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翌朝、咲の目は腫れていた。 鏡を見るのが嫌になるほど泣いた痕。
それでも学校へ行くことを選んだのは、 日常を取り戻したかったからだった。
でも教室はいつもと変わらない喧騒で、 誰も昨夜のことなど知らない。
咲は誰にも言えずに、自分の中に飲み込んだ。
昼休み。校舎裏のベンチで ひとり座っていたときだった
哲汰
その声に、咲の身体がビクッと反応する。
顔を上げると―― そこに立っていたのは、哲汰だった。
咲
哲汰
その声に、咲の目が見開かれた。
哲汰
その瞬間、溢れていた感情が限界を超えた。
咲
震える声で、咲は少しずつ昨夜の出来事を 話し始めた。 哲汰は驚きながらも、最後まで 静かに聞いてくれた
話し終わった咲は、 涙で濡れた顔のままうつむいた。
咲
その言葉を遮るように、 哲汰が咲の肩を強く抱きしめた。
哲汰
咲
哲汰
その言葉は、咲の奥深くまで沁み込んでいく。
やっと、声をあげて泣いた。 哲汰の胸の中で、ずっと我慢していた想いを すべて吐き出すように
風が優しく吹いた午後の校舎裏。 ふたりはそっと寄り添って、 もう一度、心と心を重ねなおした。
――ライブは、もうすぐ。
でも、ふたりの絆は確かにそこにあった。