コメント
0件
👏 最初のコメントを書いて作者に喜んでもらおう!
桃 side
ラン
イルマ
私が泣いている間、いるまは優しく抱きしめてくれていた
何だろうな…
不器用だけど、何処かすごく優しくて
ラン
縋ったら優しく受け止めてくれるすちとも、何処か違う優しさ
とにかくその優しさが
心地よかった
イルマ
静まり返った部屋
いるまが私の首元に触れながら、そう尋ねる
ラン
しっかりとした男の人の手
沢山の人を救ってきたであろうその手が
少しだけくすぐったい
イルマ
ラン
無意識にそう答えていた
確かにこのネックレスはお気に入りで
普段から身につけるようにしていた
ただ、普段からくれた張本人は隣にいるわけで
何だか気恥ずかしいから、ずっと目立たないように首元まで隠れるドレスを選んでいたというのに
ラン
それもそうだ
この距離感になっては、隠し通す方が難しい
イルマ
ラン
可愛げのない返事が出たけど、本当に大事にしてはいる
本当に嬉しかったから、あの日のことは
ラン
失いたくない
私の大切な人たち
その1人の、いるま
イルマ
その彼が、私をもう一度強く抱きしめる
ラン
どうしたんだろ
少しだけ顔を覗いてみるけど
いつもと変わっているようには見えなかった
ラン
だから私は、その暖かさにまた頭を預ける
気がつけば、先程までの怖くてたまらない気持ちはすっかり和らいでいた
それは、まるで共鳴するように
心の底から何かを感じて見上げた奏桜
ラン
息が詰まった
呼吸が苦しくなった
ヒビが入ったドームを見た瞬間
ラン
これほどにないまでの衝撃を受けてそのまま座り込んでしまった
まるで自分にもヒビが入ったような
そんな抱えきれないほどの恐怖
歴代の花嫁も、こんな感覚を味わってきたのだろうか
ラン
きっとこの先戦争は免れられない
ラン
心から願った
だって、
ラン
あんなに苦しかった気持ちを和らげてしまった
これが私の感情だけではなくて
桜の花嫁だからこそ感じる
奏桜との共鳴だとするのならば
ラン
イルマ
ラン
一言一言、私の欲しい言葉をくれた
ラン
ラン
イルマ
ラン
ラン
国の大きな祭事が行われるまで、あと少し
奏桜のドーム決壊までも、あと少し
どうか、時を刻むその中で
変わっていくささやかな幸せたちが
長く続きますように