思い出してしまった
町田くんが言ってくれた、あの言葉
『気づいたら目で追ってた』
風林 燐音(かざばやし りんね)
蓮翔と再会しても、心が浮かなかったのは......
今、私は誰か”別の誰か”の言葉を待っているからだ
土曜日の午後、駅前のカフェで、夢と一緒に課題を片付けていた時
スマホが震えた
風林 燐音(かざばやし りんね)
実はあの時、蓮翔と連絡先を交換したんだ
溝口 蓮翔(みぞぐち れんと)
溝口 蓮翔(みぞぐち れんと)
溝口 蓮翔(みぞぐち れんと)
すぐに『いいよ』と返事をして、待ち合わせ場所へ向かった
静かな公園のベンチ
蓮翔は笑って言った
溝口 蓮翔(みぞぐち れんと)
風林 燐音(かざばやし りんね)
溝口 蓮翔(みぞぐち れんと)
溝口 蓮翔(みぞぐち れんと)
私は何も言えなかった
溝口 蓮翔(みぞぐち れんと)
風林 燐音(かざばやし りんね)
溝口 蓮翔(みぞぐち れんと)
溝口 蓮翔(みぞぐち れんと)
蓮翔の声は真っ直ぐで優しくて、あの頃と少しも変わってなかった
風林 燐音(かざばやし りんね)
でも、私は......もう違う
風林 燐音(かざばやし りんね)
なんて言えばいいか分からない
「ありがとう」でもないし「嬉しい」とも少し違う
ただ、心の奥にあったオルゴールの音が、静かに消えていくような感覚だけが残った
【琉依 視点】
駅の近くのバス通りを通った時、ふいに見かけた
町田 琉依(まちだ るい)
公園のベンチで話す、風林と_知らない男
近い距離で、少し俯いて笑っている風林の顔
町田 琉依(まちだ るい)
胸の奥がきゅっと締めつけられた
勝手な話だ
風林は誰と会っても、何を話しても自由なのに
でも、そうじゃない
町田 琉依(まちだ るい)
今までの全部が、一気に”足りなくなる”ような
焦りみたいな感情が、喉の奥に詰まってくる
町田 琉依(まちだ るい)
その夜、私はオルゴールを見つめていた
でも、もう確信していた
この音が鳴らなくてもいい。この気持ちは、思い出にしよう
風林 燐音(かざばやし りんね)
そして私は、そっとしまった
蓋を閉めたその手に
今、もう1つの想いがあった形で残っている
風林 燐音(かざばやし りんね)
私は、その名前だけを心の中で繰り返していた
コメント
2件
なんかアレですよね、夢ちゃん恋のキューピット的な存在((?