宗田
なあ、聞いてくれよ
拓海
どうした?
宗田
宇宙人と交信できる方法を見つけたんだ
拓海
またかよ
拓海
今月何度目だ?
拓海
お前も学習しないな
宗田
まあそう言うなって
宗田
今度こそはガチのマジだ
拓海
言っとくけど
拓海
俺はもう付き合わねえぞ
拓海
こないだだって帰りが遅いって
親に叱られたんだ
親に叱られたんだ
宗田
それは悪かった笑
宗田
まあまあ、内容を聞いてから判断してくれよ
拓海
聞くだけ聞いてやる
宗田
ありがとう
宗田
実はその方法が結構複雑でな
宗田
まず、夜中の2時まで待つ
拓海
ふむ
宗田
そしたら、家の浴槽に水を張って
宗田
電気を消した状態で水面に呪文を唱える
宗田
「ツアシリ、アルファガフ、ラジュル」
宗田
すると水面がゆらゆら揺れて…
宗田
宇宙人が現れるって寸法さ!
拓海
うさんくせーなw
宗田
で、どうよ?
宗田
次の土曜の夜にやろうと思ってるんだけど
拓海
いやいや、その日お前の
誕生日パーティーじゃんw
誕生日パーティーじゃんw
拓海
お泊まりでやろうって
言ってたじゃねーか
言ってたじゃねーか
宗田
あ、そっか笑
宗田
忘れてたわ笑笑
拓海
そんな大事なこと忘れんなしw
拓海
流石に誕生日パーティーの時には
やらないだろ?
やらないだろ?
拓海
女子とかもくるだろうしさ
宗田
そうだな…
宗田
じゃあもう今日の夜にやっちまうか
拓海
急だなw
拓海
俺は付き合わねーぞ
拓海
明日も授業あるし
拓海
2時までなんて起きてらんねー
宗田
頼む
宗田
そこをなんとか
宗田
うち実は今風呂壊れててさ
宗田
水貯めらんねーんだわ笑
宗田
それに拓海一人暮らしじゃん?
宗田
うち家族いるからやりにくいんだよね
拓海
うーん
拓海
しゃーねーな
拓海
今度駅前のラーメン奢れよ
宗田
マジでサンキュー!
宗田
じゃあ今夜2時ごろに
家抜け出してそっち行くから
家抜け出してそっち行くから
宗田
先に水とかの準備やっといてくれ
拓海
うい
2時00分00秒
拓海
おーい
拓海
もう水とか張って待ってるんだけど
拓海
もう家出た?
拓海
あと何分くらいで着きそう?
拓海
おーい
拓海
/s/[storyId]/_components/chat-script-render/op/no-response-call/assets/call-no-response.de17167d8f1104de.png)
応答なし
拓海
はあ
拓海
宗田どうしたんだろ
拓海
早く寝てえんだけどな
拓海
てかもう寝るか
拓海
約束の時間に来ない方が悪いよな
拓海
…
拓海
一応、呪文ってやつだけ試してから寝るか
拓海
そうしないとまた別の日にやろうとか
言われそうだし
言われそうだし
拓海
えーっと
拓海
「ツアシリ、アルファガフ、ラジュル」
拓海
だったか
水面には揺らぎなどなく、静止している。
拓海
ふう
拓海
やっぱり何もねえじゃねーか
拓海
水抜いてさっさと寝るか
ピンポーン
拓海
…びっくりしたあ
拓海
宗田か?
拓海
全くおせーんだよ
拓海
寝ちまうとこだったぜ
拓海はドアの前に立った。
拓海
宗田ー?
拓海
今開けるわ
拓海
(…?)
拓海
(返事がねえ)
拓海
(宗田じゃねえのか?)
不審に思った拓海は、のぞき穴を見る。
拓海
うわあっ!!
宗田
はは、驚かしてごめん
拓海
ってお前かよ!!
拓海
マジでふざけんなよwww
拓海
(しかしあの目は…?
宗田の目には見えなかったが…)
宗田の目には見えなかったが…)
宗田
おい、早く開けてくれよ
拓海
あ、ああ
今開けるわ
今開けるわ
宗田
早く開けろよ
宗田
早く、ハヤク、はやく開けろろろよ
宗田
なア、開けテくれ
宗田
開けろおオオオオオオオオォォォォ!!!
拓海
(なんだこいつ、宗田じゃない!)
宗田
開けろ!開けロ!アけろ!
宗田
アイフタハフ、ラジュル!!!!
向こう側の何かは、ドアを叩き始める。
拓海
ひっ!
拓海はリビングへと逃げ出す。
拓海
(なんなんだよ、あれ…)
拓海
(あれは宗田じゃない…)
拓海
(まさか、宇宙人なのか…?)
拓海
(とにかく、戸締りだ
ドアの鍵は大丈夫…なはず…)
ドアの鍵は大丈夫…なはず…)
拓海
(窓にも、しっかり鍵がかけてある)
いつの間にか、 ドアを叩く音は止んでいた。
拓海
(音が、止んだ…)
拓海
(あれはなんだったんだ…?)
拓海
(こんなことになるなら、
宇宙人との交信なんて
試すんじゃなかった…)
宇宙人との交信なんて
試すんじゃなかった…)
ボコ…ボコ…
拓海
(なんだ?)
拓海
(風呂場の方から聞こえる…)
拓海
(まるで、水面が大きく
泡立っているような音だ…)
泡立っているような音だ…)
ボコッ…ボコボコ…
拓海
まさか、嘘だろ?
拓海
ああ、そんな…
拓海
もうよしてくれ…
これは夢だろ…?
夢に違いない…
これは夢だろ…?
夢に違いない…
拓海は風呂場から遠ざかろうとし、 その場に尻餅をつく。
拓海
やめてくれよ、許してくれ、
許してくれぇっ!
許してくれぇっ!
どんどん震えていく 拓海の声に共鳴するかのように、 風呂場の水は泡立っていく。
拓海
嫌だ、ごめんなさい!
軽い気持ちだったんです!
軽い気持ちだったんです!
ボコボコボコ…ボコボコボコボコッ!
大きな破裂音を最後に、 風呂場からの音が止んだ。
代わりに、ヒタ…ヒタ…と、 床を滑るような音が鳴り響く。
拓海
あ、ああっ、ああ…
風呂場から出てきた"何か"は 拓海の前に立つと、 大きな笑みを浮かべた。
朋也
んで、話って何?
宗田
実はさ
宗田
宇宙人と交信できる方法ってのが
あるんだけど
あるんだけど
拓海
今度3人でやってみないか?