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私、長森桜はある一つの悩みにおかされています。
その悩みは、
〈ストーカー〉です。
〈ストーカー〉は随分前から続いていましたが、私のお母さんが死んでしまったことを皮切りに、エスカレートしています。
私は怖くてたまりません。
ですが
最近、私の相談にのってくれる人がいるのです。
それは、〈お母さん〉 私のお母さんと非常に似た口調でメッセージを送って来ます。 最初は腹こそ立ちましたが、今では唯一のよりどころとなっています。
長森桜
お母さん
長森桜
長森桜
お母さん
お母さん
インターホンが鳴り続けています
部屋は暗く、音と、私の乱れた息遣い以外は存在しません。 ですが、画面には〈お母さん〉の文字がしっかりと映っています。
お母さん
長森桜
私は勇気を振り絞り、カーテンを開け、窓の外を覗きました。 玄関の前には薄気味悪い笑顔を浮かべた中年の男性が立っています。 目が合うとすぐに私はカーテンをしめました。
長森桜
お母さん
確かにインタフォンの音は途絶えました。
やはり親の言うことは聞くべきです。 親かはわかりませんが。
長森桜
お母さん
長森桜
お母さん
長森桜
長森桜
長森桜
お母さん
お母さん
長森桜
お母さんはそういってますが、さすがに半年以上続くストーカーを放置するのは危険だと思います。 しかし、この状況を漫然と過ごしたいた私は今日も布団をかけて眠りにつきました。
翌宵。
やはりストーカーはやってきました。 今度はインターフォンではなく、ドアを殴りつける音が聞こえます。 音だけでなく、物理的な脅威も想像させられ、私は怯え切っていました。
長森桜
お母さん
長森桜
お母さん
お母さん
……!?
それは、危ないんじゃ?
私はお母さんへの信頼と、現実的な危険性に板挟みになりました。 しばらく考えていましたが、お母さんのいうことももっともな気がしてくるのです。
私はiPhoneをベッドに伏せ、玄関に向かいました。 キッチンから、包丁を持ち出しました。
お母さん
お母さん
お母さん
お母さん
上の階から振動音が聞こえてきました。わたしの部屋に置きっぱなしにしたiPhoneのバイブでしょう。 お母さんからのメッセージでしょうか? しかし今はそれどころではありません。
私は玄関のドアを恐る恐る開きました。
……
誰もいません。私は庭の方まで出て行きました。
!?
女性が立っていたのです。その顔は……お母さん? 「お母さん?」 私は話しかけました。
「そうよ」 「なんで!」 お母さんは両手を広げ、私を抱擁しようとしました。 私も彼女の方へ走ってゆき、胸へ飛び込みました。
ですが、温かみがなく、かつて存在していた大きな双丘の感触もありません。
私はゆっくりと彼女から離れます。 一瞬ニヤリと笑われたような気がしましたが、お母さんの表情は微動だにしていません。
「どうしたの?」 私は問います。 するとお母さんがいるはずの場所から野太い、男の笑声が聞こえてきました。 「うふふ、うふふ」 私は後ずさります。 「え?」
「バカだなあ、お前。やっぱりあの女の娘だよ。俺だよ俺」 「誰?」 前にいる存在は手を顎下に当て、一気に頭上にまで引き上げました。 手に引っ張られるようにして、お母さんの顔が引きはがされていきました。 〈中年男性のにやけた顔〉 ストーカーでした。
私は必死に悲鳴をあげようとしましたが、大きな手で口を塞がれてしまいました。 「おっと、おとなしくしとけよ。今からおれが面倒見るんだからよ、お前のことをさ」 「お前の母さんを殺したのはこの俺なんだからよ。責任とらねえと」
……!? もがいていた私の体が動きません。 視界が薄れてゆきます。 そして、私は意識をなくしました。