ピアノを愛す君へ

9月

まだまだ暑い頃だった。

心を簡単に奪われてしまうほどの

天使のようなお前に出会ったのは。

ピアノ ) 〜〜〜♪

早く帰ろうと思い、

音楽室を通り抜けようとした時

微かなピアノの音色が聞こえた。

初めは単純に疑問にしか 思わなかった。

けれど今思えば俺は

この時からお前に惹かれていたのかも しれない。

だって気づけば俺は

音楽室のドアへと 手をかけていたのだから。

ドア ) ｶﾞﾗﾗﾗﾗ

そこで見つけたんだ。

誰にも助けを求めず独りで抱えて

頼りもしないお前に。

日が傾いてきた頃。

オレンジ色に染まった空に照らされて

淡々とピアノを弾いているお前。

鼻筋の通った顔。

少し空いた窓から流れる風に吹かれて

少し伸びた襟足が揺れる。

まるでその様子は

ひとつの絵のようだった。

俺に気付いたのか、ピアノを弾くのを辞めて、俺の方へと振り返った。

廊下 mb ) ゆあんくーんっ！

ピアノ ) 〜〜〜♪

ああ、綺麗だな...)

さっきまでのほのぼのとした雰囲気とは打って変わって

まるでピアノを弾く行為が

“俺の生きる糧だ”

とでも言うように芯を感じる。

その姿がどうにも

綺麗で、目が離せなくて。

1度でいいから

そのピアノへ向けてる愛を

“俺に向けて欲しい”

なんて思ってしまった。

うりが小さな声で呟いた。

“大丈夫”ってどういうこと？

奏永病なんだ

奏永病とは ？？？？？？？？？？？

？？病とは ？？？？？？？？？？？

表紙イラスト ゆうの☁️ ‪𓂃𓈒𓏸໒꒱ 作

𝙉𝙚𝙭𝙩 ︎ ⇝ 100♡