将来は死が見える

水の魔女とカレン ―月面で消えた約束―

箒で境界を旅する魔女とカレンは、死者の魂を運ぶ列車で「月の駅」へ降り立つ。そこで出会ったのは、遺された恋人が前を向けるよう、思い出の指輪を地上へ返そうと彷徨う女性の霊だった。最終列車の時間が迫る中、二人は月面を駆け抜け指輪を回収。彼女は青い地球へ願いを託し、あの世へと旅立つ。別れの涙が月面に弾ける中、二人は誰かの涙を温かさに変えるため、再び青い地球を背に旅を続ける。

水の魔女とカレン〜彼岸への落とし物〜

境界が曖昧な樹海で、水の魔女と相棒のカレンは、列に乗り遅れた死者の少女に出会う。少女が導いた先には、娘の死を受け入れられず、ボロボロの人形を繕い続ける父親の姿があった。自らも喪失の傷を持つ水の魔女は、一時だけ死者を見せる銀の眼鏡を男に贈る。境界線が溶け、父娘は温もりの中で再会を果たした。二人の救済を見届けた魔女たちは、朝日が照らす霧の先へ、再び旅を続ける。

水の魔女〜旋律の後奏曲〜

久しぶりに帰省した故郷。一国の大スターである母は、最後の大舞台に立とうとしていた。だが熟練の魔女である私は、母の魔力生成機能が死に、命の「在庫」が底を突く寸前であることを悟る。
規格の違う魔力は、注いでも救いにはならない。道理を知る私は、母に手を貸さず静かに見守る道を選んだ。
万雷の拍手の中、大スターが光の粒子にほどけた時。道理の檻を突き破り、一人の娘としての絶望が溢れ出した。

黒くて眩しい黒宮さん 〜 一冊の小説が繋ぐ淡い初恋物語〜

祖月輪優子（そがわゆうこ）。高校一年生の十六才。

彼女の頭の中は常に『メルヘン』でいっぱいだった。友達からは『優ちゃんの頭の中はお花畑』とバカにされていた。

だけど祖月輪優子は気にしていなかった。『白馬に乗った王子様が迎えに来てくれるから』と。本気でそう信じていたから。

そして彼女は出逢う。黒宮仁（くろみやじん）と。彼こそが『白馬に乗った王子様だ！』と思っていた。

最初は。