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翌朝、咲の目は腫れていた。 鏡を見るのが嫌になるほど泣いた痕。

それでも学校へ行くことを選んだのは、 日常を取り戻したかったからだった。

でも教室はいつもと変わらない喧騒で、 誰も昨夜のことなど知らない。

咲は誰にも言えずに、自分の中に飲み込んだ。

昼休み。校舎裏のベンチで ひとり座っていたときだった

哲汰

咲ちゃん

その声に、咲の身体がビクッと反応する。

顔を上げると―― そこに立っていたのは、哲汰だった。

……哲汰……?

哲汰

リハ抜けて来た。今日、
どうしても来なきゃって思って

その声に、咲の目が見開かれた。

哲汰

ごめんね、
連絡もろくにできなくて。
ずっと会いたかった

その瞬間、溢れていた感情が限界を超えた。

……私、ね……昨日、
怖いことがあって……

震える声で、咲は少しずつ昨夜の出来事を 話し始めた。 哲汰は驚きながらも、最後まで 静かに聞いてくれた

話し終わった咲は、 涙で濡れた顔のままうつむいた。

私……最低だよね。哲汰のこと好きなのに、他の男と……

その言葉を遮るように、 哲汰が咲の肩を強く抱きしめた。

哲汰

咲ちゃんが怖かったのも、
寂しかったのも、
ちゃんと伝わったよ

でも……!

哲汰

俺が守る。今度は、
俺がちゃんと守るから。
もう、ひとりで泣かせない

その言葉は、咲の奥深くまで沁み込んでいく。

やっと、声をあげて泣いた。 哲汰の胸の中で、ずっと我慢していた想いを すべて吐き出すように

風が優しく吹いた午後の校舎裏。 ふたりはそっと寄り添って、 もう一度、心と心を重ねなおした。

――ライブは、もうすぐ。

でも、ふたりの絆は確かにそこにあった。

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