いつもよりも緊張しながら帰る。 なんて話を切り出せばいいんだろ…… 「私と何処かで会ったことありますか?」 「なんで、私の名前を知ってるみたいな反応したんですか?」 考えすぎて何が正解か分からなくなってきた。 今日は、亮平さんの家に行く日。 昼間に、LINEを開くと、 「今日、俺ん家ね。」と一言だけ送られていた。
桜井凪沙
そんなことを考えながら、マンションに着き、亮平さんの家に行くと…… やっぱりまだ帰ってきてなかった。
合鍵持ってるけど、普通にスーパーに買い物に行きたいから、家に帰って服を着替えてまた家を出る。
桜井凪沙
エレベーターで、1回に行き外に出ようとした時だった。
桜井凪沙
マンションの前に、タクシーが停まり、 中から、亮平さんと、1人の女性が降りてきた。
桜井凪沙
亮平さんにバレないようにそっと、マンションの中から様子を見ていた。 楽しそうに話しているようには見えない。 なんか、真剣な話っぽいな……
ただ、女の人は、感情的に話しているように見える。 すると、その女性はタクシーに戻り、 亮平さんが、こっちに歩いてきそうな雰囲気。
桜井凪沙
慌てて、エレベーターに乗り、自分の家に帰った。
家に着き、ドアをすぐに閉めて……
桜井凪沙
とため息。 すると…LINEから通知が
阿部亮平
阿部亮平
と亮平さんから。
桜井凪沙
また複雑な気持ちに襲われる。
桜井凪沙
女性と一緒にいた、亮平さんを見ると不安になる。 椅子に一旦座って、すぅーっと深呼吸。
桜井凪沙
無かったことにしてしまえばいい。 また辛くなるかもしれないけど…… 亮平さんと過ごせる時間を増やしたい。 よし、これでいいんだ。 そう心に決めて、亮平さんの家に行く。
今日は、インターホンを鳴らした。 すると「はーい、どうぞ。」と言って出てきてくれる亮平さん。
部屋の中に入ると……
阿部亮平
桜井凪沙
ソファーに誘導される。 亮平さんはキッチンから戻ってきた。
阿部亮平
桜井凪沙
コーヒーもココアも懐かしい。 こうやって、たわいもない話ができていれば、私はそれでいい。
阿部亮平
桜井凪沙
阿部亮平
桜井凪沙
阿部亮平
桜井凪沙
少女漫画に出てきそうな言葉。 この人無自覚なのかな…… それとも、職業病?
阿部亮平
普通にショック……なんか分からないけど。 会えないんだと思うと寂しくなる。 でも、仕事で会える。 いつもみたいに話したりは出来ないけど、 姿が見えるだけでいい。
阿部亮平
桜井凪沙
阿部亮平
亮平さんは、少し目を見開いてこっちを見た。
桜井凪沙
すると、亮平さんが笑っている。 そして、目を逸らす。 え…と思って亮平さんの顔を除き混むと…
阿部亮平
また、ニコって私の好きな笑顔をくれた。
亮平さんといる時間はあっという間。 気がつけば、2時間も過ごしていた。
この時間が私は大好き。 でも、モヤモヤした気持ちが増えていく。 聞いていいのかなぁ……
佐久間さんと話したあの話。 今日はやめとこうかな…… って私はいつも逃げてばかり。 背中押してもらったんだから。 「大丈夫だから」って言ってくれたから。 怖いけど……
桜井凪沙
阿部亮平
緊張する。 お願いします。 このモヤモヤを減らしたい。
桜井凪沙
話そうとすると声が震える
桜井凪沙
この聞き方で合ってるのかも分からない。 すると…
阿部亮平
桜井凪沙
阿部亮平
じゃあなんで?
桜井凪沙
阿部亮平
どういうこと? 待っててほしいって
桜井凪沙
阿部亮平
助けてもらった日だ。 私が彼氏に振られて、亮平さんに助けてもらった日。
阿部亮平
やっぱり。 でも、なんで教えてくれないの?
桜井凪沙
阿部亮平
桜井凪沙
阿部亮平
信じてるよ。 信じてるけどさ…… 不安でどうにかなりそうだよ。
別に付き合ってる訳でもないのに。 勝手に亮平さんは私のそばにいてくれるって、思っている自分が嫌になる。