テラーノベル
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そこに映っていたのは、ほんの数時間前に別れた阿部さんで。
もしかして何かあったのかと思って玄関を開けてみれば、何故かそこからは美味しそうな匂いがして。
申し訳無さそうな、でも少し嬉しそうな顔をした阿部さんが持っていたのは密閉容器に入った肉じゃが。
亮平
蓮
俺がそう言えば恥ずかしそうにはにかんでから髪を耳にかけ、
亮平
と言った。
亮平
蓮
蓮
亮平
亮平
亮平
亮平
亮平
申し訳無さそうに言うものの、逆に俺からすればこっちの方が良い気がする。
肉じゃが、本当に好物だし。
蓮
亮平
亮平
ぺこりと会釈をして帰ろうとする阿部さん
「また今度…」と見送れば良かったものの、まだ話したい、と言う俺の俺の欲が勝ってしまって。
無意識的に、ではないけど。
いつの間にか、その扉を閉めようとする手をパシッと掴んでいて。
亮平
と、驚く阿部さんに何故か俺も戸惑って。
目線を彷徨わせて。「あ」とか「えっと」とか、日本語喋るの初めてかよって思うくらいにしどろもどろになっちゃって。
蓮
亮平
驚く阿部さんに、また言葉が詰まって。
何か言わなきゃ。そう焦りすぎたのかも知れない。
蓮
蓮
何と見苦しい言い訳。
もうどうにでもなれ、と思ってしまっていて。
勢いで言ってしまった後悔に唇を噛んで下を向くと、ふふっ、と笑う声が聞こえて。
亮平
困ったように、でも楽しそうに笑う阿部さんの姿は、すごく、すごく綺麗だった。
これが俺の初恋で、
俺を歪ませて、
狂わせた恋の始まり。
コメント
3件
こういうの求めてましたありがとう😭
初めまして! 仲良くしたいです。物語最高です!