テラーノベル

テラーノベル

テレビCM放送中!!
テラーノベル(Teller Novel)

タイトル、作家名、タグで検索

ストーリーを書く

愛が重いよ、金満君。

一覧ページ

「愛が重いよ、金満君。」のメインビジュアル

愛が重いよ、金満君。

10 - 残り物で料理出来てこそプロ。

♥

10

2024年04月07日

シェアするシェアする
報告する

キーンコーンカーンコーン…

善光 優斗

今日は今から家庭科だ。

善光 優斗

家庭科、しかも調理実習だから結構嬉しい。

善光 優斗

嬉しい、嬉しいんだけど…

銭場 守

善光いるし余裕じゃん。

絵馬 海龍

あと頼むで!シクヨロォ!

木生 葉

出来たら教えて。

金満 潤

さて、お手並み拝見…だな。

善光 優斗

こいつらとやんなきゃなんないのがなぁ…。

善光 優斗

「ねぇこれグループ課題だから、みんなでやらないと。」

銭場 守

えぇ〜俺らいたって邪魔なだけだろ。善光頼むわ。

善光 優斗

「けどみんなでやんないと、評価下がっちゃうよ!」

銭場 守

邪魔って言った事否定してくれや。マジでそう思ってんのかよ。

善光 優斗

「……一緒にほら、頑張ろ!!」

木生 葉

そういうとこだぞお前。あー、もうやる気無くした。

絵馬 海龍

ならオレ試食係やるわ。

善光 優斗

「もとからやる気無いし、試食係はいらないから!」

金満 潤

優斗、俺はこいつらが手をつけた料理なんて食べたくない。優斗が全部作りなさい。

善光 優斗

「面倒な事言うな!お前も作るんだよ!!」

銭場 守

ほら、天下の金満潤様がそう言ってんだから、善光やるしかないって。

木生 葉

おれらも手伝いたいけど、金満がそう言うんじゃなー。

絵馬 海龍

ならオレ指示出すわ。

善光 優斗

こ、こいつら……

金満 潤

今日は聞き分けいいじゃないか猿ども。

金満 潤

優斗がどこまで俺の嫁にふさわしくなったか見てやろう。この機会を大事にするんだぞ。

善光 優斗

……。

善光 優斗

「なーにが嫁じゃ、お断りだよ金髪クソ野郎。」

金満 潤

優斗?

善光 優斗

「誰が金満君なんかと結婚するかっ!
僕は一緒に料理してくれる人と結婚するよ。上から目線で「お手並み拝見だな。」とか言ってるモラハラキショい奴と結婚なんてするわけねぇだろバカ野郎!!」

金満 潤

え…う…いや…うっう…

金満 潤

うぇーーーーん!!

木生 葉

うっわ金満泣きやがった。

銭場 守

悪かった善光。手伝う、手伝うから…

善光 優斗

「手伝うって何?!これ僕だけの課題じゃないよね!!
みんなの課題だよね!!なんでそんな他人事なの?!」

銭場 守

すまん、すまんかった。ほんとごめん。じゃ、じゃあ俺、味噌汁作るわ…。

木生 葉

おれも便乗まぐろしよ。

絵馬 海龍

ほなオレは米するわ。あっ、コメントの方ちゃうで!

木生 葉

お前ほんと空気読まねぇよな。だから嫌いなんだよお前の事。

善光 優斗

「…わかった。じゃあ僕は豚肉の生姜焼き作るから。」

金満 潤

ゆ、ゆゆ優斗…ぐすん…

善光 優斗

「ほら金満君も、早く手洗って!
一緒に作るよ。」

金満 潤

うん…!

善光 優斗

少し他の班と遅れたけど、なんとか調理が始められそうだ。

善光 優斗

頑張るんば!!

銭場 守

さて、と…。

銭場 守

俺は包丁を持ちながら、まな板の上の具材と睨めっこする。

銭場 守

これ、どれ使えばいいんだ…?

銭場 守

「なぁ木生、これ全部使うんか?」

木生 葉

えー、知らねぇよ。おれに聞くなよ。

銭場 守

いやお前、俺が味噌汁作るっつった時に勝手に便乗してきてそれは無いだろ…。

木生 葉

メニュー見れば?

銭場 守

「いや共同作業なんだから、お前も確認しろよ…。」

木生 葉

えー、だっるぅ。

銭場 守

こいつホンマ腹立つなぁ。俺今包丁持ってんだぞ。言葉に気をつけろよ。

銭場 守

しかし、善光もこんな気持ちだったんだろなぁ。今なら善光の気持ちがわかる。

銭場 守

木生が教科書をペラペラめくりながらメニューを探している。

木生 葉

おっ、あったあった。

銭場 守

「どう?何て書いてある?」

木生 葉

……なんか、お好みでだって。

銭場 守

……。

銭場 守

勘弁してくれよ。何のための教科書だよ。お好みとかそんなん料理出来る奴しかわかんねぇだろ。じゃあ何でも入れていいのか?お好みっつうなら、リンゴとか、きゅうり入れても美味いよなぁ?!いいよなぁ?!

木生 葉

なんか適当に入れりゃあいいんじゃない?

銭場 守

「いやけどお前…あとで食うんだぞ?」

木生 葉

不味かったら残しゃいいじゃん。

銭場 守

あー、たぶんこいつとは一生わかりあえねぇ。

銭場 守

なんでそんな、もったいない事すんだよ。ど偏見だけど、こいつひょっとして食べ放題で残すタイプか?

銭場 守

「……善光に聞くわ。」

木生 葉

最初からそうすりゃいいじゃん。

銭場 守

……。

銭場 守

俺は何とか包丁の持つ右手を押さえて、善光の方へ振り返った。

善光 優斗

金満君、手洗う時は腕まくりしないと。

金満 潤

ゆ!ゆうゆ!ゆうゆ!!上げてぇ。

善光 優斗

もぉ仕方ないなぁ。

銭場 守

善光の方を振り返って見てみると、そこには金満の介護をしている善光がいた。

善光 優斗

金満君、お手手シャカシャカ〜するの。シャカシャカ〜。

金満 潤

シャカシャカ〜♪

善光 優斗

そう!上手上手!!

善光 優斗

金満君、お手手キレイキレイなったねぇ。

金満 潤

なった。キレイキレイなった。

銭場 守

「三つ子かっ!!」

善光 優斗

どうしたの銭場君。

金満 潤

ぶっ殺されたいのか、すっこんでろミジンコ。

銭場 守

「金満テメェ多重人格かっ!?」

銭場 守

「って、違う違う。」

銭場 守

「味噌汁の具、何入れたらいい?」

善光 優斗

具かぁ…んー…

善光 優斗

僕豆腐好きだし、豆腐がいいなぁ。

銭場 守

「OK OK豆腐な。あとは?」

善光 優斗

んー…金満君好きなのある?

金満 潤

優斗が好きだよ。俺のために毎日エッチして欲しい。

善光 優斗

油揚げいいね。あと、わかめと玉ねぎと。

銭場 守

「今金満そんな事言ったか?」

善光 優斗

言ったよ。ねぇ金満君。

金満 潤

うん…イッたぁ…!

善光 優斗

ほら。

銭場 守

「……わかった。じゃあそうするわ…。」

銭場 守

善光にねっちょり甘える金満を冷めた目で見た後、俺はまた味噌汁作りに戻った。

銭場 守

あの金髪、下ネタ言わねぇと死ぬ病気でもかかってんのか?

善光 優斗

銭場君に説明を終えると、僕は早速調理に取り掛かった。

善光 優斗

「金満君、豚肉の方は僕がやるから、金満君はキャベツ千切りにしてくれる?」

善光 優斗

この前金満君の家で一緒に料理した時、僕より切るの早かったし、任せても大丈夫だろう。

金満 潤

うん。じゅんじゅん切る。

善光 優斗

精神年齢がものすごく低下している気がするけど、まぁ大丈夫だろう。

善光 優斗

「ありがとう!じゃあよろしくね。」

善光 優斗

僕の言葉に、金満君は鼻を気合い十分だと言わんばかりに、フンっと鳴らすと包丁を手に取り、キャベツを切り始めた。

トン、トン、トン、トン…

善光 優斗

…あっれ?金満君、こんなにゆっくりだったか?

善光 優斗

金満君の作業をよく見ると、キャベツを持つ手もなんだか危なっかしい。

善光 優斗

「金満君、指先を軽く丸めた方が良いと思うよ。ニャンコの手ニャンコの手。」

金満 潤

うにゃあ。

善光 優斗

金満君は変な返事をすると、手をニャンコの手にして、またトントンとゆっくり切り始めた。

トン、トン、トン、トン…

善光 優斗

……ひょっとして、このスピードのままキャベツ切るのか?

トン、トン、トン、トン…

善光 優斗

これ間に合うか?

トン、トン…

金満 潤

ゆうゆ、袖、落ちちゃった。

善光 優斗

「あ、うん。また上げるね。」

善光 優斗

僕は金満君の下がった袖を再び上に上げながら思った。

善光 優斗

…こぉーれは間に合いませんわ。

善光 優斗

「…金満君、もうちょい早く切って欲しいなぁ…。」

金満 潤

早くイッて欲しい?!?!?!

善光 優斗

「早くキャベツ切れっつってる。」

金満 潤

あ、あぁ…なんだびっくりした…。

金満 潤

優斗が急にエッチな事言うからイきそうになった…。

善光 優斗

「言ってないよそんな事。」

金満 潤

イッてない?!?!

善光 優斗

「早く切らないと金満君の顔面にキャベツぶん投げるよ。」

金満 潤

まぁまぁ照れるな。

善光 優斗

「照れてない。」

善光 優斗

「金満君ならもっと早く切れるでしょ?」

金満 潤

ううん。

善光 優斗

「えっ?」

金満 潤

切れにゃい。

金満 潤

じゅんくん、ゆうゆと一緒じゃないとや!

金満 潤

いっちょ、切る。

善光 優斗

「金満君…。」

善光 優斗

どんどん精神年齢が低くなっていく人間を目の当たりにすると、人間こんな悲しい気持ちになるんだな。

善光 優斗

「金満君、最初の頃を思い出して。最初の頃はもっとかっこつけてたじゃん。」

善光 優斗

「『こんなの別に誰でも出来るだろ。』とか言ってたじゃん。」

金満 潤

ふにゅ〜う?

善光 優斗

「金満君、いくつ?」

金満 潤

3ちゃい。

善光 優斗

「あーじゃあもう、どうしようもないねぇ。」

善光 優斗

「僕お子ちゃまと付き合う趣味ないから。恋愛対象として見れないし。じゃ!」

金満 潤

優斗、待ちなさい。

金満 潤

冗談だ。金満ジョーク。

金満 潤

さっきのは、俺達に子供が出来たらこんなだろうなっていう、シミュレーションだ。シミュレーション。

善光 優斗

「シミュレーション?」

金満 潤

そうだ。優斗にこの前中出ししただろ?

善光 優斗

「してない。」

金満 潤

だから、優斗妊娠したろ?

善光 優斗

「してない。」

金満 潤

楽しみだなぁ!俺と優斗の子供だ!!
優斗と子供が出来たら、優斗はずっと俺と一緒にいてくれるんだろ?

善光 優斗

「だからいないよ。」

金満 潤

何っ!?優斗、お前は子供がいるのに逃げるのかっ!!

金満 潤

それでも親かっ!?産んだからには責任持って育てろ!!!

金満 潤

子供のためにもなぁ、親はずっとずっと仲良くしないとダメなんだ。ずっとずっと一緒にいないとダメなんだ。

善光 優斗

「妊娠してないし、そもそも出来ないから。」

金満 潤

何…?

善光 優斗

「いや『何…?』って、僕男なんですけど。」

金満 潤

するぞ。

善光 優斗

「え…?」

金満 潤

俺のは"濃い"ぞ。優斗。

金満 潤

俺のは優斗の体を作り変えるぐらい、"濃い"ぞ。

善光 優斗

「そんなエロ同人みたいな事ある?」

金満 潤

……試してやろうか。

善光 優斗

「やーめーて、近づいて来ないで。」

金満 潤

"濃い"の中に出してやろうか。

善光 優斗

「あっち行って。」

金満 潤

…雌の体に、してやろうか。

善光 優斗

「もうそういうのいいから、早くキャベツ切って。」

善光 優斗

「そんなセクハラ出来るんだから、もう大人でしょ。三つ子じゃないでしょ。」

金満 潤

や!ゆうゆ!!
一緒にトントンするの!!

金満 潤

優斗の子宮に、トントンしちゃおうかな。

善光 優斗

「いい加減にしろっ!!引っ叩くよ!!」

金満 潤

ひぐっ…うっ、うっ、うう…

金満 潤

うぇーーーん!!!

善光 優斗

「いいじゃん。好きなだけ泣けば?もう僕知らないからね。キャベツ切り終わるまで、ほっとくからね。」

金満 潤

うぅ、うっうっ…うぁーーーーーーん!

トトトトトトトトッ………

善光 優斗

鼻水垂らしてギャン泣きしながらも、さっきよりはるかに素早くキャベツを切っている。

善光 優斗

そうそう、これこれ。これだよ金満君。

金満 潤

うぇーーーーん!!

善光 優斗

ギャン泣きする金満君を視界からフェードアウトさせると、僕は豚肉の調理を始めた。

善光 優斗

さてと…。

善光 優斗

まずはタレから作ろうかな。

善光 優斗

醤油と、生姜、砂糖、料理酒…

絵馬 海龍

なぁなぁ。

善光 優斗

「ん?」

善光 優斗

僕は手を止めると、絵馬君の方を向いた。

絵馬 海龍

米洗ってんねんけどさぁ、なかなかキレイにならへんけどええのん?

善光 優斗

「あぁ、お米って洗っても多少は白い水残るからいいよ。」

絵馬 海龍

ほーん。

絵馬 海龍

それじゃ泡も多少残ってても、大丈夫やな。さんきゅ善光。

善光 優斗

…泡?

善光 優斗

「絵馬君、泡って何?」

絵馬 海龍

え…いや、そんな哲学的なん聞かれても…泡は、泡やろ。

善光 優斗

「違う、そういう意味じゃない。」

善光 優斗

「お米洗って、泡出たの…?」

絵馬 海龍

えっ、出るやろ?
洗剤使うんやし。

善光 優斗

「洗剤使った?!」

善光 優斗

思わず大きな声で叫んでしまった。

善光 優斗

クラスメイトがチラチラとこちらを見ている。が、そんな事気にしてる場合じゃない。

善光 優斗

「なんで洗剤使ったの?!」

絵馬 海龍

え、いやだって汚いやん…。

木生 葉

うっわ、お前まじか…。

銭場 守

絵馬、米は水洗いな。俺でも知ってる常識やぞ。

金満 潤

お前はこの歳になるまで、何を学んで生きてきたんだ?

善光 優斗

みんな手を止めて、ぞろぞろ絵馬君の元へ集まってくる。そりゃそうか。

絵馬 海龍

えー、けどさけどさ。米って、外で育てるやん。だからちゃんと洗った方がいいかなって。

銭場 守

米水吸収すんだから、洗剤入れたら洗剤吸収すんだろ。

絵馬 海龍

水で洗い流せばええやん。

木生 葉

洗い流せねぇだろ。現在進行形でよぉ。

金満 潤

優斗、だから言っただろ?優斗が全部作れって。

善光 優斗

「黙って金満君。次言ったら目の前で銭場君とディープキスするからね。」

銭場 守

今はそのノリのれねぇわ…。

金満 潤

銭ゲバは後でぶち殺す。優斗、そうやって俺の愛を試す行為はやめろ。何度もされると不愉快だ。

善光 優斗

「じゃあもう下ネタモラハラ言わないで。」

金満 潤

優斗、俺がいつそんな…

善光 優斗

「そのくだり飽きたから黙ってて!」

金満 潤

ひっ、ひぐ…うっ、うぇーーーーん!!

木生 葉

それより、どーすんのおれらの米は。

絵馬 海龍

しゃーない…洗剤米でいこか。

木生 葉

いくわけねぇだろバカなんじゃねぇの?

銭場 守

これはさすがに腹壊すだろ…。

絵馬 海龍

え、みんな知らんの?洗剤米売ってるやん…米洗わんでええやつ…。

善光 優斗

「それ無洗米ね。てか、なんで無洗米知ってるのに、洗い方知らないの?」

木生 葉

義務教育の敗北を見てしまったわ。もう終わりだよこの国。

銭場 守

終わってんのはコイツだけだろ。

絵馬 海龍

よせやい照れるやんけ!

木生 葉

褒めてねぇよカス。

善光 優斗

「…仕方無いよ。米はもう我慢しよ…。」

絵馬 海龍

しゃーないでこれは。そんな日もある。

銭場 守

はーあ、もったいねぇな………。

木生 葉

絵馬、お前ここまで謝罪無しか。だから嫌いなんだよテメェはよぉ。

絵馬 海龍

だってわざとちゃうし。

木生 葉

あ?お前マジでさぁ…

善光 優斗

「はーい、ストップストップ。時間もったいないし、他の作業しよ。」

善光 優斗

今にも絵馬君と喧嘩しそうになった木生君を止めると、僕達は作業を再会した…。

銭場 守

俺達の米が消え、萎えた気持ちになりながら木生と俺は鰹節で出汁をとっていた。

銭場 守

鍋から鰹節の匂いがふわっと漂って、萎えた気持ちを少しマシにした。

銭場 守

「なぁ、木生。そろそろいんじゃね?」

木生 葉

そだな。

銭場 守

「次これどうすんの?」

木生 葉

えーと、ザルで鰹節取るんだって。

銭場 守

「りょ。これザルですくうんかな?」

木生 葉

いや、それだと沈んだ鰹節すくえねぇし、ザル流しに置いて上からジャーってやればいいじゃん。

銭場 守

「確かにそだな。それじゃ、鍋持っていくわ!」

銭場 守

「よいしょ。」

銭場 守

俺は鰹出汁が取れた鍋をシンクに持っていった。

銭場 守

シンクには木生が用意してくれたザルが置いてある。

銭場 守

「このザルに上からジャーってすればいいんか。」

木生 葉

そーそー。

銭場 守

俺は鍋をそっとザルに向かって傾けた。

銭場 守

「っし。」

銭場 守

「鰹節取れたわ。この後どうすんの?」

木生 葉

あぁ、この後は分けた出汁に具材入れて味噌入れて完成。

銭場 守

「おー!了解了解!!」

銭場 守

……。

銭場 守

……ん?

銭場 守

「なぁ…。」

木生 葉

ん?

銭場 守

「今気づいたんだけどさ…」

銭場 守

「出汁…流してもうた…」

木生 葉

……あ。

銭場 守

善光ほんっっっっとすまん。すみませんでした。

木生 葉

いやぁあの、ぼくの方もなんでこんな事してしまったか、わけわかんなくて…

善光 優斗

……。

善光 優斗

「何で出汁捨てたの?」

銭場 守

いやあの違うんすよ。

銭場 守

あの、なんというか…鰹節を取るの部分だけ集中してたといいますか……

銭場 守

その後の事考えてなかったというか…

木生 葉

いやほんと、銭場君の言う通りなんですよ。善光さん。だから、その、手に持っている包丁を下ろしていただけないかなと。

金満 潤

なぁ、こんな簡単な事も出来ないお前らは逆に何が出来るんだ?生きてる意味あるのか?

銭場 守

うるっせぇな、誰だってミスくらいすんだろうがよぉ。

絵馬 海龍

なぁ、お前らオレに何か言う事あるやろ?

木生 葉

はぁー?まだこっちの方が被害少なくない?米よりマシでしょ。

善光 優斗

「どっちもどっちだよっ!!!」

銭場 守

あぁ…ごめんなさい。

絵馬 海龍

義務教育の敗北を見てもうたわ。終わりやん。この国。

木生 葉

あ?テメェが言うなや!

善光 優斗

「お前らだよっ!終わってんのは!!」

木生 葉

いやほんと、マジでごめんって。

銭場 守

ごめん善光…ディープキスするから…。

善光 優斗

悪いけど、今そのノリのる気分じゃないかな。

金満 潤

ざまぁみろ銭ゲバァ!!
優斗が選んだのはお前なんかじゃない、この俺なんだよぉ!この鳥頭がっ!
二度と優斗に近づくなよ微生物がっ!!!

木生 葉

鳥なのか…微生物なのか…。

善光 優斗

「金満君は黙ってて面倒だから。」

金満 潤

面倒なところも含めて愛して欲しい。

善光 優斗

「そういうのが面倒だから。」

善光 優斗

「って、そうじゃなくて。」

善光 優斗

「どうすんの?このグループ。米と味噌汁が死んだんだけど。」

銭場 守

まぁ、豚肉の生姜焼きとキャベツでなんとか…

善光 優斗

「それ先生に絶対怒られるじゃん。」

善光 優斗

「あと僕今日お昼作ってきてないからね。」

金満 潤

何ッ?!

善光 優斗

「だって調理実習でお腹いっぱいになると思ってたもん。まさかこんな馬鹿みたいなミス二回もかまされるとは思わなかった。」

絵馬 海龍

ホンマありえへんよなコイツら。

木生 葉

お前なんで今ボケたの?絶っっっっっ対ツッコまねぇからな。空気読めや、そういう空気じゃねぇだろ。

金満 潤

だから俺は無能が嫌いなんだ。足ばかり引っ張りやがって。

金満 潤

やる気があろうと無かろうと、もう存在だけでマイナスなんだ。言われないと出来ない。いや、言われても出来ない。それがお前ら。お前らは負しか生まない虫以下の存在だ。

善光 優斗

「いや、そこまで言わなくても…」

銭場 守

金満ごめんってば。

木生 葉

おれたぶん社不なんだと思う。この前ネットで調べたら鬱って診断されたし。

善光 優斗

「それセルフでしょ?病院で診断もらって来てから言ってね。本当に鬱で苦しんでる人に対して失礼だし。」

絵馬 海龍

なぁけどどうするよ。もう時間も残り少ないし、もう豚肉の生姜焼きとキャベツだけでええやん。米と味噌汁に関しては、木生と銭場が先生にまことにごめんなさい。してくれるやろ。

木生 葉

なんでおれと銭場だけなんだよ。絵馬テメェもだろうが。

絵馬 海龍

まぁまぁ味噌汁のついでに謝っといてぇや。

金満 潤

俺の昼飯は?

銭場 守

…豚肉の生姜焼きとキャベツだけっすね。

金満 潤

あ"?冗談はその脳みそだけにしておけよ。たった、これだけで腹がふくれると思うのか?

絵馬 海龍

善光が分けてくれるやろ。

善光 優斗

「何で僕が分けてやんなきゃいけないんだよ。叩き割るよその眼鏡。」

銭場 守

絵馬、お前冗談なのかマジで言ってるのかわからんKY発言やめろ。

金満 潤

今からお前らで少ない金を出し合って、俺と優斗の昼飯を買って来い。美味い物を用意しろよ。割引された惣菜パンなんて買って来たら殺すからな。

銭場 守

ぼく今日お金持って来て無いです。

絵馬 海龍

って、なんでやねーん!普段から無いやろっー!

木生 葉

誰かコイツ殺してくれよぉ!!

家庭科の先生

はーい!残り時間少なくなってきました。終わってないグループは、昼休みも延長してやってもらいます。

善光 優斗

……。

善光 優斗

「もう、いいよ。」

銭場 守

善光…。

金満 潤

優斗…足りない分は、優斗の精子俺の中に出して欲しい…。

善光 優斗

今使えそうな食材は…

善光 優斗

千切りしたキャベツ、豚肉、豆腐、出汁取った後の鰹節…

善光 優斗

他に何か、何か…

善光 優斗

あっ…!

善光 優斗

なんとか僕らのグループは、なんやかんやあって無事に料理が完成した。

善光 優斗

お腹もいっぱいになったし、まぁ良かったんじゃないだろうか。

家庭科の先生

ねぇ、銭場君…これは…

善光 優斗

銭場君が家庭科の先生に出来た料理を持って行ってる。何やら話しているようだ。

銭場 守

あぁ…これは…

銭場 守

“お好み焼き”っすね…。

家庭科の先生

白ご飯と味噌汁と豚肉の生姜焼きが見当たらないんだけど…

銭場 守

いやー、味噌汁作る時に教科書見たんすけど、その時に、具材はお好みでって、書いてあったんで。

銭場 守

"お好み焼き"に、なっちゃいました…。

銭場 守

お好みだけに、お好み焼き…ってね。

家庭科の先生

……銭場君のグループ、補習ね。

愛が重いよ、金満君。

作品ページ作品ページ
次の話を読む

この作品はいかがでしたか?

10

コメント

0

👏 最初のコメントを書いて作者に喜んでもらおう!

チャット小説はテラーノベルアプリをインストール
テラーノベルのスクリーンショット
テラーノベル

電車の中でも寝る前のベッドの中でもサクサク快適に。
もっと読みたい!がどんどんみつかる。
「読んで」「書いて」毎日が楽しくなる小説アプリをダウンロードしよう。

Apple StoreGoogle Play Store
本棚

ホーム

本棚

検索

ストーリーを書く
本棚

通知

本棚

本棚